本質的値域
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正式な定義
f を L∞(μ) にも属するある測度空間 (X, μ) 上で定義される複素数値函数とする。このとき、f の本質的値域とは次の集合のことを言う:
注釈:本質的値域は、次のように表現することも出来る。
ある複素数値函数 f の本質的値域とは、各 ε-近傍の逆像が f の下で正測度を持つような複素数 z すべてからなる集合のことを言う。
上記のような本質的値域の表現は、その前の正式な定義と同値なものであり、したがってこの記事の以下の部分ではそのような表現も同様に利用することとする。
性質と例
1. 測度空間 (X, μ) 上で定義される絶対値が有界であるようなすべての複素数値関数は、本質的に有界である。この証明は次節で行われる。
2. 本質的に有界な函数 f の本質的値域は、常にコンパクトである。この証明も次節で行われる。
3. 函数の本質的値域 S は常に、その函数の値域 A の閉包の部分集合である。これは、A の閉包に属さないような w に対しては、ある ε-近傍 Vε で A と交わりを持たないようなものが存在するという事実に由来する。すなわち、f−1(Vε) は測度 0 となり、w は S の元となり得ない。
4. ある函数の値域がたとえ空でなくても、その本質的値域は空となり得ることに注意されたい。例えば、Q をすべての有理数の集合とし、T を Q の冪集合とする。このとき、T は Q 上の σ-代数となり、T のすべての元を 0 へ移す上への写像 m が Q 上の測度となって、測度空間 (Q, T, m) が形成される。今 Q を定義域とし、単位円内に含まれるすべての有理数の座標からなる集合を値域とする函数を f とすれば、f の値域は明らかに空ではない。しかし f の本質的値域は、例えば任意の複素数 w とその ε-近傍 V に対して f−1(V) が測度 0 となることより、空となる。
5. 上の例 4 はまた、ある函数の本質的値域が、その函数の値域の閉包の部分集合であっても、それら二つの集合は必ずしも一致しないことを意味する。