気候変動に関する世論と影響要因

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気候変動の原因に関し、31カ国(18歳以上のフェイスブックユーザー76,328名)を対象とし2021年2月に実施された世論調査の結果[1]
深刻さの認識:気候変動は気候緊急事態かどうかについての信念に関する国連開発計画の2021年「ピープルズ・クライメート・ボート(The Peoples’ Climate Vote)」調査結果。温室効果ガス世界最多排出国(当時)10か国中、日本が最も高い認識率であった[2]
2020〜2021年に欧州投資銀行が実施した気候意識調査によると、中国・米国・欧州の回答者の少なくとも72%が気候変動が日常生活に影響を与えていると述べた。

気候変動に関する世論と影響要因(きこうへんどうにかんするせろんとえいきょうよういん)について、主に2010年代以降の調査結果を中心に述べる。

世論調査は、気候変動に関するコミュニケーション研究および気候行動を改善するための重要な要素である[3]。1980年代以来、意識調査として始まった気候変動に関する世論調査は、徐々に気候行動への関与やコミットメントの詳細を含むようになった。2020年頃からは大規模な調査がより世界的かつ精緻な結果を提供しており、世界中で大多数が気候変動気候緊急事態とみなしている。

これら世論は社会人口学的・政治的・文化的・経済的・環境的な要因[4]に加え、報道での扱い[5]やニュース/ソーシャルメディアによる影響[6]など、幅広い要因に左右される。

2022年のピュー(Pew)調査によってもほとんどの調査対象国で、大多数が気候変動を自国への重大な脅威とみなしており、約半数の国の回答者が5つの脅威の中で気候変動を最も深刻なものとして順位づけていたが、米国は先進国中最下位の認識である[7]。 
国連開発計画による77か国を対象とした「ピープルズ・クライメート・ボート(The Peoples’ Climate Vote)2024」調査では、イラクとロシアを除く主要な化石燃料産出国(図の左側に提示、c: 石炭、g: 天然ガス、o: 石油)の回答者の過半数が化石燃料からの迅速な移行を支持していたが、米国は過半数支持国で最下位である[8]

1980~2014年にかけての200以上の研究を対象とする数千の論文をレビューした2015年の学術記事によれば、1980年代から1990年代初頭にかけて気候変動への認識が高まり、その後1990年代後半から2000年代初頭にかけて懸念の増加と、それに伴う意見の対立があった。その後2000年代半ばから後半にかけて、一部の国では懸念の減少と懐疑の増大の時期があったが、2010年から2014年にかけて気候変動への懸念は安定していった[9]

2008~2009年に127か国で実施された最初の大規模な世界調査では、世界人口の約62%が地球温暖化について知っていると回答した。北米・欧州・日本など先進国では67%以上(米国では97%・日本では99%)が知っていたが、発展途上国、特にアフリカでは4分の1未満しか知らなかった。しかし多くの人は地域的な気象変化には気づいていた。この調査によると、気候変動を認識しそれが人間活動によって引き起こされていると知っていたのは当時世界人口のわずか42%であり、それら人々の間でも「気候変動が人間活動によるものである」という信念の強さには国ごとに大きな差があった[10][11]

2021年のロイズ財団世界リスク世論調査(Lloyd’s Register Foundation World Risk Poll)は121か国で実施され12万5,000件以上のインタビューが行われた。それによれば67%の人々が気候変動を自国への脅威とみなしており、気候変動によって頻度と深刻さが増悪した自然災害を多く経験している国や地域ほど、レジリエンス(回復力)が低い傾向にあった[12][13]

2021年1月、国連開発計画(UNDP)はオックスフォード大学と協力して、「ピープルズ・クライメート・ボート(The Peoples’ Climate Vote)」と銘打った世界最大規模の気候変動に関する世論調査を発表した。この調査は50カ国120万人を対象とし世界の人間居住域のほぼ全域をカバーした。その結果、全体で64%の回答者が気候変動は緊急事態であると信じており、この割合は西欧州と北米国では72%で最も高く、サブサハラアフリカが61%で最も低かった。所得と気候変動への関心との関連では、高所得国では72%・中所得国では62%・低所得国では58%が緊急事態であるとした。調査はさらに、経済から交通まで6分野にわたる18の主要政策について賛否を尋ね、全ての政策提案は一般的に高い支持を得た。例えば排出量最多10カ国のうち8カ国で、再生可能エネルギーの拡大を支持する回答が多数を占めた。全体としてそれぞれの国民はより多くの政策実施を望み、政策立案者にさらなる行動を求めていた。気候変動を緊急事態とする回答者のうち59%が、「世界はあらゆる手段を尽くし、緊急に対応すべきだ」と答えた。一方でいかなる政策も不要と答えた割合は極めて少なく、最も高かったパキスタンでもわずか5%であった。総じてこの結果は、広範な認識・懸念・そしてより大きな行動を求める意欲が世界各地に存在することを示している[14][15]

