愚者の毒
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葉子は、妹夫婦が亡くなったために、甥の達也を養っていた。1985年の春に、葉子は希美と、上野の職業安定所で出会い、気軽におしゃべりをする仲になる。葉子は、希美の紹介で、調布市深大寺にある旧家、難波家で家政婦として働くことになる。由紀夫が時々、夜中に1人でこっそりと外出することに、葉子は気づいていたが、詮索はしなかった。また、希美が整形手術を受けたらしいことについても、葉子は詮索しなかった。
1985年の夏のある日、葉子が希美に、自分が人魂を見たことがある、と話すと、希美も同じようなものを見たことがあると口にする。1986年8月2日の午後4時15分頃、調布市深大寺の崖から車が転落する。義彦と希美の遺体が発見されたと報道される。1986年の夏のある日、寛和が就寝中に死亡する。葉子は、寛和の書斎を見渡したとき、違和感を覚える……。
希美の父は、1963年に三池炭鉱炭じん爆発事故に遭い、一酸化炭素中毒患者となった。そのため、一家は筑豊の山奥の廃鉱部落に移り住む。希美の父は、感情のコントロールができなくなり、次第に獣のようになる。1966年の秋のある日、希美の父がシヅ子と間違えてある女性に襲いかかり、希美は父に殺意を覚える。そのことをユウに話すと、ユウは竹丈を恨んでいるという。そして、ある犯罪計画が実行に移される……。