成瀬は都を駆け抜ける

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成瀬シリーズ > 成瀬は都を駆け抜ける
イラスト ざしきわらし
発行日 2025年12月1日
発行元 新潮社
成瀬は都を駆け抜ける
表紙に描かれている百周年時計台記念館(京都大学吉田キャンパス)
表紙に描かれている百周年時計台記念館
京都大学吉田キャンパス
著者 宮島未奈
イラスト ざしきわらし
発行日 2025年12月1日
発行元 新潮社
ジャンル 連作短編集
青春小説
日本の旗 日本
言語 日本語
形態 四六判
ページ数 240
前作 成瀬は信じた道をいく
公式サイト 特設サイト
コード ISBN 978-4-10-354953-6
ウィキポータル 文学
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成瀬は都を駆け抜ける』(なるせはみやこをかけぬける)は、宮島未奈による日本の小説[1]連作短編集

成瀬は天下を取りにいく[2]から始まる『成瀬シリーズ』の第3作[3]で完結編。進学した京都大学がある京都市大津市を主な舞台に、主人公・成瀬あかりの大学1回生の4月から翌年3月までの出来事を描く全6編から成る。
[ep 1][ep 2][ep 3][ep 4][ep 5][ep 6]

収録作の「やすらぎハムエッグ」が『小説新潮』(新潮社)2024年5月号に、「実家が北白川」(じっかがきたしらかわ)が『小説新潮』2025年1月号に、「ぼきののか」が『小説新潮』2025年5月号に掲載されたのち[4][5][6]、書下ろしの3編を加え、2025年12月1日に同社から刊行された[1]

本作には、宮島が小説家として再挑戦する契機となった作家・森見登美彦へのオマージュが盛り込まれてあり[7]、収録作「実家が北白川」は森見の小説世界を意識して執筆され、「黒髪の乙女」のキャラクターをモチーフに取り入れている[7]

宮島は当初から第3作で「成瀬シリーズ」を区切る構想を持っていたことを明かしており、本作をシリーズ完結編として位置付け、「元気なうちに終わらせたかった」と述べている[7]

あらすじ

やすらぎハムエッグ
神奈川の田舎の高校から京大理学部に合格した坪井さくらは、ともに京大に進学すると信じていた12年間想いを寄せる同級生・早田が東大に進学したため離れ離れとなり、虚無感に襲われる。さくらは早田のいない京大の入学式にいたたまれず会場から逃げ出すが、思わず転倒する。さくらは心配して声をかけた振袖姿の成瀬に手を引かれ起き上げられる。
実家が北白川
京都大学農学部に合格し北白川の実家から通学することになった梅谷誠は、新入生健康診断の帰りに大学の敷地でこたつの上の火鍋を囲む「達磨研究会」の2回生3人組と遭遇する。誠は彼らが森見登美彦作品を語り合う会と知り入会するが、会の実情は会長の木崎輝翔が住む学生用のワンルームマンションで鍋と桃太郎電鉄を楽しむ集まりだった。しかしある日、木崎が『夜は短し歩けよ乙女』のヒロイン「黒髪の乙女」のような女性との出会いを求めていると知る。誠は京大で「黒髪の乙女」を探し始め、大学構内で補助輪なしの自転車に乗る練習をする成瀬と、その付き添いの坪井と出会う。
ぼきののか
日商簿記一級合格を目指す大学生YouTuber ぼきののかこと田中ののかは、合格祈願に生配信で訪れた北野天満宮で、参拝客にびわ湖大津観光を宣伝する成瀬あかりに遭遇する。チャンネル主である自分よりも視聴者に注目される成瀬にののかは嫉妬するが、生配信中にとある男性の乱入をうけた末、自宅に逃げ帰ることになる。SNSが大炎上し狼狽するののかに、成瀬は「田中、わたしはこの夏を簿記に捧げようと思うんだ」と告げる。
そういう子なので
成瀬美貴子は、娘のあかりからローカル局「びわテレビ」の情報番組「ぐるりんワイド」に出演すると知らされる。あかりの地域パトロールの活動が注目を集め、制作スタッフの若い女性・品川から、あかりへの密着取材に加えて、美貴子にもこれまでのあかりの歩みを振り返るインタビューへの出演を申し込まれる。思いがけない機会に触れる中で、美貴子は娘との日々をあらためて振り返り、5年前の「ぐるりんワイド」にまつわる「ある後悔」と、あかりが小学6年のころの「三者面談での苦い思い出」など、胸の奥にしまっていた思いと向き合っていく。
親愛なるあなたへ
2年前の夏、競技かるた高校選手権で成瀬と出会った 西浦航一郎 は、それ以来スマホを持たない成瀬と文通で交流を続けていた。やがて西浦は京都の大学に進学し、スマホを手に入れた成瀬からLINEのQRコード付きの手紙を受け取る。しかし、同じ京都で学生生活を送りながらも、西浦は多忙な成瀬と会えない日々が続いた。クリスマスムードが漂い出した12月、西浦は思わず成瀬に会いたい気持ちを情熱的に綴った手紙を書き上げるが、翌朝読み返すと恥ずかしくなり、無難な内容に書き直す。しかし誤って送ってはいけないほうの手紙を送ってしまった西浦は、手紙を返却してもらうため、京都駅で成瀬と再会する約束を取り付ける。
琵琶湖の水は絶えずして
大学の春休みを迎えた島崎みゆきのもとに成瀬から一通の速達が届く。「大津市民病院に入院している。話したいことがあるから、来てくれないか」と綴られた文面に、島崎は1泊分の荷物をまとめ東京から新幹線で滋賀へ向かう。島崎は病院の個室で対面した成瀬から「島崎に頼みがある」と切り出され、翌日、京都の蹴上にある琵琶湖疏水記念館で大津観光をアピールし、びわ湖疏水船に乗船し大津港へと戻る、びわ湖大津観光大使の代役を依頼される。

