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泥炭

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泥炭(でいたん、英: peat)は、石炭の一種。炭化度約60%未満[1][注釈 1]で、石炭の中では植物からの炭化度が少ないものを指す[3]。そのため規格上は石炭分類から外されていることが多い(米国ASTMや日本産業規格では褐炭、亜瀝青炭、瀝青炭、無煙炭の4種[4][5])。ただし、可燃性があり泥炭層は山火事の延焼要因ともなる[6]。英語のピート[5]、あるいは草炭(そうたん)[5]とも呼ばれることがある。

切り出された泥炭

生成

泥炭の蓄積

泥炭は植物遺骸の堆積が微生物などによる分解速度を上回った土地に形成される。酸性、嫌気性といった条件で植物の分解速度は遅くなるため、酸性の湿地で形成されることが多いが、アルカリ土壌でも形成されうる(フェン)[7]。

泥炭が蓄積した湿地帯を泥炭地と呼び、日本では主に北海道地方を中心に北日本に多く分布する。泥炭あるいは泥炭地はあらゆる気候と大陸で存在しており、地球表面の2.8 %を占める。[要出典]

泥炭の埋蔵量は莫大で、5千億トン程度と考えられている[8]が、泥炭の形成速度は1年に1ミリメートル程度[9]であり、再生可能な資源ではない。

なお、泥炭は湿地帯において二酸化炭素の蓄積に大きく寄与しているとされ、乾燥化によって泥炭地が減ると二酸化炭素の放出が加速するとされる[3]。

泥炭地

泥炭が積み重なってできている土地を泥炭地というが、水分を多く含むため軟弱地層となっている[3]。泥炭はわずかな荷重で圧縮されるため、泥炭地は地盤として流砂並みに軟弱である。建築のみならず道路などの敷設においても大きな問題と見なされ、十分な基礎工事が必要となる。

泥炭地を農地とする場合には土壌改良のために泥炭層を取り除く必要があり、その副産物として出る泥炭が利用されることもある[3]。

主な用途

熱源としての利用

不純物が多いため炭素の含有率が低く、含水量も多いので燃料としての質は低い。このため、日本では産業用燃料としての需要は少ないが、物資の窮乏が深刻であった第二次世界大戦(太平洋戦争)末期には貴重な燃料として使われた。また、スコットランドではスコッチ・ウイスキーの製造で大麦を発芽させて麦芽にした後、麦芽の成長を止めるために乾燥させる際の燃料として、香り付けを兼ねて使用される。この時つく香気をピート香と言う。ただし、泥炭だけで乾燥を行うことは少なく、他の燃料も併用することが多い。日本では厚岸蒸溜所が別寒辺牛湿原の泥炭層を透過したピート香の強い水を仕込みに使用している[10]。かつてはニッカウヰスキーなどの企業も自社用に石狩平野で採掘を行っていた。

2000年代には火力発電のエネルギー源として主に北欧などで利用されるようになった。たとえばフィンランド一国の泥炭埋蔵量は北海油田の埋蔵量の2倍に匹敵し[11][要追加記述][要出典]、泥炭発電は同国のエネルギー消費の7 %を賄っている[12]。

日本国内での利用

第二次世界大戦後、日本では都市部を中心に燃料事情が逼迫し、特に、1947年(昭和22年)の冬に向け東京都内の家庭に配給する木炭、薪の工面が絶望的となった。このため千葉県検見川町(現:千葉市花見川区)に存在する東京大学の敷地(現:東京大学検見川総合運動場)および周辺では、埋蔵量1,000万トンとも推定される泥炭が盛んに採掘されるようになり、豆炭に加工して各家庭に供給された[13]。

泥炭を利用した商品

  • 土壌の保水性や保肥性を高める効果がある[3]。日本では地力増進法の「政令指定土壌改良資材」に指定されている[3]。
  • 泥炭には脱臭能力があることから土壌改良用と同じくペレット化したものが市販されている[3]。
  • 泥炭の成分には脱脂効果があることから石けんなどに添加されることもある[3]。

花粉分析

泥炭は、植物由来であるため花粉の化石を含むことがある。この化石を分析(花粉分析)することは、泥炭が形成され始めた当時の気候や植物群落の状態を推測する手掛かりとなる[14]。

火災の危険性

泥炭地は土そのものが可燃物であるため、落雷や放火などの人為的・自然的な発火を問わず、一旦火がつけばすぐに延焼が発生し、長期にわたり大きく燃え上がり、消火が非常に困難である。今日でも東南アジアなどの泥炭地が多くある場所ではしばしば泥炭による火災が発生し、煙害や、温暖化ガスである二酸化炭素排出、資源浪費などを引き起こしている[15]。

例えば、インドネシアではプランテーション開発のため熱帯林を伐採したうえで、その下にある泥炭湿地に溝を掘って水を抜き、二酸化炭素排出量と森林火災のリスクを増やしているとして、国際的に問題視されていた。それを受け、インドネシア政府は2016年に泥炭に係る諸問題を管轄する「泥炭復興庁」を設置した[16][17]。

ギャラリー

脚注

関連項目

外部リンク

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