2021年の欧州投資銀行気候調査では[16]

  • 中国の回答者の91%・英国の73%・欧州全体の70%・米国の60%が、より強力な気候変動緩和政策を支持した。
  • 欧州居住者の63%・英国人の59%・米国人の50%・中国人の60%が再生可能エネルギーへの転換を支持した。
  • 欧州回答者の69%・英国の71%・米国の62%・中国の89%が、気候変動を引き起こしている製品やサービスに対する課税を支持した。

2022年の同気候調査では[17]

  • 欧州および英国の回答者の87%・中国の76%・米国の74%が「自国政府は気候変動への対応が遅すぎる」とし[18]
  • 欧州の80%・中国の91%・米国67%・英国65%は、気候変動が日常生活に影響を及ぼしているとした[19][20]
  • 欧州の63%・中国の83%・英国の63%・米国の57%が「エネルギー価格を消費量に応じて設定すべきか」に同意した[21]
  • 大気の二酸化炭素汚染を引き起こす活動(航空旅行やSUVなど)に対しより高率の税を課すべきとする人は、欧州で64%・中国で84%・米国で66%・英国で52%であった[22][23]
  • 今後数年間において商品やエネルギーの消費を減らさなければ、世界的な破局は避けられないと考える人は、中国で88%・英国で83%・米国で72%・欧州で84%であった[19][24]
  • 欧州回答者の84%が「近い将来に消費を大幅に削減しなければ、悪影響は不可逆的になる」とした。
  • 2030年までに政府が炭素排出量を削減できると信じる人は少数に過ぎない[25]

2024年の同気候調査では[26]

  • 86%の欧州人が「気候変動への適応投資は雇用創出や地域経済の活性化につながる」とした。
  • 回答者の80%(南欧では89%)が過去5年間に少なくとも1回の極端気象を経験したと報告し、
  • そのうち55%が猛暑・熱波を経験しており、スペインでは73%・ルーマニアでは71%と高かった。
  • 回答者の35%が干ばつを経験し、ルーマニアでは62%・スペインでは49%と高い割合であった。
  • 回答者の34%が激しい嵐や雹を経験し、スロベニアで62%・クロアチアで49%がこれを報告している。

国連開発計画「ピープルズ・クライメート・ボート2024」では、77か国73,000人以上を対象に気候変動に関する15の質問が出され、80%の人々が政府により強力な気候危機対策を求めていることが示された[27]。しかし一方で2024年にイプソスが29か国の25,520人(16~74歳)を対象に実施した、それぞれの国で憂慮されることに関する調査では気候変動は順位で8位にとどまり、インフレ・犯罪・貧困など他の問題より大幅に下位であった[28]。2024年には排出量の40%を占める65か国以上の約40億人が国政選挙に参加することを鑑みると、これは懸念材料であった[29]

米国人の80~90%が自国民の間に気候変動緩和政策や気候への懸念の支持がどの程度広がっているかを過小評価している。実際には66~80%の米国人がこれらの政策を支持しているのに人々はその半分の37~43%と推定しており、「虚偽の社会的現実」と呼ばれる誤認である[30][31]

2024年2月の125か国ほぼ130,000人を対象に実施された調査研究[32]では、世界人口の89%が「より多くの気候行動を望む」と回答し、69%が「所得の1%を気候行動に拠出することに同意する」と答えた。しかし回答者に「より多くの気候行動を望む人々の割合」を推測させたところ、平均的な回答は実際よりもはるかに低かった。すなわち気候変動を支持しているのは多数派であるにもかかわらず顕在化していないことを示している。他の研究でも大多数が気候行動や、炭素排出取引を通じた富の再分配を支持していることが示されており、2025年4月にはそのような多数派の存在を可視化することを目的とし[33]ガーディアンを含む多くのメディアが「The 89% Project」を開始した[34][35]