登場人物

主要人物

成瀬 あかり(なるせ あかり)
滋賀県大津市生まれ、同市在住の京都大学理学部1回生。京大進学を機に京都を極めたいと考え、ガイドブックに紹介された100箇所をめぐることを目標とする。
大学入試後にびわ湖大津観光大使に任命され、入学後にスーパーでアルバイトを始めている。
坪井 さくら(つぼい さくら)
京都大学理学部1回生。「やすらぎハムエッグ」の視点主[ep 1]
不愛想で勉強以外出来ない自分に嫌悪感を抱く眼鏡女子。同級生の早田に12年間想いを寄せる。
梅谷 誠(うめたに まこと)
京都大学農学部1回生[ep 2][ep 3][ep 5][ep 6]。「実家が北白川」の視点主。北白川別当の実家から京大に通う。達磨研究会のメンバー。
小学3年生の時に『太陽の塔』を手に取り、それ以来、森見登美彦のファン。
木崎 輝翔(きざき きらと)
京大工学部2回生[ep 2][ep 3][ep 5][ep 6]。達磨研究会の会長。無精髭を生やし茶色い髪をした見目麗しい和装の男性。愛知県出身。
森見登美彦の作品に影響を受け、研究会の活動で大学構内でこたつを囲み卓上コンロで火鍋を食べ、女子への憧れから「黒髪の乙女」との出会いを求める。
大曽根 隼人(おおそね はやと)
京大経済学部2回生[ep 2][ep 3][ep 5][ep 6]。達磨研究会。鍋奉行。一条寺在住。名古屋出身で輝翔と中学から一緒。
共働きの親の家庭で育ったことから昔から自炊しており料理上手。いつも穏やかなナイスガイで女子から人気がある。
橿原 裕典(かしはら ひろのり) / かっしー
京大工学部2回生[ep 2][ep 5][ep 6]。達磨研究会。数式男。奈良出身。高野在住。逆らえない先輩がいて突発的に麻雀に誘われるときがある。
田中 ののか(たなか ののか)
立命館大学の2回生[ep 3][ep 5][ep 6]。「ぼきののか」の視点主。奈良県出身。日商簿記一級の合格を目指すYouTubeチャンネル「ぼきののか」を開設する。
いつもは自宅スタジオから配信しているが、特別編で合格祈願のため北野天満宮を訪れ、びわ湖大津観光を宣伝する成瀬あかりと遭遇する。
成瀬 美貴子(なるせ みきこ)
あかりの母親[ep 4][ep 6]。物事に動じないところが娘のあかりと似ていると母娘ともどもよく言われる。
西浦 航一郎(にしうら こういちろう)
広島出身の京都の大学生[ep 5][ep 6]。「親愛なるあなたへ」の視点主。競技かるた部。鳩居堂のレターセットで成瀬と文通している。
島崎 みゆき(しまざき みゆき)
成瀬の幼馴染[ep 6]。「琵琶湖の水は絶えずして」の視点主。凡人の自分は成瀬を見守るのが己の務めだと考えている。

