水素化ホウ素リチウム

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水素化ホウ素リチウム
室温における水素化ホウ素リチウムの単位格子
室温における水素化ホウ素リチウムの単位格子
物質名
識別情報
3D model (JSmol)
ChemSpider
ECHA InfoCard 100.037.277 ウィキデータを編集
RTECS number
  • ED2725000
UNII
性質
LiBH4
モル質量 21.784 g/mol
外観 白色固体
密度 0.666 g/cm3[1]
融点 268 °C (514 °F; 541 K)
沸点 380 °C (716 °F; 653 K) 分解
反応する
エーテルへの溶解度 2.5 g/100 mL
構造[2]
斜方晶
Pnma
a = 7.17858(4), b = 4.43686(2), c = 6.80321(4)
216.685(3) A3
4
[4]B
熱化学
標準定圧モル比熱, Cp 82.6 J/(mol⋅K)
標準モルエントロピー S 75.7 J/(mol⋅K)
標準生成熱 fH298)
−198.83 kJ/mol
危険性
180 °C (356 °F; 453 K)
特記無き場合、データは標準状態 (25 °C [77 °F], 100 kPa) におけるものである。
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水素化ホウ素リチウム(LiBH4)は水素化ホウ素化合物の一種であり、有機合成ではエステル還元剤として知られる。関連する水素化ホウ素ナトリウムよりは一般的でないが、より強い還元剤であり、エーテルに高い溶解性を示す一方で、水素化アルミニウムリチウムよりは取り扱いが安全であるなどの利点がある。[3]

水素化ホウ素リチウムは複分解反応により調製でき、より入手容易な水素化ホウ素ナトリウム臭化リチウムをボールミル粉砕すると反応が進行する。[4]

NaBH4 + LiBr → NaBr + LiBH4

別法として、三フッ化ホウ素水素化リチウムジエチルエーテル中処理して合成することもできる。[5]

BF3 + 4 LiH → LiBH4 + 3 LiF

反応

水素化ホウ素リチウムはヒドリド(H)の供与体として有用である。さまざまなカルボニル基質や、他の極性の高い炭素構造と反応して水素-炭素結合を形成する。また、Brønsted-Lowry酸性物質(H+の供与体)と反応して水素ガスを発生する。

還元反応

ヒドリド還元剤として、水素化ホウ素リチウムは水素化ホウ素ナトリウムより強い[6][7]が、水素化アルミニウムリチウムよりは弱い。[7] ナトリウム塩とは異なり、エステルをアルコールへ還元できるほか、ニトリル一級アミドアミンへ還元でき、エポキシドを開環することもできる。これらの多くで反応性が高いのは、リチウムカチオンへの錯形成によってカルボニル基質が分極するためとされる。[3] 一方でアルミニウム類縁体とは異なり、ニトロ基カルバミン酸ハロゲン化アルキル二級アミドおよび三級アミドとは反応しない。

水素生成

水素化ホウ素リチウムは水と反応して水素を発生する。この反応は水素生成に利用できる。[8]

この反応は通常、自発的で激しいが、脱気した蒸留水を用い、酸素への曝露を避ければ、低温である程度安定な水溶液を調製できる。[9]

体積エネルギー密度と質量エネルギー密度の比較
水素化ホウ素リチウム再生の概略図。入力はホウ酸リチウムと水素。

水素化ホウ素リチウムは、最も高いエネルギー密度をもつ化学的エネルギーキャリアの一つとして知られる。実用性はないが、固体は大気中の酸素で処理すると65 MJ/kgの熱を放出する。密度が0.67 g/cm3であるため、液体水素化ホウ素リチウムの酸化では43 MJ/Lとなる。比較として、ガソリンは44 MJ/kg(35 MJ/L)、液体水素は120 MJ/kg(8.0 MJ/L)である。[nb 1] 水素化ホウ素リチウムの高い比エネルギー密度により、自動車やロケット燃料としての提案対象になってきたが、研究や提唱があるにもかかわらず広くは用いられていない。化学的水素化物を基盤とするエネルギーキャリア一般と同様に、水素化ホウ素リチウムはリサイクル(再充填)が非常に複雑であり、エネルギー変換効率が低い。リチウムイオン電池のような電池では、エネルギー密度は最大で0.72 MJ/kgおよび2.0 MJ/Lであるが、直流から直流への変換効率は90%に達しうる。[10] 金属水素化物の再生機構が複雑であることを踏まえると、[11] このような高いエネルギー変換効率は現行技術では実現が難しい。

物性の比較
物質比エネルギー
(MJ/kg)
密度
(g/cm3
体積エネルギー密度
(MJ/L)
LiBH4 65.2 0.666 43.4
通常のガソリン 44 0.72 34.8
液体水素 120 0.0708 8
リチウムイオン電池 0.72 2.8 2

構造

4種類の多形が記載されている。安定相はいずれも正四面体型のBH4-アニオンを含む。[12]

関連項目

参照

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