世界地域別動向

アフリカ

2011年時点、サブサハラアフリカ諸国で気候変動を「非常に」または「ある程度深刻な問題」と考える人は34%であった[36]が、ピュー研究所の2015年の世界調査によれば、アフリカの61%の人々が気候変動を非常に深刻な問題と考え、52%がすでに人々に悪影響を及ぼしているとしていた。国によって関心の度合いは異なっており、ウガンダでは79%・ガーナで68%・南アフリカで45%・エチオピアで40%の人々が気候変動を非常に深刻な問題と考えていた。干ばつ・水不足を懸念する人が59%に達する一方で、極端気象現象を懸念する人は16%、海面上昇を懸念する人は3%に過ぎなかった[37]

2022年の調査では、アフリカの回答者の51%が「気候変動は直面している最大の問題の一つである」と答え、76%が再生可能エネルギーを主要なエネルギー源として望み、回答者の4分の3が再生可能エネルギーの優先化を求めた。化石燃料の優先化を望んだのは13%であった[38]

欧州

自然災害の増加・環境破壊・気温上昇は、欧州投資銀行(EIB)が2020~2021年に実施した調査[39]で、欧州人が気候変動に関連して最も懸念する問題として挙げられている。

西欧諸国では、個々人が最も気候変動をよく認識し、自身や家族にとって非常に、あるいはある程度深刻な脅威とみなす傾向が強い[40]。欧州人は米国人よりも気候変動への懸念が強い[41]

欧州内部では地域差が存在し、気候変動への懸念は東欧よりも西欧で強い。欧州投資銀行の世界的な気候調査によると、欧州人にとって「気候変動は最も重要な懸念事項」であることが示されている。多くの回答者がすでに気候変動の影響を感じていると答えており、スペインでは68%が「気候変動はまだ逆転可能である」とし80%が「自分たちもその解決の一部である」とした[42]

2018年の調査で気候変動の削減に個人的責任を感じるかという質問に対して、0(全く責任を感じない)から10(強く責任を感じる)の尺度で尋ねたところ、欧州全体の平均は5.6であった。詳細には、西欧州では平均7に近い一方、東欧州では平均が4未満である[43]

欧州投資銀行2019年気候調査によると、欧州人の90%が「自分の子どもたちは日常生活で気候変動の影響を受ける」と信じ、70%が「気候変動対策のために追加の税金を払うことをいとわない」と回答している[42]

欧州投資銀行2022年の気候調査によると、欧州人の大多数は「ロシアによるウクライナ侵攻が、自分たちにエネルギーを節約し化石燃料への依存を減らす動機を与えた」としており、66%がより環境に優しい経済への移行を加速すべきだとしている[25]

多くの人々は「政府が個人の行動変化を促す役割を果たすべきだ」としており、欧州人の66%(30歳未満では72%)が「政府は気候変動対策のために人々の行動を制限するような厳しい措置を取るべきだ」としている[44]

ドイツでは気候変動に関する意見により人々は「警戒的行動派(Alarmed Actives)」「確信者(Convinced)」「慎重派(Cautious)」「無関心派(Disengaged)」「否定派(Dismissive)」の5通りがあるとされた[45]

2021年に英国経済問題研究所(IEA)が実施した調査では、英国の若者(16〜24歳)の75%が「気候変動は資本主義特有の問題である」という見解に同意した[46]

2024年に欧州連合で実施された調査では、回答者の50%(南欧では65%)が今後数年間に自国が優先すべき課題として気候変動への適応を挙げた。また28%が「高齢者を気候変動への適応支援の優先対象とすべき」とし、23%が「高リスク地域に住む人々が最初に支援を受けるべき」と答えている[47][48]

