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満洲文字

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満洲文字(満州文字、まんしゅうもじ、満洲語: ᠮᠠᠨᠵᡠ
ᡥᡝᡵᡤᡝᠨ
、転写: manju hergen)は、満洲語を表記するために制定された文字。

概要 満洲文字, 類型: ...
満洲文字
満洲文字による「満洲」(ᠮᠠᠨᠵᡠ、転写: manju)
類型: アルファベット
言語: 満洲語
時期: 1599年頃 (有圏点字は1632年頃) -現代
親の文字体系:
子の文字体系: シベ文字(中国語版)
姉妹の文字体系: トド文字、ブリヤート文字
Unicode範囲: モンゴル文字のブロックに含まれる。
注意: このページはUnicodeで書かれた国際音声記号(IPA)を含む場合があります。
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メロエ 前3世紀
カナダ先住民 1840年
注音 1913年
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概要

母音字6個と子音字19個で表記される表音文字。縦書き専用の文字で、行は左から右に進む。各文字は、語頭・語中・語尾により異なった字形を持つ。

なお、ヌルハチが独自文字の制定を命ずる以前に存在した金時代に創られた女真文字は、漢字に類似する点が多く、文字によって音節が1つ~複数個ある。満洲文字はアラム文字、シリア文字、ソグド文字、ウイグル文字、モンゴル文字から派生したアルファベットの一種で、漢字及び契丹文字を模した女真語独自の文字、女真文字とは別物である。

歴史

無圏点字

無圏点満洲文字で記されているスレ・ハン(ホンタイジ)の銭。表左「sūre(聡明なる)」、上「han(王、ハン)」、下「ni(の)」、 右「jiha(銭)」とある。「天聡汗銭」あるいは「天聡通宝」と通称される。

女真族は元々金太祖·完顔阿骨打の時代に漢字と契丹大字に基づいた女真文字を使用していた。金朝がモンゴルに滅ぼされた後も、女真文字は遼東地方で明朝中期まで使われていた。明朝後期のヌルハチの時代に至ると、女真文字はほぼ使用されなくなり、女真族の間では女真文字の代わりにモンゴル文字や漢字が使われた。ヌルハチが女真各部落を統一する戦争を発動し、中国東北部で新政権を樹立。建州女真(建州女直とも)を統一していたヌルハチは、政権内外に政令を公布する際や事務を執る際に、当政権は独自の文字を持たず専らモンゴル文字に頼らざるを得ないことを案じ、1599年(万暦27年)にエルデニ(中国語版)(ᡝᡵᡩᡝ᠋ᠨᡳ
ᠪᠠᡴ᠋ᠰᡳ
, erdeni baksi[1], 額爾徳尼)とカガイ(中国語版)(ᡬᠠᡬᠠᡳ
ᠵᠠᡵᡤᡡᠴᡳ
, g'ag'ai jargūci[1], 噶蓋)に命じ、モンゴル文字の表記を応用して「無圏点字(満洲語: ᡨᠣᠩᡴᡳ
ᡶᡠᡴᠠ
ᠠᡴᡡ
ᡥᡝᡵᡤᡝᠨ
、転写:tongki fuka akū hergen)」を制定した。しかし、無圏点字はモンゴル文字の体系をそのまま使用していたために、モンゴル語とは音韻の異なる満洲語を表記するには問題が多かった。

有圏点字

ガガイ・ジャルグチとエルデニ・バクシがモンゴル文字を改良した無圏点字には文字の不足、文語における有気音と無気音の混同、文法の不統一、字体の不統一などの問題が存在していた。30年余りの歳月を経て、1632年(天聡6年)、ヌルハチの子ホンタイジ(皇太極)が部下のダハイ(達海)に命じて文字表記の改良を指示した。ダハイは従来の表記に加えて文字の横に点や丸(圏点)を添えて、満洲語の一音が一文字で表記できるよう改良した。ダハイにより改良されたこれを有圏点字(満洲語: ᡨᠣᠩᡴᡳ
ᡶᡠᡴᠠ
ᠰᡳᠨᡩᠠᡥᠠ
ᡥᡝᡵᡤᡝᠨ
、転写:tongki fuka sindaha hergen)と呼ぶ。

清代に満洲文字は「清文」または「国書」と呼ばれ、モンゴル文字、漢文と共に三体と呼ばれた。三体は公用文字として公文書には必ず用いられたが、実生活には北京では清代の中葉から漢字で書かれた文献が優位になっていた。このため、清朝末期の西太后らは満洲文字をほとんど理解できなかった一方、漢文は理解できたという。その一方で漢字圏以外の清の支配地、即ちモンゴルや新疆、チベットで通用する共通文字は清崩壊まで満洲文字であった。

