月を眺める二人の男
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| ドイツ語: Zwei Männer in Betrachtung des Mondes 英語: Two Men Contemplating the Moon | |
| 作者 | カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ |
|---|---|
| 製作年 | 1819年 |
| 種類 | 油彩画 |
| 素材 | キャンバス |
| 寸法 | 35 cm × 44.5 cm (14 in × 17.5 in) |
| 所蔵 | ノイエ・マイスター絵画館、ドレスデン |
| ウェブサイト | 公式ウェブサイト |
『月を眺める二人の男』(つきをながめるふたりのおとこ、独: Zwei Männer in Betrachtung des Mondes、英: Two Men Contemplating the Moon)は、ドイツのロマン主義の画家カスパー・ダーヴィト・フリードリヒが描いた絵画[1]。英語でのタイトルは Two Men Observing the Moon とも表記される[2]。森の中を散策している2人の男性が、月を眺めている様子が描かれている[3][4]。
フリードリヒは、本作と同じ主題で描かれた異なる作品(ヴァリアント)を複数製作しており、これらの作品についても本項で記述する[5]。
キャンバスに油彩で描かれた作品である[6][1]。縦35センチメートル、横44.5センチメートルの大きさをもつ[7]。ドレスデンのノイエ・マイスター絵画館に所蔵されている[1]。1819年に製作されたものと考えられているが、1819年から1820年ごろに製作されたとする文献もある[1][7][6][8]。
フリードリヒの友人で1823年から彼と同じ家に住んでいた、ノルウェーの風景画家ヨハン・クリスチャン・ダールは、自らの作品と交換する形で本作を手に入れる[3][9]。ダールの会計帳簿によると、フリードリヒの死からおよそ4か月後に当たる1840年9月28日に本作は王立ドレスデン絵画館会計課に売却されたとされる[9][4]。
フリードリヒは、『雲海の上の旅人』や『朝日の中の婦人』、『窓辺の婦人』などのように後ろ姿の人物像 (Rückenfigur) を描いた作品を多く製作しており、本作もその例に漏れない[10][11][7][12][13]。フランスの小説家で劇作家のサミュエル・ベケットについて研究しているジェイムズ・ノウルソンによると、ベケットは1937年2月14日、ドレスデンで本作を見たときに感銘を受け、本作に想を得て戯曲『ゴドーを待ちながら』を執筆したとされる[14][8]。
作品
秋が終わろうとしている頃のある日の夜に、森の中を散策中の2人の男性が、沈もうとしている三日月と金星を眺めるために足を止め、坂になっている岩がちの小道に佇んでいる[3][4]。2人はともに鑑賞者にほとんど背を向けており、若いほうの男性が年上の男性の肩に腕をかけて寄りかかっている[15][4][16]。三日月は画面のほぼ中央に位置しており、その右側にある金星は三日月とほぼ同じ高さに位置している[16][3]。月の光は、赤みを帯びている[17][18]。


この2人の男性については、画家のヴィルヘルム・ヴェーゲナーは、1918年の時点で45歳のフリードリヒと、その弟子で友人でもあったアウグスト・ハインリヒがモデルになっているとする説を唱えており、現在ではこの説が一般的になっている。しかし、ダールが1840年9月26日に絵画館へ送った手紙には、ハインリヒと、フリードリヒの義弟、クリスチャン・ヴィルヘルム・ボマー (Christian Wilhelm Bommer) がモデルであるとする説が述べられている[4][9][19][8]。美術史家のヘルムート・ベルシュ=ズーパンは、1819年の時点でハインリヒが25歳であり、ボマーが18歳であることから、ヴェーゲナーの説を支持している[4]。
辺り一帯に赤茶色の靄が立ちこめている[7]。画面の左上に描かれている常緑樹のドイツトウヒは、枝を垂れ下げている[4][3][16]。画面の右側に描かれたオークの木は、岩塊によって根の部分が半分ほどむき出しになっており、ほとんど枯死している[4][3]。何本かの根は空を突いている[16]。フリードリヒは、1807年の『エルベ渓谷の眺め』でドイツトウヒを、『雪中の石塚』でオークを描いている[4]。画面の右端後方には、何本かのドイツトウヒが小さく見えていることから、2人の眼下には谷があるものと考えられる[16]。
2人が身につけているのは、古き良きドイツの民族衣装である[20][10]。年上の男性は、やや青みを帯びた灰色をしたマントに身を包み、黒いベルベットのベレー帽を被っており、右手には杖を持っている[21][10]。若いほうの男性は、わずかに前傾姿勢になっており、腰から下がスカート状になっているコートに身を包み、ひさしとあごひもの付いた帽子を被っている[21]。