水素化ホウ素ナトリウム
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水素化ホウ素ナトリウム(すいそかホウそナトリウム、sodium borohydrideもしくはsodium tetrahydroborate)は 化学式を NaBH4 で表される無機化合物で、ケトンやアルデヒドなどを始めとするさまざまな有機化合物の還元反応に用いられる代表的な還元剤のひとつである。ハーバート・ブラウンによって初めて合成され、偶然にその還元力が見出された[5]。
| 物質名 | |
|---|---|
水素化ホウ素ナトリウム | |
別名 テトラヒドロホウ酸ナトリウム | |
| 識別情報 | |
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3D model (JSmol) |
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| ChEBI | |
| ChemSpider | |
| ECHA InfoCard | 100.037.262 |
| EC番号 |
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| Gmelin参照 | 23167 |
| MeSH | Sodium+borohydride |
PubChem CID |
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| RTECS number |
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| UNII | |
| 国連/北米番号 | 1426 |
CompTox Dashboard (EPA) |
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| 性質 | |
| Na[BH 4] | |
| モル質量 | 37.83 g·mol−1 |
| 外観 | 白色の結晶 吸湿性 |
| 密度 | 1.07 g/cm3[1] |
| 融点 | 400 °C (752 °F; 673 K)分解[1] |
| 550 g/L[1] | |
| 溶解度 | 液体アンモニア、アミン類、ピリジンに溶ける |
| 構造[2] | |
| 立方晶 (NaCl), cF8 | |
| Fm3m, No. 225 | |
a = 0.6157 nm | |
| 熱化学[3] | |
| 標準定圧モル比熱, Cp⦵ | 86.8 J·mol−1·K−1 |
| 標準モルエントロピー S⦵ | 101.3 J·mol−1·K−1 |
標準生成熱 (ΔfH⦵298) |
−188.6 kJ·mol−1 |
ギブズの 自由エネルギー (ΔfG⦵) |
−123.9 kJ·mol−1 |
| 危険性 | |
| GHS表示:[4] | |
| Danger | |
| H260, H301, H314, H360F | |
| P201, P231+P232, P280, P308+P313, P370+P378, P402+P404 | |
| NFPA 704(ファイア・ダイアモンド) | |
| 引火点 | 70 °C (158 °F; 343 K) |
| ca. 220 °C (428 °F; 493 K) | |
| 爆発限界 | 3% |
| 致死量または濃度 (LD, LC) | |
半数致死量 LD50 |
160 mg/kg (経口, ラット) 230 mg/kg (皮膚, ウサギ) |
| 関連する物質 | |
| その他の 陰イオン |
シアノ水素化ホウ素ナトリウム 水素化ナトリウム ホウ酸ナトリウム 四ホウ酸ナトリウム |
| その他の 陽イオン |
水素化ホウ素リチウム |
| 関連物質 | 水素化アルミニウムリチウム |
性質
製法
H.C.ブラウンが開発した製法で、水素化ナトリウムとホウ酸トリメチルを250℃で反応させNaBH4 を生成させ、ここに水を加えメタノールを留去することによりNaBH4 12%、NaOH 42%を含む水溶液を製造する。これ自体がNaBH4 水溶液として販売されている。イソプロピルアミンによる抽出を行い乾燥することによりNaBH4 の粉末を得る 。現在でもこの方法がNaBH4 製造法の基礎となっている[6]。

還元剤として
有機合成化学分野において、還元剤として常用される。ケトンやアルデヒドなどのカルボニル化合物を、対応するアルコールへ還元する。通常メタノールやエタノールなどのアルコール系溶媒中で反応を行う(ただしメタノールに溶かすと氷冷下でも1時間で80% が分解してしまうので注意が必要である。イソプロピルアルコール中では安定である)。同じく還元剤の一つである水素化アルミニウムリチウムに比べて還元力が弱く、単に混ぜたのみではエステル、アミドなどは還元しないため、複数の官能基を持つ化合物の選択的な還元が可能である。ただしテトラヒドロフラン(THF)などの溶媒を用いて加熱するなど条件を厳しくすれば、エステルなども還元される。また、反応溶媒として水を用いることができるのも特徴の一つであるが、塩基性条件で用いる必要がある。
THFやtBuOH中でNaBH4を分散させ、基質を溶解後加温しながら、緩やかにメタノールを添加することによりエステルが還元可能であることが報告されている[7]。
ヨウ素などの単体ハロゲン、トリフルオロ酢酸、BF3錯体などのルイス酸を添加することにより、カルボン酸、アミド、ニトリル、ハロゲン化アルキルなどが還元できる[8]。
塩基性水溶液中における標準酸化還元電位は以下の通りであり、かなり強い還元作用を示す。
- ,
水素発生源として
水素ガスはクリーンな燃料として期待されているが、気体であるため貯蔵が難しいこと、また爆発などの危険がある。水素化ホウ素ナトリウムは酸性条件や、特定の触媒の存在下で分解し、水素ガスを放出し、また比較的安定な固体で、発火などの危険もないこと、廃棄物も害の少ないホウ酸であることなどから、携帯可能な水素源の候補物質の一つとなっている。すでに水素化ホウ素ナトリウムを水素源として用いた燃料電池が試作されている。
最大の課題は酸化ホウ素ナトリウムをどうやって安価・高効率で還元し再利用するかである。マグネシウムを用いた方法が提案されている[9]。
一旦ナトリウムへ電気分解した後再合成する方法も提案されている[10]。


