吉川邦夫
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吉川 邦夫(よしかわ くにお、1962年8月28日 - )は、日本のテレビドラマ演出家、プロデューサー、メディア研究者。元日本放送協会(NHK)番組制作局チーフ・プロデューサー、チーフ・ディレクター、NHKエンタープライズ制作本部エグゼクティブ・ディレクター、NHK放送文化研究所上級研究員。
現在は、パフォーミングアーツ・ユニット「theatre fuoù(シアター・フゥ)」を主宰。舞台演出や映像制作を行うほか、文化庁芸術祭審査委員や大学講師を務めるなど、放送批評・教育分野でも幅広く活動している。
生い立ち
1962年(昭和37年)生まれ。東京都出身。1978年、高校在学中にバンド「Babauoù(ババウウ)」を結成し、音楽活動を開始。
NHK入局〜初期(徳島放送局時代)
1985年、NHKに入局。初任地の徳島放送局では主にドキュメンタリー番組の制作に従事する。四国遍路、阿波踊り、人形浄瑠璃などの地域文化や伝統芸能の取材を通じ、後の「地域発ドラマ」や人形劇、舞台演出に通じる視座を養った[1]。徳島局での最後の制作番組『聖路〜左幸子・四国遍路1360キロ〜』[2]は、ドラマ制作者への転機となる作品となった。
ドラマ演出家として
1990年より東京・ドラマ番組部に配属。1992年の大河ドラマ『信長 KING OF ZIPANGU』より大河ドラマ制作に参加する。 1995年の金曜時代劇『とおりゃんせ〜深川人情澪通り』では、脚本家・大野靖子を中心とした複数脚本家とディレクターが並走して脚本開発を行う、現在の「ライターズ・ルーム」に近い先駆的な制作スタイルを採用。この現場には渡邊良雄、本木一博、渡辺一貴ら、後に大河ドラマ等のチーフ演出を務める若手ディレクターが参加しており、彼らの育成の場ともなった。
脚本家の三谷幸喜とは、大河ドラマ『新選組!』、『真田丸』をはじめ多くの作品でタッグを組んでいる。特に『新選組!』以降は、企画立案および全話にわたる脚本作成(スクリプト・ドクター的な役割を含む)を担当する制作スタイルを確立した。『毛利元就』『北条時宗』『とおりゃんせ』『すずらん』では、タイトルバック映像の制作も自ら手掛けている。
制作統括・研究職として
2010年より2年間、NHK放送文化研究所(メディア研究部)に在籍し、ドラマと視聴者の関係性や、地域メディアに関する研究に従事。地域発ドラマの制作手法を体系化した『地域発ドラマHandbook』の執筆・編集なども行った[3]。
2016年、大河ドラマ『真田丸』にて制作統括を務める。同作では全回の脚本作成や自身の演出回を含む総合的なクリエイティブ・プロデュースに加え、SNS時代の視聴者との相互作用(ソーシャル視聴)を意識した番組作りを推進した[4]。
現在
2020年8月、NHKを定年退職しフリーランスとなる。 独立後は、音楽と朗読を融合させたパフォーミングアーツ・ユニット「theatre fuoù」を立ち上げ、舞台演出や映像制作を行っている。2024年には実験的公演「夢幻綺譚會」を主催・脚本作成・演出(音楽はBabauoùが担当)。2025年9月には脚本作成・演出を手掛けた朗読舞台『アンドレの翼』で欧州ツアーを実施し、パリ日本文化会館(フランス)や在ベルギー日本国大使館などで公演を行った[5][6]。 クリエイター活動と並行し、映像産業振興機構(VIPO)の講師や、文化庁芸術祭審査委員、大学講師などを務め、後進の育成に尽力している。
主な演出・制作作品
テレビドラマ
- 大河ドラマ
- 金曜時代劇『とおりゃんせ〜深川人情澪通り』(1995年 - 1996年) - 企画・脚本作成・演出・タイトル映像
- NHKドラマ館『さよなら五つのカプチーノ』(1998年) - 企画・脚本作成・演出[7]
- ※平成10年度文化庁芸術祭参加作品
- 連続テレビ小説『すずらん』(1999年) - 脚本作成・演出・タイトル映像
- Music-in-Drama『ホシに願いを』(2004年) - 企画・脚本作成・演出[8][9]
- 正月時代劇『新選組!! 土方歳三 最期の一日』(2006年) - 企画・脚本作成・演出
- 土曜ドラマ『魂萌え!』(2006年) - 企画・脚本作成・演出
- 人形劇『シャーロック ホームズ』(2014年) - 企画・脚本作成・演出・制作統括
- 正月時代劇『風雲児たち〜蘭学革命篇〜』(2018年) - 企画・脚本作成・演出
舞台・パフォーマンス
- 朗読劇『コミチャン!』(2019年)- 脚本作成・演出[10]
- 『夢幻綺譚會・其の壱 / 其の壱.伍』(2024年) - 主催・脚本作成・演出
- 朗読舞台『アンドレの翼』(2025年) - 脚本作成・演出・映像制作
受賞歴
- 2005年:第43回ザテレビジョンドラマアカデミー賞 最優秀作品賞(『新選組!』、ほか5部門受賞)[11]
- 2006年:放送文化基金賞(『新選組!! 土方歳三 最期の一日』)[12]
- 2007年:第24回ATP賞テレビグランプリ ドラマ部門 最優秀賞(『魂萌え!』)[13]
- 2017年:第41回エランドール賞 プロデューサー賞(『真田丸』)[14]
著書・論考
著書
- 『時代劇・歴史ドラマは台詞で決まる! 〜世界観を形づくる「ヴァーチャル時代語」〜』(笠間書院、2018年) ISBN 978-4-305-70864-9
- 『NHK連続テレビ小説と視聴者 -“朝ドラ”はどう見られているか-』(NHK出版、2020年) ISBN 978-4-14-009001-5
- NHK放送文化研究所メディア研究部編『地域発ドラマHandbook』NHK放送文化研究所、2013年10月。
主な論文・寄稿
- 「地域発ドラマからテレビ表現の本質を探る」『放送研究と調査』第62巻第4号、NHK放送文化研究所、2012年4月、2-23頁、NAID 40019253401。
- 「地域メディアとネットワークが拓くローカルコンテンツの可能性」『放送研究と調査』第69巻第12号、NHK放送文化研究所、2019年12月、84-87頁、NAID 40022088827。
- 「2019年度関西大会『地域による地域のための地域の映像――地域コンテンツの制作と発信を通じた持続可能な社会の創生』採録」『情報通信学会誌』第37巻第4号、情報通信学会、2020年3月、ISSN 0289-4513。
- ※ショートプレゼンテーション「地域ドラマのフレキシビリティと可能性」およびパネルディスカッションの記録を収録。
教育・学術活動
- 大学講義・ワークショップ
- 国際活動・シンポジウム
- 映像産業振興機構(VIPO) アクターズ・ワークショップ 講師