また民間の漢人は満洲語と満洲文字の習得は禁止されていた。漢人で満洲語と満洲文字を学ぶことを許され、中央政治に参加できたのは科挙合格者の状元と榜眼のみであった。満洲文字と漢文が併記された公文書の場合、内容が満洲文字の文章の方が漢文の文章よりも詳細に記述してあることが多く、清朝初期の記録は満洲文字でしか残っていないため清朝史研究の上では重要な文字である。

シベ文字、ダウール文字

現在はほとんど使用されていないが、清の乾隆帝の時代に国境警備のため中国東北部から現在の新疆ウイグル自治区チャプチャル・シベ自治県周辺に移住を命じられたシベ族(錫伯族)が、満洲文字を改良したシベ文字(中国語版)をシベ語の表記に今も使用している。1980年代当初には、行政機関から商店にいたるまで、看板には漢字とシベ文字が併記されていたことが確認されている[2]。住民はシベ文字を読むことはもちろん、日常語としてその言葉を話していた[2]。 また、あまり一般的には使用されていないが、エヴェンキ語や、ダウール語の発音を表記するためにも満洲文字は使用される。

満洲文字

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文字 転写 Unicode 備考
単独形 語頭形 語中形 語末形 メレンドルフ 太清 新満漢大辞典
母音 [3]
ᠠ ᠠ᠊ ᠊ᠠ᠊ ᠊ᠠ a a a 1820
᠊ᠠ᠋
ᡝ ᡝ᠊ ᠊ᡝ᠊ ᠊ᡝ e e e 185D 語末形の下段は、[k], [g], [x] kh, gh, hh の後で用いられる。[4]
()
ᡳ ᡳ᠊ ᠊ᡳ᠊ ᠊ᡳ i i i 1873
᠊ᡳ᠌᠊
᠊ᡳ᠍᠊ ᠊ᡳ᠋
᠊ᡳ᠌
ᠣ ᠣ᠊ ᠊ᠣ᠊ ᠊ᠣ o o o 1823
᠊ᠣ᠋
ᡠ ᡠ᠊ ᠊ᡠ᠊ ᠊ᡠ u u u 1860
??
ᡡ ᡡ᠊ ᠊ᡡ᠊ ᠊ᡡ ū v uu
ᡟ ᠊ᡟ᠊ ᠊ᡟ y y' y 185F
子音 [5]
ᠨ ᠨ᠊ ᠊ᠨ᠋᠊ ᠊ᠨ n n n 1828 子音の前で用いられる。
᠊ᠨ᠊ 母音の前で用いられる。
ᠩ ᠊ᠩ᠊ ᠊ᠩ ng ng ng 1829
ᡴ ᡴ᠊ ᠊ᡴ᠊ ᠊ᡴ k k k 1874 a, o, ūの前で用いられる。
᠊ᡴ᠋᠊ 子音の前で用いられる。
() ᠊ᡴ᠌᠊ ᠊ᡴ᠋ k k k 1874
ᡤ ᡤ᠊ ᠊ᡤ᠊ g g g 1864
g g g 1864
ᡥ ᡥ᠊ ᠊ᡥ᠊ h h h 1865
h h h 1865
ᠪ ᠪ᠊ ᠊ᠪ᠊ ᠊ᠪ b b b 182A
ᡦ ᡦ᠊ ᠊ᡦ᠊ p p p 1866
ᠰ ᠰ᠊ ᠊ᠰ᠊ ᠊ᠰ s s s 1867
ᡧ ᡧ᠊ ᠊ᡧ᠊ ᠊ᡧ š x sh 1867
ᡨ ᡨ᠋᠊ ᠊ᡨ᠋᠊ t t t 1868 a, o, i の前で用いられる。
᠊ᡨ᠌᠊ ᠊ᡨ 子音の前で用いられる。
ᡨ᠊ ᠊ᡨ᠊ e, u, ūの前で用いられる。
ᡩ ᡩ᠊ ᠊ᡩ᠋᠊ d d d 1869 a, o, iの前で用いられる。
ᡩ᠋᠊ ᠊ᡩ᠊ e, u, ūの前で用いられる。
ᠯ ᠯ᠊ ᠊ᠯ᠊ ᠊ᠯ l l l 182F
ᠮ ᠮ᠊ ᠊ᠮ᠊ ᠊ᠮ m m m 182E
ᠴ ᠴ᠊ ