言語入力キー
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言語入力キー (げんごにゅうりょくキー) は、日本語や朝鮮 (韓国) 語のキーボードに見られる、インプットメソッド(インプットメソッドエディタ、IME)を使用して文字を変換するために使用するキーである。

日本語と韓国語以外の言語では、言語入力キーを搭載したキーボードはほとんどないが、Apple Magic Keyboardの中国語版は「Caps lockキー」の代わりに「中/英キー」がある。タイ語版は「ก/Aキー」がある。トグル式でIMEを切り替える。
言語入力キーが存在しないレイアウトのキーボードでIMEを使用したい場合、通常はショートカットキーで代用する。ただし、ショートカットキーが常に言語入力キーと同じ働きをするとは限らない。
日本語キーボードのキー
歴史

1972年に「JIS C 6233 情報処理系けん盤配列」、いわゆる「JISキーボード」が策定され、以後のコンピュータ用の日本語キーボードはこれに準拠した製品が一般的になったが、JISキーボードは言語入力キーの規定がなかった。当時はまだ「かな漢字変換」が発明されておらず、JISキーボードで「漢字かな交じり文」を入力することは想定されていなかったので、それで問題がなかった。当時はキーボードでコンピュータに漢字を入力する場合、文字の直接入力(漢字直接入力)が主流で、入力可能な全ての文字がキーボードに刻印された「全文字配列」や、電算写植用の「部首のようなもの」が刻印されたキーの組み合わせで漢字を入力するキーボードなど、「漢字かな交じり文」を処理するための専用のシステムに合わせた専用のキーボードが色々と存在した。
1979年2月、東芝が史上初の日本語ワープロ機「JW-10」を発売した。JW-10はまた、「かな漢字変換」システムを搭載した史上初の製品でもあった。「JW-10」のキーボードは、JISキーボードの配列(JIS配列)をベースとし、「漢字/文節キー」および「ひらがなキー」が「言語入力キー」に相当した。「JW-10」の登場以後、コンピューターにおける日本語の入力方式としては「かな漢字変換」が主流となった。
1980年代に入ると、各社から続々と日本語ワープロや日本語パソコンが発売され、これらの低価格化とともに民生における普及も始まった。当時のワープロ・パソコンの多くはJIS配列を踏襲していたが、しかしJIS配列はあくまで英文タイプおよびカナタイプを前提とした古い規格で、本格的な日本語入力には不適であると考えられていたため、例えば富士通の神田泰典が1980年に考案した「親指シフトキーボード」や、NECの森田正典が1983年に考案した「M式キーボード」など、各社の製品においてさまざまな入力方式およびキー配列が考案され、それに合わせて様々な言語入力キーが考案された。富士通は1980年に、富士通初の業務用ワープロ機「OASYS 100」に「親指シフトキーボード」を搭載して発売し、また家庭用の低価格帯OASYSでも親指シフトキーボードを搭載した機種が展開された。NECは1983年、NEC PC-8800シリーズ用「新入力方式日本語ワードプロセッサ」として「M式キーボード」を同梱した「PC-WORD-M」を発売し、またNECは1984年に「M式キーボード」を搭載したワープロ機「PWP-100」で民生向けワープロ市場に参入した。しかし、当時の一般人のキーボード初心者にとって、そういう各社の独自配列を覚えてしまうと、当時圧倒的に普及していた旧来のJIS配列のキーボードが使えなくなるというという心配もあり、業務用で高い評価を受けた各社の独自配列キーボードは民生においては全く普及せず、すぐに淘汰された。
1986年には通商産業省により、日本語入力に優れた真の配列である新JIS配列が策定され、これをベースとした製品が各社から一斉に発売された。これも同じ理由ですぐに淘汰され、結局、民生向けシステムにおいては「旧JIS配列」のキーボードをベースにいくつかの言語入力キーを搭載する形に落ち着いた。

