斬首作戦

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斬首作戦(ざんしゅさくせん、: decapitation strike)とは、国家軍隊などによって行われ、敵対するや組織の重要人物のみを狙って排除する作戦である。「斬首」と名するが、近代においては実際に相手方の首を物理的に刎ねるものではなく(1)殺害、(2)捕獲、(3)捕獲後に殺害するという手段をとる[1]断頭作戦(だんとうさくせん)ともいう[2]

概要

敵対する国家の政府首脳部や軍司令官、組織の指導者などを対象として、おもにアメリカ軍ロシア軍によって複数回試みられており、未遂や計画段階のものも多く含まれる[3]

海軍甲事件

1943年4月18日日本軍暗号を解読していたアメリカ軍大日本帝国海軍連合艦隊司令長官山本五十六搭乗した一式陸上攻撃機偶然を装い撃墜している。この事件は「海軍甲事件」と呼ばれている[4]

朝鮮半島

韓国北朝鮮に対して行うとされている。北朝鮮が核攻撃を行う兆候を察知すれば、韓国軍は直ちに北朝鮮に侵入して金正恩後継者になるであろう正恩の子を含む「ロイヤルファミリー」、朝鮮労働党幹部・朝鮮人民軍指導部らを排除するとしている。

韓国軍は2017年12月1日に斬首作戦を行う部隊創設[5]在韓米軍特殊部隊が斬首作戦を行うことを想定した訓練を行っている。このことに対して金正恩は警護部隊を増やしたり避難路を拡充するなどをしている[6]

ロシアのウクライナ侵攻におけるロシア軍

2022年2月24日に米国防総省高官はロシアは斬首作戦を進めているとの見方を示した[7]ロシアのウクライナ侵攻では、ロシアはキーウに近いアントノウ空港の占領後、ヴォロディミル・ゼレンスキー大統領の暗殺と、親ロシア派の傀儡政権樹立という斬首作戦を計画していた。しかし、ウクライナ軍の善戦によりアントノウ空港の滑走路が戦闘により破損すると、ロシア軍軍用機の着陸が困難になり、当初予定されていた輸送機での追加兵力の投入や、補給が不可能になった。その結果、早期のキーウへ向けた前進が困難になったと同時に、市内に潜伏した工作員が全員排除されたことにより、ロシア軍の斬首作戦は頓挫した[8]

イラン・イスラエル戦争

2025年6月13日のイラン・イスラエル戦争イスラエル軍戦闘機約200機を使用し、イラン核関連施設軍事施設約100箇所を爆撃した。それと同時にイランのイスラム革命防衛隊(IRGC)の参謀総長モハメド・バゲリ、同じく司令官ホセイン・サラミを含むIRGCの司令中枢の高級幹部4人を殺害し、イラン核兵器開発を強く推進する核物理学者と政治家を含む5人も殺害した。イスラエル軍はこの一連の軍事、核関連施設に対する爆撃作戦、斬首作戦を「ライジング・ライオン作戦」と呼称している[9]

その後、2026年2月28日にイスラエル軍・アメリカ合衆国軍は共同でイランの首都テヘランを攻撃し、イランの最高指導者であったアリー・ハーメネイーを殺害したほか、革命防衛隊総司令官のモハンマド・パクプール、国防軍需大臣のアジーズ・ナシールザーデ、軍参謀総長のアブドルラヒーム・ムーサビ英語版、ハーメネイーの安全保障顧問であったアリー・シャムハーニーら政府高官や軍首脳も爆撃で死亡した[10][11]。この作戦を「エピック・フューリー作戦」(壮絶な怒り)[12]などと呼称している。

台湾有事

2022年に米国の中国軍事専門家は、台湾有事の際に中華人民共和国台湾中華民国)に斬首作戦を行う可能性があることを示す[13]。中華人民共和国は頻繁に軍用機艦艇を台湾周辺に派遣しているため中台間の緊張が高まり、指導者を暗殺する斬首作戦を行う懸念が高まっている。このため台湾は2023年10月に憲兵隊を5,600人から11,000にまで増員した[14]

脚注

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