可降水量
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可降水量は、気柱に含まれる水蒸気を、(実際の環境条件を無視して)すべて凝結させ雨として落下させたと仮定した降水量と考えることができる。しかし実際には、水蒸気すべては凝結し得ないことに注意が必要[4][5][6]。実際の環境条件で雨として落下しうる水蒸気量は、特に有効可降水量と定義して区別される[6]。また、雲として存在する水(雲水量)も含まない。
大気中の水蒸気量を把握しデータを数値予報に取り込むことで、集中豪雨や線状降水帯、夏の雷雨などの急な強い雨の予測精度が向上することが、研究者間で期待されている[4][7]。また、熱収支を通して気候に影響を与える変数の1つで、気候モデルのデータにも利用されることがある[8]。
鉛直積算水蒸気量 (total column water vapour, integrated water vapour) の用語がほぼ同義に用いられる[2][8][9]。
ラジオゾンデの直接観測データから算出することができるが、空間的にも時間的にもサンプル数が少ない欠点があった。人工衛星(気象衛星・地球観測衛星)のセンサーによっても面的な観測ができるが、天候によっては観測できないなどの課題ももつ[4][10][11]。
GPSなどの衛星測位システム(GNSS)を利用した観測は、天候に左右されにくい。原理としては、地上観測局がGNSS衛星から受信する電波の遅延時間、いわばノイズ成分から求めるもの。大気の性質による遅延(大気遅延量)から、気圧と気温の違いに起因する「静水圧遅延」を除外し、水蒸気量の違いに起因する「湿潤遅延」から可降水量を導き出す。課題だった水蒸気以外の誤差成分も、研究開発により迅速に測定・除外することが可能になった[4][9][12]。
GNSS観測を基に作成したPWVデータは数値予報プロダクトとして提供されている[4][9][13]。日本では国土地理院の電子基準点網GNSS連続観測システムが利用されている。地殻変動監視を主目的に作られた同システムが天気予報にも資する形となっている[4][11]。