播州平野 (小説)
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1945年夏、作家の石田ひろ子は、政治犯として下獄して網走刑務所に収監された夫、石田重吉をささえるために、網走に向かおうとしていたが、青函連絡船の便もなく、福島県郡山の実家の疎開先に一時寄留していた。8月15日、ひろ子はポツダム宣言受諾の玉音放送を郡山で聴く。日本の敗戦を知ったひろ子は、夫の帰還を予測して、ひとまず東京にもどり、準備を始めようとする。すると、夫の弟が広島で被爆して行方不明だとの知らせをうけ、山口県の夫の実家へ向かう。義弟の消息がわからないままに、台風による水害も受けるなかで、治安維持法の廃止と政治犯の釈放の報せを知り、その中に夫の名前があることを知る。東京に戻った方がいいという、夫の実家の人たちの意見もあり、ひろ子は帰京を決意する。しかし、台風の被害は山陽地方にひろがり、鉄道も不通になるなか、ひろ子は姫路から東へ、馬車に乗って移動する。「日本じゅうがこうして移動しつつある」と、ひろ子は新しい時代のはじまりを実感するのであった。