アジア・太平洋地域

アジア・太平洋地域では小島嶼国を除き気候変動への関心は比較的低く、2015年の調査で気候変動を非常に深刻な問題としたのは45%、「すでに人々に悪影響を与えている」としたのは48%、「気候変動が自分自身に悪影響を与えることを非常に懸念している」人は37%にとどまった[37]。しかしそれより以前2012~2013年のパキスタンでの調査では既に当時、53%が気候変動が洪水や干ばつの形で自らの生活に深刻な影響を及ぼしており、自分たちの生活が5年前より悪化したと答えた。しかしその調査では当時多くの人々が気候変動が何かを知らず、異常気象を神の意志によるものと考えていた[49]

2018年の調査では、中国は世界最大の排出国であるにもかかわらず68%の人々が「自国政府の環境保全への取り組みに満足」し、世界第3位の排出国であるインドも77%の人々が同じ回答をした[50][51]。欧州投資銀行の2019年気候調査では、中国人の80%が「気候変動はまだ逆転可能である」と考え、72%が「自分の行動が気候変動への対処になる」とした[42]

2020年の調査報告では、インドで41%が「政府は気候変動問題にもっと取り組むべき」とし、53%は「経済成長を犠牲にしてでも環境を守ることが重要である」と答え、個人主義的価値観よりも平等主義的価値観を示す傾向が見られた[52]

中東

ピュー研究所の2015年の調査では中東は世界で気候変動への関心が最も低い地域の一つであり、気候変動は非常に深刻な問題であるとしたのは38%、気候変動がすでに人々に害を及ぼしているとしたのは26%にすぎず、懸念していることは38%が干ばつ・19%が長期間の異常高温(これらいずれもが気候変動で悪化するにもかかわらず)であった[37]。2017年の調査でも気候変動を自国への重大な脅威と考える割合は、イスラエルで38%・ヨルダンで40%・レバノンで58%・トルコで53%であった[53]

中南米

中南米では気候変動に関心を持つ人の割合が高い。ピュー研究所によると74%が気候変動を深刻な問題と考え、77%が「すでに人々に悪影響を与えている」と答えており、これは世界の中央値より20ポイント高い。同じ調査で中南米の63%が「気候変動が自分自身に悪影響を与えることを非常に懸念している」と回答し、さらに67%が「気候変動には個人の責任があり、人々は生活様式を大きく変える必要がある」と答えている[37]

なかでもメキシコおよび中米の人々が最も懸念しており、2009年時点で既にメキシコでは90%が「気候変動は非常に深刻な問題である」とし、83%が「気候変動はすでに人々に大きな被害を及ぼしている」とした[54]。2017年の調査でも81.5%が気候変動を非常に深刻な問題と考えている。南米では75%、カリブ海諸国では66.7%であり、比較的高いが他地域よりやや低い[55]。ブラジルは世界第11位の炭素排出国でありかつ86%が地球温暖化を非常に深刻な問題としているため、国際的な気候政策上重要な国である[37][43]

北米

2015年の調査でカナダでは81%が気候変動を懸念しているとし、ほとんどまたは全く懸念していないのは19%であった[56]

それに対し2018年時点で米国人は自国が世界で2番目の大量炭素排出国である[50]にもかかわらず世界の中央値よりも無関心であり、気候変動を懸念しているのは61%で、「気候変動は自分に個人的影響を及ぼしうる」としたのは41%であった[57]。2023年にPublic Religion Research Institute(PRRI)が実施した米国調査でも、気候変動は主に人間の活動によって引き起こされているとしたのは61%で、28%が地球環境の自然なパターンによるもの、10%は気候変動に証拠はないと否定し、上記2018年の調査結果からほとんど変わっていなかった[58]

にもかかわらず欧州投資銀行2019年気候調査では、米国人の76%が「先進国には(注:「米国」ではない)途上国が気候変動に対処するのを支援する責任がある」とした[42]

民主党(青)と共和党(赤)は、気候変動への対応の重要性に関する見解で長年分かれており、その差は2010年代後半以降拡大の一途である[59]
地球温暖化の原因に関する意見の分裂は2020年代にかけても続き、共和党支持者はわずか30%しか原因を人為的と認めない[60]

2021年の調査では、気候変動・地球温暖化に関する米国世論を以下の6つに分類した[61]

