平安時代、朝儀や祭事、四季の行事などに関する形式と作法の次第を定めたものを「儀式」といい、その典拠となる先例(故実)を「典礼」と呼んでいる。儀式・典礼は、唐法における礼を基本としてつくられたものが多いとされる。儀式・典礼を知ることは、貴族社会において必須のこととしてきわめて重要視された。かれらが朝儀に参加し、その作法の先例を尊重して、正しく儀式次第をおこなうことこそが、公家の体面や資格にかかわるほどであった。そのため、院政期から鎌倉時代にかけて、朝廷で有職故実の学が生まれ、儀式書も多数記されることとなるが、これは、過ぎ去ったよき時代への懐古と尊重の念を基本としていた。