月に囚われた男
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『月に囚われた男』(つきにとらわれたおとこ、英: Moon)は、2009年のイギリスのSFスリラー映画。 本作はデヴィッド・ボウイの息子であるダンカン・ジョーンズの長編映画監督としてのデビュー作であり、1970年代後半から1980年代前半のサイエンスフィクション映画の雰囲気を再現した作品である[5]。 そのため、『サイレント・ランニング』や『エイリアン』及び『アウトランド』等へのオマージュが見られる[6]。
| 月に囚われた男 | |
|---|---|
| Moon | |
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| |
| 監督 | ダンカン・ジョーンズ |
| 脚本 |
ダンカン・ジョーンズ ネイサン・パーカー |
| 原案 | ダンカン・ジョーンズ |
| 製作 |
スチュアート・フェネガン トルーディ・スタイラー |
| 出演者 |
サム・ロックウェル ロビン・チョーク ケヴィン・スペイシー ドミニク・マケリゴット カヤ・スコデラリオ ベネディクト・ウォン マット・ベリー マルコム・スチュワート |
| 音楽 | クリント・マンセル |
| 撮影 | ゲイリー・ショウ |
| 編集 | ニコラス・ガスター |
| 製作会社 |
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| 配給 |
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| 公開 |
(第25回サンダンス映画祭) |
| 上映時間 | 97分[1] |
| 製作国 |
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| 言語 | 英語 |
| 製作費 | $5,000,000[3] |
| 興行収入 | $8,985,462[4] |
あらすじ
近未来。地球は環境問題の解決に成功していたが、それには月の裏側で太陽エネルギーを含有する石から取り出したヘリウム3を用いた核燃料が必須だった。その供給の70%を担うルナ産業との3年契約が満了間近である宇宙飛行士サム・ベルは、1人孤独にサラン採掘基地で暮らし、人工知能のガーティと共に採掘された石を自動採掘機から回収後、精製したヘリウム3を地球に送り出す作業に従事している。通信衛星が故障したために地球とのライブ通信に失敗するサムにとって、木星を経由したビデオメッセージのやり取りが他の人類と交信する唯一の手段だ。帰還を2週間後に控えたある日、妻であるテスからの「もうすぐ娘が3歳になる」というビデオメッセージに不自然にカットされた痕跡を見つけたり、モニターに録画データが混線する不具合にも遭遇したが、サムは深く考えなかった。
一方で、サムには酷い頭痛が生じるようになっていた。加えて、ある日には少女の幻覚に気を取られて右手を火傷し、その翌日には採掘現場へ向かう車両の操縦中に事故を起こしてしまう。
サムを回収したガーティは診療室での経過観察を経た後、しばらくは自動採掘機の作業効率を落として療養に専念することを決定した。サムは、壊れているはずの通信衛星で本部とライブ通信をしているガーティに気づいてもその場では言及しなかったが、外に出る作業を禁止され閉じ込められる状態を嫌がって自分で基地内のパイプを損傷させると、外壁のチェックを理由に基地外へ出ることを要求して半ば強引に承諾させる。しかし、サムが向かったのは車両が事故を起こした現場で、事故車の中には右手を火傷し負傷したサムが取り残されていた。基地にいたサムが外に出ることを禁じられたのは、事故車で死亡する見込みである負傷したサムが、本部からやってくる救助船イライザのチームに回収されるまで、遭遇させないためだったのだ。
負傷したサムは回収され治療を受けた後、もう1人のサムの存在に困惑してガーティを問い詰めるが、彼の返答は「本部は君が助かったことを知らない」「僕は君を守っている」と要領を得ない。一方でもう1人のサムは、負傷したサムに対して冷たく「クローンと話すのは問題だ」と対応しつつも、コミュニケーションを経て態度を軟化させると、状況証拠から「オリジナルのサムがいる」「他にもクローンがいるはずだ」と主張して、基地内の調査を開始した。負傷したサムは最初こそ彼の主張を突っぱねたが、意を決してガーティに「俺はクローンなのか」と質問すると、彼からはそれを肯定する回答が返ってきて、その記憶もオリジナルからのコピーであると告げられる。
2人は協力することを決めると、自分たちがライブ通信を行えない原因を探るために基地の作業区外へ向かって、負傷したサムはステーション3を、もう1人のサムはステーション1を発見する。探索を続けるもう1人のサムに対して、負傷したサムは体調が悪くなって基地へ帰還するのだが、トイレに血を吐いた際に奥歯が抜けてしまった。危機感を覚える負傷したサムは、ガーティの協力でビデオデータログを閲覧し、何人ものサム・ベルが地球へ帰還できると信じて低温ポッドに入っていく光景を目撃する。実際のポッドを確認すると地下に隠し部屋があり、戻って来たもう1人のサムと共に調査したところ、自分たちと遜色ない大量のクローンや携帯式のライブ通信端末を発見した。