  1. Alarmed(警告的):気候変動が進行しており人為的原因による深刻な脅威であると確信している。社会的・政治的な対策を積極的に支持する。
  2. Concerned(懸念的):警告的グループほど確信や関与は強くないが、それでも気候変動を問題と認識しており対策を支持する。
  3. Cautious(慎重的):気候変動が進行しているかどうかに不確実性を感じ、もし起きているとしても遠い将来の脅威と考える。気候関連政策の支持は低い。
  4. Disengaged(無関心的):気候変動に対する認識や理解がほとんどなく、問題に注目しない。
  5. Doubtful(懐疑的):気候変動を疑い、もし起きているとしても自然現象によるものであり深刻な問題ではないと考える。
  6. Dismissive(否定的):気候変動は起きていない、または問題ではないと積極的に確信し、科学的コンセンサスを否定する。

米国では気候変動は単純に二極化した政党派問題であり[62]、気候変動の認識・対策に対し概して共和党支持者は反対し民主党支持者は賛成する[63]。(気候変動世論に影響する要因>政治的イデオロギー・支持政党の項を参照)

気候変動政策への世論の効果

2017年の論文によれば、環境保護主義の方向への世論の変化は、欧州における再生可能エネルギー政策の採用を大きく促進した[64]。2020年の論文によれば、人為的な気候変動を信じる人が多い国ほど炭素価格が高い傾向にある[65]

世論の国ごとの差異は課題となっており、適切な対応策に関する国際合意の形成を難しくしている[66]。しかし国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)開催後は開催国では気候関連法制が増加し、それが政策拡散(policy diffusion)しうる。これはある地域(すなわち開催国)の政策が他地域(すなわち非開催国)の政策決定に影響を与える現象であり、気候関連法制に対して積極的な効果がある[67]

地域レベルでの気候変動世論の政策への効果の例としてフロリダ州マイアミデイド郡では、海面上昇・熱・暴風の深刻なリスクに直面している住民の気候変動への懸念が地方政府の意思決定に影響し、郡は「持続可能性と回復力プラン」を策定した[68]。この計画には、公共交通の改善・電気自動車用充電ステーションの増設・低所得層住宅のエネルギー使用削減など、地域からの提案が含まれている[69]

気候変動世論に影響する要因

教育水準

Google検索用語としての「気候変動」の使用頻度によって測定された、気候変動に対する関心の変化。

気候変動への関心の変化は、「climate change」という語句のGoogle検索回数でも測定されている。認識度に差がある国々では、教育格差がそのまま認識格差となって現れている[70]。中国では大学教育を4年以上受けた人の98%が気候変動について何らかの知識を持つと回答したのに対し、9年間の教育を受けた人では63%にとどまった。しかし気候変動認識の増加が必ずしも脅威認識の増加に結びつくとは限らない。中国では教育水準による認識の差にもかかわらずどの層も地球温暖化を深刻な脅威とは感じていない。一方インドでは教育を受けた人ほど認識が高く、かつ教育を受けた人はそうでない人よりも地球温暖化を脅威とみなす傾向がはるかに強く、欧州でも高い教育を受けた人ほど気候変動を深刻な脅威とみなし[66]、またインターネットを多く利用する欧州人は気候変動を深刻な脅威とみなす傾向が強い[71]。いっぽう米国では科学的知識や教育水準が高いほど、気候変動に関する信念がより二極化する傾向がある[72]

人口統計的因子

年齢や性別のような人口統計学的因子が気候変動への関心とどう相関するかについては、大きなばらつきがある。英語圏の地域では女性や若者の方が気候変動に対してより強い関心を示す傾向があるが、ほとんどのアフリカ諸国ではその逆である[11][73]

居住地も認識に影響する。2008年の中国では、都市部の居住者の77%が気候変動を認識していたのに対し農村部では52%にとどまった。この傾向はインドでも同様で都市部で49%、農村部で29%の認識率であった[66]

欧州では55歳未満の人々はそれ以上の高齢者より「貧困・食料や飲料水の不足」と気候変動の両方とも深刻な脅威と見なす傾向が強い。また男性の方が女性よりも気候変動を脅威と認識する傾向があり、管理職・ホワイトカラー労働者・学生は、主婦やリタイア後の人々よりも気候変動を重大な脅威と見なす傾向が強い[71]

