地図のない町
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ある初夏の夜、東雲町の下宿に住む青年医師・戸崎慎介は、ポケットに手術用メスを忍ばせ、町の権力者・梓米吉の妾宅を見張っていた。やがて慎介は部屋に忍び込むが、梓はすでに何者かに刺殺されていた——。物語は半年前へ遡る。急患を救えなかった責任感、妹・佐紀子が梓組の与太者に辱められた事件、そして娼婦に身を落とした幼なじみ・加代子への思いを抱え、慎介はスラム街・東雲町に移り、老医師・笠間の診療所を手伝いはじめる。市会議員でもある梓は再開発利権を狙い住民を立ち退かせようと暴力で圧力をかけ、ついには笠間の診療所や土地まで奪おうとする。住民の浄財で返済の目途が立つが、笠間は一味に襲われ重傷に。やがて妾にされた加代子の父・養七もまた梓の元へ向かい……。梓殺しの真犯人は笠間であった。笠間は自殺し、慎介は加代子とともに人々のために働く決意を新たにする[1]。