或る人間の思想の発展…靄と寝室と

From Wikipedia, the free encyclopedia

『独立』B-2(1932年4月5日発行)掲載図版

或る人間の思想の発展…靄と寝室と(あるにんげんのしそうのはってん…もやとしんしつと)は、山本悍右が1932年に制作したコラージュ作品である。名古屋市美術館所蔵。[1][2]

本作は、山本悍右の現存する初期作品の一つである。[3] 山本が10代の段階から写真と詩の双方に関心を持ち、コラージュフォトモンタージュを試みていた時期の作例でもある。[4]

制作と発表

山本は1931年10月に独立寫眞研究會の創立会員となり、翌1932年4月5日発行の会誌『独立』B-2に、本作を《或る人間の思想の発展…靄と寝室》の題で掲載した。[5] 制作年は長く不詳だったが、2001年の回顧展調査によって1932年作であることが確認された。[3]

作品

名古屋市美術館とArt Platform Japanでは、本作の技法を「ゼラチンシルバープリント,コラージュ・紙」、寸法を28.1×20.7センチメートルとしている。[1][2] 本作は、黒く印画された画面の中央部を不規則に裂き、その下に新聞の切り抜きを差し込み、唇、女性の脚、小さな女性の顔写真などの断片を貼り込んだ構成をとる。[3] Aokiの論文でも、新聞切り抜き、三つの唇、女性の脚、女性の顔を組み合わせた1932年のコラージュとして紹介されている。[4] 下地の新聞には、軍縮交渉や世界恐慌に関わる記事が読み取れる。[3]

評価

本作は、山本悍右のごく初期におけるシュルレアリスム的コラージュの作例として位置づけられている。[3][4] 新聞記事の断片と身体のイメージを組み合わせた画面構成は、単なる様式的な実験にとどまらず、1930年代初頭の社会状況を背景にした批評性を備えたものとして論じられている。[3] そのため、本作は、山本が写真、詩、コラージュを横断しながら独自の表現を形づくっていく初期段階を示す重要な作品とみなされている。[3][4]

題名

脚注

参考文献

Related Articles

Wikiwand AI