保守的白人男性は、とくに米国では気候変動を否定する者が多い[74]。また男性は気候変動が人間によって引き起こされていること、科学的コンセンサスがあることを認めない傾向が強い[75]。ノルウェーでも同様で、人為的気候変動を否定している者は全国民では36%だが保守的男性では63%に達する[76]。スウェーデンでも政治的保守主義が気候変動否定と相関していることが確認されており、ブラジルでは男性は女性よりも気候変動を否定する傾向が顕著である[77]

環境政策に関しては男女で違いがあるものの、経済状況が悪化すると炭素排出規制策を支持しなくなるのは同じである[75]

年齢・世代

若者は成人や高齢世代よりも気候変動について深い理解と認識を持っている[78]。若い世代は一般的に年長世代よりも気候変動に対して強い関心を示し、より否定的かつ悲観的な態度を取る傾向がある[79]。正確に把握することは難しいものの、若年層は年長層よりも気候変動は行動によって効果的に緩和できると信じる割合が高くまたそのための行動を起こす意欲も高い[79]

ミレニアル世代の約28%が気候変動への対策として何らかの行動を取ったと答え、40%が気候変動に関してソーシャルメディアを利用したと回答している。Z世代では45%に達する。若い世代はまた、投票でも気候変動対策政策の支持を反映させる傾向がある[80]

2021年、オーストラリア・ブラジル・フィンランド・フランス・インド・ナイジェリア・フィリピン・ポルトガル・英国・米国の16〜25歳の世代の気候変動意識調査が実施された。それによると10人中4人が気候変動への恐れから子どもを持つことをためらっており、10人中6人がこの問題に極度の不安を感じている。また多くが年長世代や政府に裏切られたとした[81]

2021年にポルトガルの高等教育機関で行われた調査でも若年層の学生ほど気候変動を強く懸念しており、自然科学・環境科学分野の学生は、リサイクルを実践したり、気候変動対策に取り組む企業で低賃金でも働く意欲を持つ傾向が高かった。工学分野の学生はその傾向は低かったものの、大多数の学生が気候変動に懸念を抱いており、教育課程に気候変動に関する内容をより多く取り入れるべきだと答えた[82]

政治的イデオロギー・支持政党

気候変動の深刻さに関する国内の政治的分裂は、一貫して政治的イデオロギーと相関しており、右翼は常に否定的である[83]
温室効果ガスの排出を削減するための幅広い政策が提案されているが、国民の支持は一貫して政党ごとに異なっている[84]

政治的イデオロギーは、気候変動に関する公共政策を支持または拒否する最も一貫した要因の一つである。個人の政治的イデオロギーは、その人の認知的および感情的評価に影響を与え、それが気候変動をどのように認識するかに影響する[85]

欧州では気候変動に関しては、左派右派の間で意見の分断はそれほど大きくない。左派政党(環境政党を含む)は気候変動対策を強く支持している一方で、保守的な欧州政党も、特に西欧および北欧では同様の姿勢を示している。例えば保守党党首であったマーガレット・サッチャーは首相在任中は積極的な気候保護政策を進め、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)および英国ハドレーセンター(気候予測・研究センター)の設立に重要な役割を果たした[86]。フランスの中道右派大統領ジャック・シラクは主要な環境および気候変動政策を推進した。ドイツでは保守政党政権下で欧州気候変動対策が支持されてきた。

いっぽう米国ではイデオロギーが党派所属と直結している。概して共和党は保守派で民主党・無党派は中道・リベラル派であり[87]、米国人の多数意見はその時点での政権見解にそのまま従う[88]。例えば2008~2009年にかけて保守派が増躍したとき、「報道は気候変動を誇張している」と言う人々も増えた[89]

2018年の研究でも米国一般市民の気候変動に関する意見は、権力のある政治家の党派的発言にそのまま従うとした[90]。政治的問題では米国人は自分の意見を政治的イデオロギーが同じ他者と一致させようとすることの顕れであり、既存の信念と一致することが強いことであるとする「動機づけられた推論理論」に一致している。2017年の調査でも、米国で2010~2014年の間に気候変動に関する意見を変えた人々は、その理由として主に「自分と支持政党や政治的イデオロギーを同じくする人々と協調するため」と答えている[91]

米国共和党員の気候変動懐疑主義を分析した研究は、党による説得とレトリックが支持者の世論形成の主因であり、共和党の懐疑主義が報道機関やソーシャルメディアを通じてそのまま拡散しているとしている[92]

