君が最後に遺した歌
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| 君が最後に遺した歌 | ||
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| 著者 | 一条岬 | |
| 発行日 | 2020年12月25日 | |
| 発行元 | KADOKAWA | |
| ジャンル | 恋愛小説 | |
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| 言語 | 日本語 | |
| 形態 | 文庫本 | |
| ページ数 | 288 | |
| コード | ISBN 978-4-04-913333-2(文庫本) | |
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『君が最後に遺した歌』(きみがさいごにのこしたうた)は、一条岬による小説[1]。2020年12月にKADOKAWAから書き下ろし作品がメディアワークス文庫として刊行された[1]。通称は「君歌(きみうた)」[2][3]。
詩作を趣味とする高校生・水嶋春人が、「発達性ディスレクシア」を抱えながらも作曲と希有な歌の才能を持つクラスメイト・遠坂綾音に頼まれて作詞をし、一緒に歌を作っていく中で互いに恋心を抱き、運命に翻弄されながらも、かけがえのない日々を過ごす2人の愛の物語が描かれる。
映画版が2026年3月20日に公開された[4]。
高校2年生の男子・水嶋春人は詩を書くことを暗い趣味と思い、周囲には秘密にしている。小学1年の時に春人の両親は事故で他界し、以来祖父母と暮らしている。
そんなある日、春人が文藝コンクール用の作品を教務主任の藤田に提出するため職員室に行った時に、藤田が作品の詩を読み上げたため、別件で藤田に呼び出されていたクラスメイトの女子・遠坂綾音に聞かれてしまう。そして、春人の詩に強く惹きつけられた綾音から歌詞を作ってほしいと依頼され、戸惑いながらも引き受けて、放課後に廃部になった旧文芸部の部室で春人の歌詞に綾音の曲と歌唱を合わせる形で2人での歌作りが始まっていく。
春人は綾音が文字の読み書きが困難な「発達性ディスレクシア」を抱えていることやそんな症状があることも初めて知り、驚きながらも彼女の作曲と並外れた歌の才能に魅了されていき、綾音も春人の歌詞にしみじみと感心する[注 1]。春人と綾音は歌作りの共同作業を通じてお互いに惹かれ合っていく。
作成途中で歌詞の方向性について2人の意見が異なったため、人に聴いてもらい判断することになり、頻繁に路上ライブも行われている駅前広場に出かけて2人で路上ライブを行う。駅前広場に綾音の伸びやかな美しい歌声が響き始めると、少しずつ通行人が足を止め、やがて大きな人だかりとなるが、やって来た警官から2人で走って逃げることになってしまう。
綾音は月2回、叔父・正文の経営するトラットリア・マサでのライブ演奏で歌っており、今回作ろうとしている歌はそのためのオリジナル曲だった。完成した曲は「君と見つけた歌」と名付けられ、ライブ演奏で披露された[6]。
2人で行った路上ライブは動画がSNSで拡散され、ほかのクラスの派手なグループにも見つかり、綾音に自分たちの文化祭でのライブへの参加を強要し、綾音が断ると春人に説得しろと脅してくる[注 2]。だが、思い通りにならなかった腹いせに、彼らの指示によって春人や綾音に対するクラス内での集団無視が始まってしまう。
トラットリア・マサでのライブ演奏には音楽業界の人が来ており、正文の友人のケンさんを通じて欠員が出たクリスマスイブのライブに出演依頼され、駅前の特設ステージに上がった綾音の歌声が響き渡り、100人を越える拍手が彼女を包む。
3年生になった春人と綾音は就職組として同じクラスになる。春人は祖父母を安心させるため町役場の職員を目指そうとしており、綾音は春人から勧められる形で、普通の仕事に就きたい思いとの葛藤の中、大手レコード会社のオーディションを受け、最終審査に合格し、来年4月のデビューが決定する。
卒業式の翌日、綾音は1人で東京に向かう。バンドメンバーの計らいで、駅で綾音と二人きりになった春人だが、想いを告げることはできず、反対に綾音からは告白めいた手紙を受け取る[7]。
4月になると、遠坂綾音は「綾音」[注 3]という名でデビューし、華やかな世界で歌う彼女は透明感に溢れ、ドラマの主題歌やCMソングなどでも彼女と彼女の歌はメジャーになっていく。春人は町役場の職員となって、綾音と別れてから3年が過ぎ、その間綾音とは一度も会わず、もう関わりのない世界で生きていると思っていた。
そんな時、トラットリア・マサで知り合い、親しくしている女性から綾音は今も春人を待っているかもしれないと話され、彼女から渡された綾音のライブのチケットで初めてライブに参加する[注 4]。ライブでは綾音が自身で作詞した大事な曲という「春の人」を歌うのを聴く[注 5]。
春人はライブを終えた綾音からケンさんを通じて連絡を受け、2人は3年半ぶりに再会を果たした。もうお互いの思いを包み隠すことなく伝えて付き合うことを決め、かけがえのない日々を過ごしていく。