1980年代から1990年代にかけて日本で最も普及したパソコンである日本電気 (NEC)のPC-9800シリーズのキーボードは、NEC独自の「M式キーボード」など搭載せず、普通にJIS配列(旧JIS配列)をベースとしていた。PC-9800シリーズのキーボードは、「カナキー」、「NFERキー」(no transferの略。無変換キーと同じ[2])、「XFERキー」(transferの略。変換キーと同じ[2]) の3つの言語入力キーがあった[3]。1995年、Windows 95の発売以後の機種では、Windowsとの互換性をとるため、GRPHキーの側面にAltと刻印されるようになるなどキーボードレイアウトの若干の変更が行われたが、おおもとのレイアウト自体はそのままで、FEP(IME)の起動を「半角/全角キー」ではなく「CTL+NFER」で行うなど、PC/AT互換機と比べて若干の面倒があった。1997年、PC/AT互換機の普及に伴いNEC PC-9821シリーズの展開が終了し、日本語のWindowsパソコンはWindows標準の「109キーボード」に一本化された。

PC/AT互換機においては、日本アイ・ビー・エム社が1983年より販売したIBM 5550「1型鍵盤」で「半角 全角キー」や「漢字キー」などが搭載された(当時の日本アイ・ビー・エム社の用語では「IBM」ではなく「アイ・ビー・エム」、「TYPE 001 キーボード」ではなく「1型鍵盤」が正しい用語である)。日本アイ・ビー・エムが1987年に発売したIBM PS/55用のキーボード「IBM 5576-002」は、「IBM Model M キーボード」(いわゆる「101キーボード」)をベースとして5550用キーボードとの互換性を持たせる形で拡張したもので、「半角/全角」とキートップに刻印された「半角/全角キー」が初めて搭載された。1991年に発売されたIBM PS/55用キーボード「IBM 5576-A01」では、「漢字カタカナキー」の代わりに「左Altキー」が搭載され、日本語版IBM PCにおける言語入力キーがここで確定した。1991年、このキーボードをベースに、「106キーボード」としてOADGによって標準化され、日本語のDOS/V機ににおいては、メーカーにかかわらず、この106キーボードのレイアウトの使用が前提となった。1995年にWindows 95の発売に合わせて拡張された「109キーボード」、および2002年に策定されたマイナーチェンジ版の「109Aキーボード」でも、言語入力キーは変わらず。「109Aキーボード」のレイアウトは、2002年に策定された現行のJIS規格「JIS X 4064-2002 仮名漢字変換システムの基本機能」でも標準とされており、現代のMicrosoft Windows搭載パソコンでも標準となっている。「109Aキーボード配列」には、「半角/全角キー」・「無変換キー」・「変換キー」・「ひらがなキー」・「英数キー」の5つの言語入力キーがある[4]。

Apple製パソコンのキーボード (Apple Keyboard)は、当初はUS配列にカナを印字したものを使用していたが、1990年にアップルジャパンの木田泰夫が「Apple Keyboard II JIS」をデザインし、これがMacintoshにおいて「JISキーボード」と呼ばれる、日本におけるMacintosh用キーボードの標準となった。このJISキーボードには、「英数キー」と「かなキー」があった[5]。このデザインは、後世のiMacやiPad用キーボードまでも踏襲されたが、2025年3月発売のMacBook Airで、「英数キー」が「ABCキー」へ、「かなキー」が「あいうキー」へ、それぞれ表記変更された。
富士通のワープロ「オアシス」で採用された「カタカナ英小文字キー」や、NECの「M式キーボード」に搭載された「区切漢かなキー」などは、現代の一般的なキーボードには搭載されていない。また、1990年代以前の複数のワープロで採用されていた「半角キー」、「全角キー」、「倍角キー」、「横倍角キー」、「縦倍角キー」、「4倍角キー」なども、現代のキーボードには搭載されていない(そもそも倍角フォントも搭載されていない)。
半角/全角キー
半角/全角キー (半角/全角) は、WindowsにおいてIMEのオン/オフを切り換えるキーとして使用されている[6]。この機能はもともと漢字キーのもので、Microsoft IME 98において機能が変更された[7]ため、キーの表記と実際の機能に相違がある。それ以前のWindowsやDOS/Vでは半角/全角キーは刻印通り、英数モードやカナモードの全角と半角を切り換えるキーであった[8]。
