参謀本部

高級指揮官の作戦指揮を補佐するための合議機関 From Wikipedia, the free encyclopedia

参謀本部(さんぼうほんぶ、: Staff Office)は、軍隊において上級士官の作戦指揮を補佐するための合議機関である。

各国における成立の沿革上、また陸軍海軍で別個の参謀組織がある場合もあり、そのため参謀部、参謀局、軍令部、作戦部、幕僚監部など種々の訳語が充てられることもある。

概要

参謀本部とは軍事組織における師団長・旅団長・連隊長・大隊長に当たる高級指揮官の作戦指揮を補佐する業務を行う機関である。軍事組織における指揮系統は単一であるために参謀本部に一切の指揮権はなく、指揮官が参謀本部の補佐を得ながら作戦指揮において独自に決心する[1]。その歴史はプロイセン王国で発展した。それまでは指揮官は自らの才能に依拠して指揮統率を行っていたが、ナポレオン戦争の頃から参謀組織の必要性が認められるようになり[2]、平時より軍事研究を行って戦時においては指揮官を補佐する常設機関がプロイセン軍に採用され、普墺戦争普仏戦争におけるプロイセンの勝利によってその真価が認められた。これは後に各国軍に導入され、日本においても日本軍で参謀総長と軍令部総長は天皇の参謀に当たった。戦後には例えば米軍においては最高指揮官たる大統領の下に統合参謀本部が設置され、軍事行動について大統領の補佐を行う体制を整えている[3]

組織

ドイツ式

参謀制度の発祥地であるプロイセン参謀本部及び後継の陸軍総司令部では、参謀将校が担当分野毎に区別された[4]

  • 一般参謀(Generalstabsoffiziere)
    • Ia(アイン・アー、作戦参謀) -作戦。
    • Ib(アイン・ベー、後方参謀) - 補給、輸送、経理(主計)、後方勤務などを担当。
    • Ic(アイン・ツェー、情報参謀) - 敵情報告、偵察、諜報、防諜、捕虜尋問などを担当。
    • Id(アイン・デー、教育参謀) - 教育・訓練などを担当。・各部隊に配置。
  • 副官部(Adjutantur) - 人事参謀。
    • IIa(ツヴァイ・アー) - 将校の人事を担当。
    • IIb(ツヴァイ・ベー) - 下士官・兵の人事と補充を担当。
  • 専門参謀(Fachoffiziere) - 各兵科の専門家。
    • 通信将校(Nachrichtenoffizier)
    • 工兵将校(Pionierführer, Ingenieur)
    • 砲兵将校(Artillerieführer, Arko)

NATO式

現代の参謀本部の組織は各国軍によって異なるが、概ね以下のような組織となっている場合が多い[5]

  • 参謀総長参謀長(Chief of Staff)
    • 参謀次長・参謀副長(Deputy chief) - 参謀総長の指揮下において参謀長を補佐する。作戦担当(Plans and Operations)と管理担当(Administration)がいる。
    • 秘書(Secretariat) - 参謀総長の指揮下において秘書的業務を行う。
  • 一般参謀(General staff) - 参謀総長の指揮下においてそれぞれの部門の長で構成される参謀であり、自らの部門の方針を作成し、計画・調整・管理を行う。参謀会議では全ての分野に発言権を持ち、各分野を調整する。
    • 1(Personnel、行政参謀) - 人事・配置・厚生・保安などの人事や民政・占領行政・庶務などの総務を担当する一般参謀であり、二名の副部長と一名の次長の下に軍務課と総務課を有する総務部を統括する。
    • 2(Intelligence、情報参謀) - 司令部の情報活動としての情報収集・処理・報告・防諜などを担当する一般参謀であり、作戦・情報担当の副部長と防諜・特務担当の副部長の二名の副部長と次長の下に作戦課・防諜課・特務課・企画課・統合情報課を有する情報部を統括する。
    • 3(Operations、作戦参謀) - 指揮官の作戦計画の立案・実施・完了を補佐し、指揮官が決心するために要する情報の提供や指揮官の決心を下級指揮官に伝達する一般参謀であり、二名の副部長と次長の下に作戦課・訓練課・企画課を有する作戦部を統括する。
    • 4(Logistics、後方参謀) - 後方支援・兵站に関する効率的な補給計画の立案・改良・実施・参謀間の調整などを行う一般参謀であり、二名の副部長と一名の次長の下に企画課・作戦課・補給課・輸送課などを有する後方部を統括する。
    • 5(Plans、企画参謀) - 長期的な将来計画を担当する一般参謀であり、二名の副部長と次長の下に戦争計画課・特殊計画課・研究課を有する企画部を統括する。
    • 6(Communications & Information Systems、通信参謀) - 下級部隊の通信の正確性・効率性の準備、通信計画の準備・調整・監督を担当する一般参謀であり、二名の副部長と次長の下に計画政策課・機器課・運用課などを有する通信部を統括する。
    • 7(Training、教育参謀)
    • 8(Resources & Finance、財務・会計)
    • 9(Civil-Military Cooperation (CIMIC)、軍民協力)
  • 特別参謀専門参謀、Special staff) - 司令部の専門将校などから構成され、指揮官の指揮下で、一般参謀の調整を受ける。参謀総長の指揮統制で増員や減員を受けるため必ずしも一様ではない。
    • 工兵参謀
    • 輸送参謀
    • 監察参謀
    • 広報参謀
    • 会計参謀
    • 法務参謀
    • 憲兵参謀
    • その他専門参謀

参謀本部の例

個々の機関は沿革上、「参謀本部」と称されない又は訳されないこともあるが、実質的意味における参謀本部としては次のものなどがある(改称されたものや廃止されたものも含む)。

さらに見る 日付, 陸軍 ...
旧日本陸海軍の軍令機関の変遷
日付陸軍海軍根拠法令
1871年(明治4年)7月
兵部省陸軍参謀局
兵部省職員令
1874年(明治7年)6月18日参謀局「参謀局条例」
1878年(明治11年)12月5日参謀本部旧「参謀本部条例」
1884年(明治17年)2月軍事部
1886年(明治19年)3月18日
参謀本部
明治19年勅令無号
1888年(明治21年)5月12日陸軍参謀本部海軍参謀本部明治21年勅令第25号
1889年(明治22年)3月7日参謀本部海軍参謀部明治22年勅令第25号・同第30号
1893年(明治26年)5月19日海軍軍令部明治26年勅令第37号
1933年(昭和8年)10月1日軍令部昭和8年軍令海第5号
1945年(昭和20年)10月15日
(廃止)
昭和20年軍令海第8号など
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脚注

参考文献

関連項目

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