2014~2018年にかけて行われた米国オクラホマ州民の調査では、右派党派(すなわち共和党)は左派党派(すなわち民主党)よりも気候変動に関する信念がはるかに不安定であった。調査結果は右派の意見はより変化しやすいと述べている[93]

人間活動が気候変動の主因であると認める割合は宗教によって大きく異なり、たとえば白人福音派プロテスタントではわずか3分の1未満である[94]

いっぽう国際的な調査データの科学的分析によれば、右派的傾向および個人主義は、米国を含む英語圏諸国では気候変動否認と強く相関しているが、非英語圏諸国では大多数でその関連性ははるかに弱い[11][95]

終末論的神学のような特定の宗教的信念も気候変動否認と相関していることがわかっているが、政治的保守主義ほど確実な予測因子ではない[96]

所得水準

気候変動の影響を受けている低所得国は補償を受けるべきであるとした回答者%[97]

所得は、化石燃料発電所の建設や産業界の環境基準を緩和すべきかどうかといった政策に関する世論に強く影響する。米国西部州においては高所得者は新たな発電所建設政策や産業界の環境基準緩和に賛成する傾向がある[98]

経済状況

気候変動政策の策定は経済状況に影響されている。経済問題と環境問題はしばしばトレードオフの関係にあると見なされ、通常、環境問題は経済問題より軽んじられる[75]

気候変動による個々人リスクの認知

全回答者の平均38%が今後25年以内に気候変動のために転居することになるだろうと回答した2023年の調査結果[99]

ある1999年の記事ではオゾン層破壊と気候変動に対する世論の反応の違いを比較し、世論は気候変動を即時の危険を示す具体的な出来事と結びつけなかったと述べている。オゾン問題に関する議論の中で使われた比喩(オゾンシールド・オゾンホール)は一般人の懸念や理解によりよく響き、それにより1980年代後半のフロン規制の試みは、理解しやすいその比喩やそれに基づく個人的リスク認識により推進された。これに対し、数十年間での2~3℃の気温上昇という気候変動の議論では、一般人には差し迫った危険が認識されず20世紀中に実感を伴うものではなかった[100]

上記のように専門家・科学者が強固な気候変動事実をどれほど提供しても、個々人の対応行動はリスク認知によって決定されるという仮説はこれまで幾度も提示されてきたが、2024年のある論文はリスク認知と行動の間には直接的な関係はなく、むしろコミュニケーションや社会規範など多くの他の要因によって媒介・調整され、また分析される文脈に強く依存していると主張している[101]

6つの相互に関連する不可視性の形態(オレンジ色枠内)が、気候変動による健康リスクおよび既に経験している影響の認識が過小評価・誤解・悪化・あるいは無視される(赤色枠内)ことにつながる様子を示す概念モデル。これらの不可視性の根本原因(黄色枠内)は社会政治的不平等とそれに伴う階層構造の結果であるとし、それらに対処し可視化に伴う緊張を軽減するための戦略(水色枠内)を提案している[102]

公的および民間部門に提示された気候変動対策は、地域住民による気候変動ツアーの実施や地域内の樹木マッピングなど、視覚的学習や日常的な実践行動を促進するよう設計されてきた[103]。科学・学術界では、気候変動の影響を実際に目で見ることの有益性について議論されており、地域社会により効果的に働きかけその気候変動認識を理解するため直接的な証言が研究されている[104]

2018年にフロリダ州の湿地生態系エバーグレーズ周辺の住民を対象にした研究では、屋外レクリエーション活動への参加・居住地の標高・海岸からの距離が、環境保全政策への支持に影響していることが示された[105]。頻繁にビーチを訪れる人々や海面変動を懸念する屋外愛好者は行動を起こす可能性が高いとされた。同年同地域の別の調査では、対象地域のレクリエーション目的の釣り人の56%が「野生生物を見ることができること」を非常に重要または極めて重要と答え、60%が生態系の健康について「非常に懸念している」と答えた[106]

水資源の減少や洪水の認識は、気候変動に対する意識向上の動機となり得る。主要な米国都市では、水資源ストレスの可視性や水域へのアクセスが、その地域における水資源保全策をより積極的なものとしていた[107]

