夢の酒
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『夢の酒』(ゆめのさけ)は古典落語の演目。別題は『夢の後家』(ゆめのごけ)、『隅田の夕立』(すみだのゆうだち)[1]。
夢でよい思いをしたと話した男の妻が焼き餅を焼いて喧嘩になり、仲裁に入った大旦那が同じ夢に入るという内容。
初代三遊亭圓遊(鼻の圓遊)が別演目『夢の瀬川』の一部に中国の笑話集『笑府』収録「好飲」を原典とする小咄「上酒」(原話は安政3年(1856年)刊『落噺笑種蒔』収録)を加えて創作した[1][2][注釈 1]。武藤禎夫は圓遊の改作を「明治二十年代」(1887年 - 1896年)とし、さらにそこから「手を加えて現在口演している洗練された『夢の酒』になったといわれる」と記している[3]。
8代目桂文楽の持ちネタの一つで、文楽は自著『あばらかべっそん』に、翁家馬之助のころ、「カブリツキ」(寄席で中入り後の最初の演目)にやる噺を知らないのかと4代目古今亭今輔に叱られて稽古を付けられた演目の一つだと記している[2][注釈 2]。
あらすじ
若旦那の徳三郎が居眠りをしていると、女房のお花が揺り起こし、寝言を言っていたがどんな夢を見ていたのかと尋ねる。絶対に怒らないよう念を押し、若旦那は夢の内容を語る。向島のほうへ用足しに行ったところ雨に降られ、とある家に招かれて雨宿りをさせてもらうとそこに、若旦那に恋い焦がれているという美しい御新造(女性)が現れた、普段は酒を飲まない若旦那だが勧められて酒を飲み、酔った若旦那が布団を敷いてもらって休んでいるとそこに御新造が入り込んで来た、という夢だった。
夢の話にもかかわらずお花は激怒し、騒ぎを聞いた大旦那が「お花、何で大きな声を出すんだ?店にまで聞こえたよ」と言って奥に来てお花にわけを聞いて仲裁に入る。お花は大旦那に向かって、淡島様の上の句[注釈 3]を詠めば人の夢の中に入れるそうだから若旦那の夢の中に入ってその御新造に「若旦那に手を出すな」と言ってくれ、と頼む。大旦那が言うとおりにして眠ると本当に若旦那の夢の中に入ってしまい、美しい御新造に会えてうれしくなる。御新造は酒の燗がつくまでのつなぎにと冷や酒を勧めてくれるがそれを断ったところでお花が大旦那を起こす。大旦那が「惜しいことをしたものだ」と残念がるのでお花が「もしかしてご意見するときに起こしてしまいましたか?」問うと、大旦那が「いいや、冷やでもよかった」。
バリエーション
現代風に改作した『夢のやきもち』がある[3]。