半角/全角キーはIBM 5550用の5556キーボードの「半角 全角キー」では文字キーの左側のエリアに置かれ[9]、PS/55向けの5576-002キーボードで「半角/全角キー」となりタイピングエリアの左上端に移動した[10]。OADG109/109Aキーボードでの刻印は下記のように規定されている[11]が、「漢字」の刻印が省略されたものもある。
半角/ 漢字 |
Windows VistaのMicrosoft IME (Microsoft Office IME 2007を含む) では既定で直接入力モード (IMEオフ状態) が無効になり、その状態では半角英数モードが直接入力モードと同じ挙動 (半角英数モードでの入力は変換できない) になった[12]。そのためIMEのオン/オフも、半角英数モードとそれ以外で直近に使用したモードとの切り替えとなる。直接入力モードを有効化すれば、従来と同じく直接入力モード (IMEオフ) とそれ以外 (IMEオンで直近に使用したモードで、半角英数モードを含む) との切り替えとなる。
なお、Microsoft IMEでは半角英数モードと全角英数モードの切り替えは⇧ Shift+無変換で可能であり、半角カタカナと全角ひらがな/カタカナは入力後に無変換で相互に変換できる。また、以下のキーを押下することで入力文字の全角・半角への変換ができる[6]。
漢字キー
漢字キー (漢字) は、DOS/Vでは漢字モードに入るためのキーで[8]、Microsoft IMEではIMEのオン/オフを切り換えるキー[7]だった。しかしMicrosoft IME 98以降では半角/全角キー単独でIMEのオン/オフを切り換えられる[7]ため、今日では独立した機能を持たない。IBM5556キーボードでは独立したキーとして文字キーの左側のエリアに置かれ[9]、5576-002では⇧ Shift+カタカナ (カタカナキーは無変換キーの左隣) に割り当てられ[10]、5576-A01以降の106/109キーボード配列では⎇ Alt+半角/全角に割り当てられている[11]。
変換キー
変換キー (変換) は、かな漢字変換において仮名を漢字に変換し、また次の変換候補にフォーカスするキーである。⇧ Shift+変換で前の変換候補にフォーカスする。ただしこれらの機能は、Microsoft IMEなど多くの日本語IMEのデフォルト設定でスペースキーでも同じ動きをするようになっている (スペースキー#他の用途を参照)。変換キーは106/109キーボード配列ではスペースキーの右隣にある[11]。PC-9800シリーズのキーボードでは同じ位置でXFERと刻印されていた。
OADG 109キーボードではこのキーは下記のように刻印される。
前変換 全候補 |
これは、DOS/Vでは変換候補はインラインで1つずつ表示されるのが基本であり、変換キーで変換した後再度変換で次の変換候補が、⇧ Shift+変換で前の変換候補が表示され、⎇ Alt+変換で最下段に変換候補が一度に表示される[13]という挙動だったためである。Windowsでは何度か変換キーを押せば変換候補が複数表示されるようになり、OADG 109Aキーボードでは単に「変換」の刻印に変更された[11]。
無変換キー
無変換キー (無変換) は、元々はかな漢字変換を行わずに (入力モードに応じてひらがなまたはカタカナのまま) 確定するキーだったが、Microsoft IMEでは入力中のひらがな、全角カタカナ、半角カタカナを相互に変換するキーである[6]。106/109キーボード配列ではスペースキーの左隣にある[11]。PC-9800シリーズのキーボードでは同じ位置でNFERと刻印されていた。
ひらがなキー
ひらがなキー (ひらがな) は、ひらがなモードに入るキーである[6]。106/109キーボードでは変換キーの右隣にある[11]。⇧ Shift+ひらがなでカタカナキー、⎇ Alt+ひらがなでローマ字キーとして機能し[6]、下記のように刻印される。
カタカナ ローマ字 |
Appleのキーボードでは、かなキー (かな) がスペースキーの右隣 (106/109キーボードにおける変換キーの位置) にあり、MacやiPadで106/109キーボードを使用する際は変換キーがかなキーとして動作する。このキーは元々は英数字入力モードとひらがな入力モードを切り替えるキーであったが、Apple Keyboard II JIS (1990年) 以降はひらがな入力モードに入るキーである[5]。
カタカナキー
