Wikiwand AI

扁形動物

動物界の一門 From Wikipedia, the free encyclopedia

扁形動物(へんけいどうぶつ)は、扁形動物門(へんけいどうぶつもん、Platyhelminthes)に属する動物の総称。プラナリア、ヒラムシ、コウガイビル、サナダムシなどが扁形動物門に属する[2]。かつては無腸動物も扁形動物門に含まれていたが、分子系統解析により独立してチンウズムシ類とともに珍無腸動物門を形成する[3]。

概要 扁形動物門, 分類 ...
扁形動物門
ナンカイニセツノヒラムシ
Pseudobiceros bedfordi
分類
界 : 動物界 Animalia
上門 : 扁形動物上門 Platyzoa
門 : 扁形動物門 Platyhelminthes
学名
Platyhelminthes Minot, 1876[1]
シノニム
英名
Flatworm
亜門
閉じる

学名はギリシア語で「平らな(platys)虫(helmins)」を意味する[4]。「扁形」と呼ばれるようにこの門の動物は平らな形をしていることが多いが、微小なものでは円筒型であることも多い。種類によっては細長くなったりする[注釈 1]。循環器官や特別な呼吸器官を持ってはいない。血管や鰓がなく、体に栄養や酸素を運ぶには拡散に頼っている。また、多くの種が肛門がなく盲嚢状の腸を持つが、多岐腸類の一部や単咽頭類といった分類群では収斂的に肛門を持つものが見られる[5]。

左右相称の体を持つ動物の中では、非常に原始的な特徴を持っている。新皮類に属するものはすべて寄生性である。それ以外の大部分は自由生活性であるが、複数の目に寄生または共生生活を送るものが含まれる[注釈 2]。

特徴

左右相称で、前後と背腹の区別がある。自由生活のものでは、眼点や平衡胞、触覚器などを備えた頭部があり、内部には神経の集まった脳が形成される。寄生生活のものではそれらはほとんど退化し、その代わりに吸盤など体を固定するための器官が発達している。

内部は三胚葉性であるが、それ以外の三胚葉性動物とは異なり、その中胚葉は筋細胞と間充織が表皮と腸管の間を埋める状態にある。体腔がないので無体腔動物と呼ばれる。腸管は袋状で、出入口が一緒になっているため口と肛門が同じである。消化管は分枝して体内に広がり、各部で消化吸収が行われる。口の内側は多核で細胞の区別がない合胞体になっている体内につながり、ここに食物を取り込み、細胞内消化する。なお、吸虫では消化管は残っているが、条虫では完全に退化している。

神経系は中枢神経と末梢神経が区別でき、また頭部には脳が形成される。そこから後方へ左右一本の側神経が後方へ伸び、ほぼはしご形神経系に近いが、体節的構造がはっきりしないためかご形神経系と呼ばれる。

大部分では体内受精が行われ、交尾器が発達しているものが多い。生殖は分裂などの無性生殖(無性子)と卵などを産む有性生殖(有性子)の二種類がある。多岐腸類等一部の仲間は単一卵を産み、それ以外は卵殻を形成する。卵殻の中は複数の卵黄細胞と受精卵を含み、一つの卵殻から複数個体のウズムシが孵ることが多い。また、寄生性のサナダムシ類や吸虫類には、幼生が多胚形成などによって無性的に増殖するものがある。三岐腸類に属する一部のウズムシは再生能力が著しく高く、虫体を二分した後方の虫片から頭部を再生できるため、自切によって無性的に増殖する[注釈 3]。また、三岐腸目のミヤマウズムシ Phagocata vivida では破片分離 (fragmentation) という現象が確認されている[10]。小鎖状目のウズムシや多食形類のチョウヅメヒメウズムシ属の仲間は普通に無性的に分裂する。

発生

螺旋卵割。渦虫綱のものでは、多岐腸類に簡単な幼生を生じるものがあり、それらはミュラー幼生やゲッテ幼生と呼ばれる[11]。繊毛帯を持ち、肛門がない点を除けばややトロコフォア幼生に似る。しかし多くのものでは直接発生が行われる。吸虫や条虫など寄生性のものでは、それぞれにかなり特殊化した幼生が見られる。

系統

扁形動物は腹毛動物とともに吸啜動物を構成する[2]。伝統的な渦虫綱は多系統群であり、渦虫綱に含める説もあった顎口動物や無腸動物は扁形動物とは別系統に属する[2][3]。扁形動物の中では小鎖状類が初期に分岐し、これら以外の渦虫類や新皮類(吸虫類・条虫類・単生類)を含む系統が有棒状体類としてまとめられる[2]。

有棒状体類では多食形類が初期に分岐した系統とされ、続いて多岐腸類・原有吻頭からなる分岐群および錐咽頭類が有棒状体類からそれぞれ分かれた[2]。この系統関係に従うと、原有吻頭・錐咽頭類からなる卵黄皮類は多系統群ということになる[2]。残る系統については不確実であるものの、三岐腸類・フェカンピア類・原卵黄類からなる分岐群が不透明類 Adiaphanida としてまとめられ、その姉妹群としてヒメヒラウズムシと新皮類からなる分岐群が位置付けられる[2]。

分類

WoRMS・Turbellarian Taxonomic Database の分類

World Register of Marine Species (2025)、Turbellarian Taxonomic Database (2025) では以下のように分類されている[1][12]。

  • Subphylum Catenulida[13](小鎖状類/小鎖状亜門)
    • (綱・目なし)
  • Subphylum Rhabditophora[14](有棒状体類/有棒状体亜門)
    • Superorder Macrostomorpha[15](多食形類) - ヒラヒメウズムシMacrostomum tuba var. gigas など[注釈 4]
    • Trepaxonemata
      • Amplimatricata
        • Order Polycladida (多岐腸類)- ヒラムシ類
        • Order Prorhynchida(原有吻類)- コケウズムシ、コケヒラウズムシなど
      • Gnosesimida
        • Order Gnosonesimida(錐咽頭類)
      • Euneoophora

伝統的分類

伝統的に以下のように分ける。しかし、分子系統の方からは渦虫綱が単系統ではないとの指摘があり、現在では主に上の分類系統が用いられている。

条虫綱・単生綱・吸虫綱を新皮亜門 Neodermata としてまとめることもある[18]。

条虫綱 Cestoda

サナダムシの仲間。

単生綱 Monogenea

魚介類の寄生虫。以下の目を亜綱とする分類や、3つ目の亜綱 Polystomatoinea を認める説もある[18]。単生類の単系統性については議論がある[2]。古典的には単生類を条虫類の姉妹群とする説もあったが、分子系統解析による研究では認められていない[18]。

吸虫綱 Trematoda

古典的には単生類を含めていたが、独立した綱として扱われるようになった[18]。

渦虫綱 Turbellaria

プラナリア、ヒラムシ、コウガイビルなど、自由生活の動物。

脚注

参考文献

外部リンク

Related Articles

Timelines

Top Qs

Fact Checks