そんな中、綾音が体調不良を感じて病院を受診すると妊娠が分かり、それと同時に免疫に関する深刻な病気が見つかり、余命1年半であることが告げられる[注 6][10]。春人はなぜ綾音がと受け入れがたい事実に嘆くが、それでも2人とも子どもがほしいと強く願い、結婚しようと決める。
3週間後、綾音は歌手の引退発表をし、病気のことも公表する。あらゆるメディアが取り上げ大騒ぎになる中、引退ライブが行われる。そして披露された最後の曲は綾音の歌詞に春人が手を加えた「春の歌」。たくさんの感謝に包まれて綾音は活動を終える[注 7]。
その後、綾音は病気の苦難を乗り越え、無事に女の子を出産する。春人と綾音は春歌と名付けられた娘と3人でずっと過ごすが、病気が進行した綾音は入退院を繰り返していく。1歳になったばかりの春歌と親子3人で幸せに過ごした浜辺で見せた笑顔から10日後に綾音は遠い世界に旅立つ[注 8]。
成長した春歌には音楽の才能があり、母親と同じ道を歩みたいとオーディションを受けて歌手になる。そしてテレビの生放送の音楽番組でデビュー曲の披露の後に、綾音が最後に遺した歌が、綾音が「希望そのもの」と言った春歌によって、歌い継がれていく。
登場人物
主要人物
- 水嶋春人(みずしま はると)
- 高校2年生[注 9]。詩を書くことを暗い趣味と思い、周囲には秘密にしている。綾音から頼まれて歌詞を提供し、一緒に歌を作っていく。
- 小学1年の時に両親は事故で他界し、以来祖父母と暮らしており、金銭的な負担をかけまいと公務員(地元の町役場)試験を受けようとしている。
- 遠坂綾音(とおさか あやね)
- 春人のクラスメイト。叔父と2人暮らしで両親はいない[注 10]。文字の読み書きが困難な「発達性ディスレクシア」を抱えながらも作曲と類いまれなる歌の才能を持つ。
- 容姿端麗で意志の強そうな眼差しをしており、いつも一人で行動し周囲に馴染まない態度から、クラスメイトからは「鉄の女」と呼ばれていた。
春人たちの通う高校
- 藤田(ふじた)
- 教務主任[注 11]。国語や古典を兼任する年配の教師。廃部になった文芸部の顧問だった。全国高等学校文藝コンクールの窓口にもなっており、春人が詩の添削もしてもらっている。春人が派手なグループから脅された時に守っている。
- 担任
- 春人と綾音たちの担任。30代前半。春人に文藝コンクールに詩の部門での参加を勧める。とても生徒思い。
- イケメンの上級生[注 12]
- 3年生の男子。高身長で綾音と並んでも遜色ない容姿。綾音に手紙を渡すが無視されていると思って、知り合いの女生徒3人が綾音に文句を言いに来た後、待ち伏せして直接話しに来る。
- ほかのクラスの派手なグループ[注 12]
- 綾音と春人の路上ライブのSNSを見て、綾音に文化祭で自分たちのグループのライブに参加するよう強引に勧誘して断られ、春人に綾音を説得するよう脅しにかかる。
- 春人や綾音にいじめの指示を出したり、後に綾音が発達性ディスレクシアであることを知って、彼女が文字を読めないと周囲に言いふらすという悪意に満ちた行動に出る。
- 春人のクラスの中心グループ[注 12]
- ほかのクラスの派手なグループからの指示で春人を徹底的に無視する行動に出る。
綾音と春人の関係者
- 遠坂正文(とおさか まさふみ)
- 綾音の叔父。38歳で独身。トラットリア・マサを経営している。高校時代は地元でバンドを組んでいた。
- 店では月に2回ライブ演奏が行われており、綾音が叔父の友人たちとバンドを組んで歌っている。
- ケンさん[注 13]
- 正文の友人。ギター担当。長髪の男性。高校時代は正文、ヨシたちとバンドを組んでいた。綾音のバンドメンバー。
- 綾音のメジャーデビュー後もサポートメンバーとなっている。綾音と春人のことを何かと気遣う。
- ヨシさん
- 正文の友人。ベース担当。眼鏡の男性。ケンと同じく元プロで昔はレーベル所属のスタジオミュージシャンだった。ケンとともに綾音のメジャーデビュー後もサポートメンバーとなっている。
- 春人の祖父母
- 春人が小学1年の時に両親が事故で他界後、ずっと一緒に暮らしていた。春人が就職して3年後の春の終わりに祖母が亡くなり、同じ年に祖父も亡くなっている。
- 水嶋春歌(みずしま はるか)
- 春人と綾音の娘。1歳の時に母・綾音が死去。綾音の面影を色濃く残す。歌手となって綾音が遺した歌と思いを受け継ぐ。
- ミディアムヘアの女性[注 14]
- 22歳になった春人と知り合う綺麗な女性。春人よりも2歳年上。綾音がライブで自身が作詞した「春の人」を歌っていたことから今も春人を待っているかもしれないと話し、綾音のライブのチケットを手渡す[注 4]。
書誌情報
- 一条岬『君が最後に遺した歌』(2020年12月25日発売[1]、メディアワークス文庫、ISBN 978-4-04-913333-2)
関連作品
- 『私が最後に遺した歌』
- 本作品の物語を遠坂綾音とケンさん(伊東賢治)の視点で描く。6つの章から構成されていて、1章「詩人とロックンローラー」、3章「君の名前を呼ぶときは」、5章「ほんとうにうつくしいもの」、終章「君が最後に託した歌」は遠坂綾音、2章「二つ、あるいは三つの存在の重さたち」と4章「鳥と春」の2つの章はケンさんのサイドから新たなエピソードも交えながら、それぞれの思いが描かれている。
書誌情報(関連作品)
- 一条岬『私が最後に遺した歌』(2026年2月25日発売[15]、メディアワークス文庫、ISBN 978-4-04-916899-0)