カタカナキー (カタカナ) は、カタカナモードに入るキーである。カタカナキーはIBM 5556キーボードで「A」キーの左隣に[9]、5576-002では無変換キーの左隣に独立して存在した[10]が、5576-A01以降の106/109キーボードでは⇧ Shift+ひらがなに割り当てられている[6]。カタカナモードになっている状態を「カナロック」と言い[14]、Windowsでは言語バーの"KANA"が反転して表示される。
PC-9800シリーズではカナキーが独立して存在した[3]。またAppleのキーボードでは⇧ Shift+かなでカタカナモードに入る[15]。
ローマ字キー
ローマ字キー (ローマ字) はかな入力とローマ字入力を切り替えるキーである。IBM 5556キーボードから106/109キーボードでは⎇ Alt+ひらがなに割り当てられている[9][6]。
英数キー
英数キー (英数) は、DOS/Vでは英数モードへ入るキーで、Microsoft IMEではひらがなモードと英数モードを切り替えるキーである[6]。IBM 5556キーボードでは無変換キーの左隣に[9]、5576-002以降の106/109キーボードではAの左隣 (101/104キーボードのCapsLockキーの位置) にある[10]。CapsLockキーは日本語入力において多用されず、⇧ Shift+英数に割り当てられている。
OADG 109キーボードでは英数キーの前面に「漢字番号」と刻印されていた。これはDOS/Vにおいて⎇ Alt+英数が漢字の番号入力 (IBM漢字番号またはJIS句点を使い漢字を入力する機能) に割り当てられていた[16]ためで、この機能はWindowsには存在せず、OADG 109Aキーボードでは刻印が削除された。
Appleのキーボードでは、英数キーはスペースキーの左隣 (106/109キーボードにおける無変換キーの位置) にあり、MacやiPadで106/109キーボードを使用する際は無変換キーが英数キーとして動作する。このキーは英字入力モードに入るキーで、Apple Keyboard II JIS (1990年) において導入された[5]。
ImeOnキー・ImeOffキー
ImeOnキー ([あ]) は日本語入力モードに入るキー、ImeOffキー ([A]) は半角英数字モードに入るキーである[6]。Windows 10 May 2020 Updateで導入された新しいキーで[6]、ImeOnキーは従来の変換キーとひらがなキーを置き換えスペースキーの右隣に、ImeOffキーは従来の無変換キーを置き換えスペースキーの左隣にある[17]。
従来の半角/全角キーは日本語入力モードと半角英数字モードをトグルするため、意図するモードと異なるモードで文字を書き出してしまう問題があり[17]、これへの対処として導入された。なおImeOnキー・ImeOffキーを搭載していない従来のキーボードでも、Microsoft IMEの設定で変換キーおよび無変換キーに同様の機能を持たせることが可能である[18]。
なおImeOnキー・ImeOffキーの機能および位置は、Appleのキーボードにあるかなキー・英数キーのそれと同一である。
韓国語キーボードのキー

韓国のPC/AT互換機の標準的なキーボードには、한/영 (ハングル/英数) キーと한자 (漢字) キーの2つの言語入力キーがある。いくつかのキーボードでは、独立のキーになっていない場合もある。
한/영キー
韓国語 (ハングル) 入力モードと英語 (ISO基本ラテンアルファベット) 入力モードを切り換えるのに使用する。「한」はハングル (한글)、「영」は英語 (영어) の意味である。
多くのコンピュータシステムでは、한/영キーを使わなくても、同じ動作をする別のキーかキーシーケンスが用意されている。韓国で使われている多くのポータブルコンピュータでは한/영キーがなく、代わりに右の⎇ Altキーを使用する。そのようなキーボードでは右Altキーに「한/영」とだけ書かれているか、「한/영」と「Alt」が書かれている。
한자キー
ハングルを漢字やその他の記号に変換するのに使用する。「한자」は朝鮮語で「漢字」の意味である。
多くのコンピュータシステムでは、한자キーを使わなくても、同じ動作をする別のキーかキーシーケンスが用意されている。韓国で使われている多くのポータブルコンピュータでは한자キーがなく、代わりに右のCtrlキーを使用する。そのようなキーボードでは右Ctrlキーに「한자」とだけ書かれているか、「한자」と「Ctrl」が書かれている。