堕女神ユリスの奇跡
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『堕女神ユリスの奇跡』(だめがみユリスのきせき)は、日本の小説家北沢慶による、ファンタジーライトノベル作品。『グループSNE』が主催する『ソード・ワールド2.0』ノベルの1種である。
レーベルは富士見ドラゴンブック、イラストは加藤たいら。全3巻。
『ソード・ワールド2.0』の長編小説としては、『剣をつぐもの』、『ペギー&ノノ 華麗なる冒険』に続いて第3弾となる。テラスティア大陸西側のユーレリア地方が舞台。
地上に降りた古代神ユリスが主人公ザウエルを巻き込んで引き起こす騒動と、古代に封じられたものたちとの戦いを描く。
巻末のデータ集には、戦勝神ユリスカロアの神聖魔法が収録されている。これは後に修正を施された上で、サプリメント『カルディアグレイス』に再録された。なお3巻の帯には「驚愕の『ユリス・モンスターデータ』まで完全収録」と記されているが、実際にはそのようなデータは含まれていない。後の2012年1月20日、「富士見書房TRPG」サイト上においてお詫びの文章と共に未収録であった「ユリス・モンスターデータ」が掲載された[1]。
あらすじ
- 堕女神ユリスの奇跡
- かつて、亡き兄ルカスと共に行った冒険で手に入れた3本の魔剣に呪われた剣士ザウエル。その呪いのために誰ともパーティーを組めず、単独の冒険行を強いられていた。ある日、遺跡の探索から戻ってきた彼の元に1人の少女が尋ねてくる。彼女は自らを戦勝神ユリスカロアと名乗ると、ザウエルに邪竜ラズアロスの封印を依頼してきた。なんとか癒し手アリエルと神官戦士ジェラルディンを仲間に加えたザウエルは、兄が命を落とした場所でもある“冒険者喰らい”ピグロウ山へ向かう。
- そこへ魔法剣士ジェダが現れると、ラズアロスを思いのままに操るという野望を明かし、神の力を利用するためにユリスをさらっていく。しかし邪竜は人に制御できるものではなく暴走をはじめ、ジェダは撤退する。ユリスは自分を犠牲にして再封印を試みようとするが、駆けつけたザウエルがそれを制する。ルカスがユリスに祈った最期の願いが邪竜の浄化であったことを悟ったザウエルは、ラズアロスを苦痛から解放しておとなしくさせた。
- しかし邪竜退治の手柄はジェダに横取りされ、力が戻らなかったためユリスが天に還ることもなく、ザウエルの暮らしは向上するどころか出費がかさむ一方だった。
- 堕女神ユリスの危機
- 銃使いフレデリックがフォルトベルクの中央塔から少女エリザを連れ出した。身なりはよいが世間知らずの彼女は、街で出会ったザウエルに「3日の間、守護騎士になってほしい」と頼む。〈炎の髭亭〉が抱える負債に悩んでいたユリスは、報酬目当てに依頼を受けるようザウエルにうながす。彼はフレデリックとともにエリザを追う者たちを蹴散らしたが、そのせいで危うく誘拐犯扱いされかけた。エリザは15歳になると“終末の巨人”に嫁ぐことを定められた“花嫁”であり、3日というのはそれまでに残された最後の猶予、そして追っ手とは彼女の護衛や街の衛視たちだったのだ。
- ユリスは問題を根本から解決するために、巨人を封印しに行くことを提案する。遺跡に赴いた一行に、フレドリックに指示を出していたジェダが合流し、巨人をよみがえらそうと企む魔術師ヴァウラの存在を語る。ヴァウラは魔物をけしかけてエリザを追い詰めることで、“花嫁”の危機に感応する巨人を動かそうとしていた。ザウエルたちは空中浮遊を始めた遺跡の奥に乗り込み、エリザの働きで巨人を完全に眠らせることに成功する。そこにヴァウラが攻撃を仕掛けてくるが、状況が決したのを見ると退散した。
- 事件解決後、エリザは晴れて自由の身となり、彼女から支払われた報酬で〈炎の髭亭〉の経営も安定した。
- 堕女神ユリスの栄光
- 突然ユリスの前に彼女の恋人を名乗るハーヴリーズという男が現れた。彼の正体は太古の竜神で、近くフォルトベルクの街をドラゴンの群れが襲うと警告する。ほどなくして、ハーヴリーズを崇めユリスカロアを滅ぼそうとする“竜の教団”が複製ドラゴンの群れを街に差し向けてきた。教団に雇われて各所の封印を解いていたジェダから事情を聞かされたザウエルたちは、ユリスの号令によって対竜戦闘用要塞としての機能を取り戻したフォルトベルクを活用して複製ドラゴンを撃退する。
- “竜の教団”の本拠地に乗り込んだザウエルは、ハーヴリーズの肉体を乗っ取ったヴァウラに苦戦するが、呪いの三剣をアリエル、ジェラルディンという仲間と分かち合うことで逆転し、竜神の体を滅ぼすことに成功する。ヴァウラはなおも亡霊となって抵抗するが、生前のルカスが彼女に遺した愛の証である指輪をザウエルから受け取ると、憎しみから解放され消えていった。
- すべてが終わった後、ドラゴン退治の活躍で信仰が盛んになり神力を取り戻したユリスは天に帰ることになった。別れ際の餞別でザウエルにかけられた呪いを解こうとするが、竜神ハーヴリーズが自分の肉体を滅ぼすために造り出した剣は女神の手にあまり、呪いが解けるどころかユリスは再び力を失ってしまう。女神の帰還は無期延期となり、一同の元通りの暮らしが続くのだった。