気候変動による天候変化を個人的に経験することは、人々に解決策を見出し行動する動機となりうる。干ばつや水不足は、中南米とアフリカで気候変動の影響として最も恐れられている問題の一つである[37]。ネパールで干ばつによる作物の不作を経験した人々は、直面したその気候変動脆弱性に対応するための適応戦略を取り入れる傾向が高かった[108]。パキスタンのパンジャーブ地方の農民たちも、気候変動の影響によりコメの生産量が著しく減少しているのを目の当たりにしている。2014年に450世帯を対象に行われた調査によると、農業を生計の基盤とする人々が最も懸念しており、そのうちの半数以上が気候変動に対応するため農業の方法を適応させていた[109]

2021年にイタリア北東部ヴェネト地方で欧州プロジェクトRESPONSeの一環として、地盤災害に対する市民の認識に関する調査が行われた。それによれば内陸部に住む人々は沿岸部住民よりも地盤災害やそのリスクに注意を払う傾向があり、災害に対して歴史的に脆弱な地域では自然災害に対する認識が高いが、気候変動の枠組みと生活圏への直接的影響に関して地域間で理解の相違があり、被害が少ない地域向けにそれらを理解させる取り組みが必要であることが示唆された[110]

科学的コンセンサス・理解度

一般人は、気候変動は人為的であるという科学的コンセンサスを大幅に過小評価する[111]。2019~2021年の研究では、科学的コンセンサスは98.7~100%であることが示されているのに、上記6か国民は60~70%くらいだろうと思い込んでいる[112][113][114]

気候変動に関する科学的コンセンサスは、各国で科学アカデミーなどの権威ある機関によって確認されていても、一般市民の理解には地理的な差異が大きく[115]、科学者と一般市民の意見には明確な差がある[116][117]

2009年の米国での世論調査では、「化石燃料の燃焼など人間の活動によって地球が温暖化している」と答えた科学者は84%だったのに対し、一般市民でそう答えたのは49%に過ぎなかった[118]。さらに同年に実施された別の米国調査では、「一部の科学者が自身の理論や信念を支持するために地球温暖化に関する研究データを改ざんしたことがあると思うか」について、59%が「多少はあり得る」・35%が「非常にあり得る」と答えた[119]

2018年の研究では、気候変動情報を文章ではなくチャートなどのビジュアルで示されると、人々はその事実を受け入れやすいことが示された[120][121]

報道での扱いによる影響

2000年代初頭の米国の一般メディアによる報道は、科学文献と一致した他国の報道と異なり[122]、懐疑論者により多くの注目が集まるようにし、科学界内の合意の程度を正確に伝えていなかった[123][124]。2009年の調査では米国有権者の54%が「報道は気候変動を実際よりも深刻に見せている」としていた[125]

しかしその後2010~2013年の間に、気候変動の深刻さをメディアが過小に報じていると考える米国人の数は増加した。2013年のギャラップ世論調査によれば、57%の人々が気候変動は少なくとも報道されている程度に深刻であると考えており、そのうち33%はメディアがむしろ気候変動を過小評価していると考え、報道が正確であると述べているのは24%にとどまった[126]

過剰露出による疲弊・嫌悪感は気候変動否定のもう一つの原因となりうる[127]。しかし2024年の研究は、たとえ1回でも主張を繰り返すことが真実性の知覚を高めるのに十分であるとし、この効果は気候科学支持者の間でも見られた[128]

ソーシャルメディアによる影響

文化や言語を超えて、ソーシャルメディアをニュース源として利用することは、気候変動懐疑論の低下と関連している[6]

ソーシャルメディア上での気候変動に関する議論の特徴の一つは、気候活動家が直接関与できる場を提供している点である。例えば、ユーチューブの気候変動関連動画のコメント欄を分析した研究では、気候活動家と懐疑論者の両方から成る中核的なユーザー群が繰り返し投稿し、大多数が気候活動家の立場を取っていた[129]

ソーシャルメディアはしばしば利用者の見解を強化するだけで変化をもたらさないと批判されるが、認知的洞察を促す役割も示されている。レディット上のフォーラムの研究では、特定のイデオロギーに支配されているコミュニティもあるものの、熟慮された議論が為されているコミュニティも存在するとされている[130]

関連項目

引用

参考文献

外部リンク

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