負傷したサムは、基地を囲う4つのステーションからの電波妨害が及ばない範囲まで移動すると、発見した端末を使って地球にいるテスとのライブ通信を試みる。しかし応答した女性は、テスが数年前に亡くなっており、自分は彼女の娘のイヴで15歳になると答えた。続けて、亡くなったテスについて尋ねたところ、イヴが父であるオリジナルのサムを呼び出したので、負傷したサムは通信を切って基地に戻り、もう1人のサムも基地でその通信ログを確認する。
もう1人のサムはガーティに対して、「俺たちが殺されないために、クローンをもう1人目覚めさせろ」と命令した。彼の作戦は、目覚めさせたクローンを殺して事故車に移した後、負傷したサムをヘリウム3の輸送ポッドに隠して地球に送り出すというものだった。しかし、負傷したサムの状態が日に日に悪化していることや、自分たちに殺人などできないという判断から、事故車には負傷したサム自身が残り、もう1人のサムが輸送ポッドに潜り込むことになる。
事故車に負傷したサムを移した後、もう1人のサムはガーティからの提案でもう1人のサム自身のデータを削除するために、彼のシャットダウンと再起動予約を行った後、自動採掘機のコースを変更して、電波妨害を行うステーションの1つを破壊するように仕組んでから、輸送ポッドの余剰スペースに潜り込んだ。作戦は無事に実行され、やがてサラン採掘基地の実態が露見しルナ産業の株価が大幅下落したことや、地球に帰還したもう1人のサムが航空管理局の調査委員会に証拠を提出したことを知らせるニュース音声が流れ、本作は幕を下ろす。
登場人物・キャスト
※括弧内は日本語吹き替え
- サム・ベル
- 演 - サム・ロックウェル(平田広明)
- 宇宙飛行士。植物を育てたり街の模型を製作して気を紛らわせている。途中、右手に火傷を負った上に、車両事故を起こして負傷した。
- ガーティ
- 声の演技 - ケヴィン・スペイシー(石塚運昇)
- サラン採掘基地の人工知能。「サムを助け、守ること」が仕事であり、作業に従事するサムをサポートする他、彼の事を気遣うような言動を見せる。
- テス・ベル
- 演 - ドミニク・マケリゴット(安永亜季)
- サムの妻。サムにビデオメッセージを送ってくる。
- イヴ・ベル
- 演 - カヤ・スコデラリオ(嶋村侑)
- サムの娘。サムがサラン採掘基地に向かった後に生まれたため、彼が帰還してすぐに3歳の誕生日を迎える予定となっている。
- イヴ・ベル(幼少期)
- 演 - ロージー・ショウ
- トンプソン
- 演 - ベネディクト・ウォン(鈴森勘司)
- オーバーマイヤーズ
- 演 - マット・ベリー(藤吉浩二)
- 技術者
- 演 - マルコム・スチュワート(鈴森勘司)
- もう1人のサム・ベル
- 演 - ロビン・チョーク(平田広明)
- サムが事故を起こした後に目を覚ました男。負傷したサムより活動的で短気な性格。目覚めた直後の状況から、ルナ産業のことを信用できず懐疑的になっている。
製作
ダンカン・ジョーンズはCM製作の経験を生かして、登場人物やセットを最小限に抑え特殊効果を安く仕上げる事で、本作を極力少ない製作予算(500万ドル)で製作し、撮影はロンドンのシェパートン・スタジオにて33日間で完了した[5][7][8]CGよりもミニチュアを多く用いている[6]。
劇中に登場するローバーやヘリウム3採掘ユニットは『エイリアン』の仕事で知られるビル・ピアソンのアドバイスによって作成された[9]。また、劇中の月面基地サランは奥行27メートル幅21メートルの実寸モデルとなっている。基地を管理するガーティはストーリー進行上の理由からHAL 9000のようなビルトインタイプでもなく、R2-D2のような自走タイプでもない天井吊り下げ式という特異な形になった[5]。
監督を務めるダンカン・ジョーンズは予ねてより月に関心を持っており、「嘗て人類が辿り着いた場所でありながら未だに謎めいた場所である月における科学とサイエンスフィクションの狭間を埋めたい」と考えていた。本作のディレクターのダンカン・ジョーンズは以下のように述べている[10]。
「インディーズ映画とSF映画はなかなか両立しない。SF映画はしばしば巨額な制作費が必要とされ、インディーズ映画の予算で達成するのが難しいからだ。両者を共存させるのは難解なパズルを解くようなものだったが、濃密な人間関係と魅力ある宇宙空間の両方を描きたかった。そのためには登場人物を少なくして、制作費を最小限にしたかった。我々は、視聴者が夢中になるようなストーリーと、類稀なる俳優、そして数々の見事な特殊効果によって、正真正銘のSF映画を33日という制作期間[5][7][8]と低予算(500万ドル[4])で製作した」
封切り
表彰
- 第63回英国アカデミー賞
- 受賞 - 新人賞(監督)
- ノミネート - 英国作品賞
- 2009年シアトル国際映画祭
- 受賞 - 主演男優賞
- 2009年ナショナル・ボード・オブ・レビュー
- 受賞 - 新人監督賞
- 第12回英国インディペンデント映画賞
- 受賞 - インディペンデント映画賞
- 受賞 - ダグラス・ヒコックス賞(新人監督賞)
- ノミネート - 監督賞
- ノミネート - 主演男優賞
- ノミネート - 脚本賞
- ノミネート - 技術賞
- 2009年ロンドン映画批評家協会賞
- 受賞 - 新人賞(イギリス国内)
- 第36回サターン賞
- 2010年ヒューゴー賞
- 受賞 - ヒューゴー賞映像部門