周辺人物

早田(はやた)
坪井が小学年のころから想いを寄せる同級生[ep 1]。致命的に愛想がないが文武両道。京大理学部を受験すると坪井に教えるが実際は東大に進学する。
高橋(たかはし)
京都大学文学部3回生の女性[ep 1]。大学生協に雇われており、部屋探しをする新入生の坪井に物件をアドバイスする。
松尾(まつお)
坪井の通う高校の英語教師[ep 1]。坪井のクラス担任。40代の女性。
岡本(おかもと)
坪井の通う高校の数学教師[ep 1]。学年主任。大柄な男性。
梅谷の父
京大卒で[ep 2]、学生時代を過ごし居心地がよかった北白川で中古住宅を購入し住み続ける。
森見作品に心酔し、単行本、文庫本、アンソロジーまで揃えており、息子から聞いた達磨研究会の初代会長になりたかったと心から羨ましがる。
正常減損率100%
ののかにスパチャで投げ銭をする動画配信の視聴者[ep 3]
ののかファンの男
京都の大学生[ep 3]。ののかと同じく簿記試験の合格を目指しており、ののかが北野天満宮で生配信していると知り、チャリをとばして会いに来る。
黒いTシャツに黒いズボン姿の男[ep 3]。北野天満宮を訪れたののかの配信映像に割り込み、波乱を巻き起こす。
城山(しろやま)
京大1回生工学部のYouTuber[ep 3][ep 6]。成瀬の依頼で、ののかのYouTubeの撮影とプロデュースに協力する。
わかば
ハチワレをSNSのアイコンにしている小学2年生の女の子[ep 3]。ぼきののかの勉強配信を見て一緒に簿記の勉強をしてる。
品川 沙弥香(しながわ さやか)
滋賀のローカル局「びわテレビ」の制作スタッフ[ep 4]。茶髪をひとつ結びにしたラフない服装の若い女性。
あかりと美貴子に夕方の情報番組「ぐるりんワイド」のコーナー「びびっと!びわびと」への出演を依頼する。
坂本(さかもと)
「ぐるりんワイド」のディレクター[ep 4]
成瀬 慶彦(なるせ よしひこ)
あかりの父親[ep 4][ep 6]
咲子(さきこ)
美貴子の妹(あかりの叔母)[ep 4]。彦根で夫と子ども二人と暮らしている。
あかりの祖母
美貴子と咲子の母[ep 4]5年前、あかりが中学2年生のころに亡くなっている。
娘たちが子どもだったころ「よっしー」のペンネームで、「ぐるりんワイド」の前身番組「ただいまおうみ」へFAXでメッセージを投稿していた。
吉嶺 マサル(よしみね マサル)
稲枝の旧友[ep 5][ep 6]。ときめき坂にある吉嶺マサル法律事務所代表。「ときめき夏祭り」実行委員。
稲枝 敬太(いなえ けいた)
大阪のWeb制作会社に勤務する男性[ep 5][ep 6]
大貫 かえで(おおぬき かえで)
成瀬、島崎の小中の同級生[ep 6]
北川 みらい(きたがわ みらい)
ときめき小学校の5年生[ep 6]。「ゼゼカラ」、特に成瀬の熱狂的ファン。
呉間 言実(くれま ことみ)
近所のスーパーにクレームを入れる主婦[ep 6]
呉間 祐生(くれま ゆうせい)
言実の夫[ep 6]
篠原 かれん(しのはら かれん)
祖母、母と三世代続けて「びわ湖大津観光大使」に任命された女子大生[ep 6]。撮り鉄女子。

書誌情報

タイトル初出
やすらぎハムエッグ小説新潮』2024年5月号[4]
実家が北白川小説新潮』2025年1月号[5]
ぼきののか小説新潮』2025年5月号[6]
そういう子なので書き下ろし
親愛なるあなたへ書き下ろし
琵琶湖の水は絶えずして書き下ろし

オーディオブック

Audible版

2026年2月20日よりAudibleにて鳴瀬まみが朗読するオーディオブックが配信されている[8]

オトバンク版

2026年4月9日よりオトバンクにてドラマ形式で音声化したオーディオブックが配信されている[9]

キャスト(オーディオブック)

関連項目

脚注

外部リンク

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