原子力艦再利用プログラム
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原子力艦再利用プログラム (Ship/Submarine Recycling Program, SRP) は、原子力船を処分するためにアメリカ海軍が運営しているプロセスである。同プログラムはワシントン州ブレマートンのピュージェット・サウンド海軍造船所・中間整備施設(PSNS & IMF: Puget Sound Naval Shipyard and Intermediate Maintenance Facility)でのみ実施される。しかし、同プログラムの準備は他の場所で行われる場合がある。

SRPプログラムによる原子力艦艇の解体は、非活性化(inactivation)、ミサイル区画の解体(missile compartment dismantlement、弾道ミサイル潜水艦の場合)、原子炉区画の廃棄(reactor compartment disposal)、リサイクルの4つの主要な段階からなる[1]:7/48。最初のプロセスである非活性化では、艦から核燃料の撤去(defueling)を、通常退役と同時に実施する[1]:7/48。退役前は「合衆国の船」(United States Ship) を意味する「USS」が艦名に付いているが、退役後は「USS」が外され「ex-Name」(元xxxx)と呼ばれる。核燃料の抜き取りは西海岸の5つの施設で行われ、再利用の可能な機器類もこの時点で撤去され、燃料抜き取り後の船体は低レベル放射性廃棄物に分類され、ピュージェット・サウンド海軍造船所へ曳航される[2]:238-239/280。
使用済み核燃料はアイダホ州アイダホ・フォールズの67km北西に位置するアイダホ国立研究所 (Idaho National Laboratory, INL) 附属のアメリカ海軍原子炉施設 (Naval Reactor Facility, NRF) に鉄道輸送で搬入され、使用済み核燃料乾式保管施設(Expended Core Facility / Dry Storage Facility)で乾式保管される[2]:17,238/280。アメリカ海軍の原子炉で使用された核燃料は、一回限りの使いきりで廃棄物とするワンススルー方式をとっているため、核燃料再処理の対象にはしない方針となっている[3]:114。
SRPプログラム専従となったピュージェット・サウンド海軍造船所・中間整備施設(PSNS & IMF)でプログラムが開始される。潜水艦は船体を前部、原子炉区画、もしあればミサイル区画、そして後部の3つか4つの部分に切断される。ミサイル区画はSTART Iに従って分解される[2]:239/280。原子炉区画は両端を密閉され、はしけおよび重量貨物車によってワシントン州にあるエネルギー省のハンフォード・サイトへ運ばれ埋め立て永久処分される[4][1]:12/48[注釈 1]。
1991年まで、潜水艦の前部と後部は再接合して浮体保管所に係留されていた[2]:239/280。処分方法としては、標的として海没させることを含めて複数考慮されていたが、いずれも経済的に問題があった。特に、環境保護局 (EPA) と沿岸警備隊 (US Coast Guard) からはポリ塩化ビフェニル (PCB) を初めとする様々な環境汚染物質を船体から除去するよう要請された。この要請に対応しつつ処分コストを削減するため、残りのセクションを再利用し、再使用できる部材は再生産に回されることになった。再利用の過程で危険あるいは有毒な廃棄物はすべて特定されて除去され、再使用可能な設備は撤去されて在庫に入れられる。また、金属スクラップおよび他の材料は民間会社に売却されるかあるいは再使用される。全ての過程で利益をあげられる訳ではないものの、ある程度のコストが削減できる。このSRPプログラムによる潜水艦の処理には、1隻当たり2,500万-5,000万USドルを要する[2]:239-241/280。
2018年の終わりまでに195隻の原子力潜水艦が建造あるいは発注された(NR-1深海潜行艇およびバージニアを含む)。最後のスタージョン級原子力潜水艦、L・メンデル・リヴァーズ (USS L. Mendel Rivers, SSN-686) は2001年に退役し、スタージョン級の高度改修型であるパーチェ (USS Parche, SSN-683) は2004年に退役した。「自由のための41隻」の最後の1隻であるカメハメハ (USS Kamehameha, SSBN-642) は2002年に退役した。ロサンゼルス級原子力潜水艦の退役は1995年に始まり、大きく損傷したバトンルージュ (USS Baton Rouge, SSN-689) が最初に退役する艦となった。さらに、数隻が建造された原子力巡洋艦もプログラムに加えられた。それらの処理は進行中である。2018年までに、巡洋艦と潜水艦合わせて133隻の原子炉区画が処分された[注釈 2]。
アメリカ海軍が保有する原子力空母のうち、世界初の原子力空母「CVN-65 エンタープライズ」は2012年12月1日付で退役し、本プログラムに回された。
原子力巡洋艦
| 艦名 | 船体番号 | 開始年月日 | 完了年月日 |
|---|---|---|---|
| ロングビーチ(ex-Long Beach) | CGN-9 | 2002年9月25日 | 2012年7月12日 |
| ベインブリッジ(ex-Bainbridge) | CGN/DLGN-25 | 1997年10月1日 | 1999年10月30日 |
| トラクスタン(ex-Truxtun) | CGN/DLGN-35 | 1997年10月1日 | 1999年4月28日 |
| カリフォルニア(ex-California) | CGN/DLGN-36 | 1998年10月1日 | 2000年5月12日 |
| サウスカロライナ(ex-South Carolina) | CGN/DLGN-37 | 2007年10月1日 | 2000年3月28日 |
| ヴァージニア(ex-Virginia) | CGN-38 | 1999年10月1日 | 2002年9月25日 |
| テキサス(ex-Texas) | CGN-39 | 1999年10月1日 | 2001年10月30日 |
| ミシシッピ(ex-Mississippi) | CGN-40 | 2004年10月1日 | 2007年11月30日 |
| アーカンソー(ex-Arkansas) | CGN-41 | 不明 | 1999年11月1日 |
攻撃型原子力潜水艦
※ジョージ・ワシントン級原子力潜水艦のいくつかは弾道ミサイル原子力潜水艦であったが、退役前に攻撃型原子力潜水艦に艦種変更されたため以下にリストする。
- †:船体が記念艦として保存されている。詳細は個々の記事を参照
- ‡:パーチェの日付は2004年度会計予算で公式に示された物。実際は10月19日まで作業は開始されなかった。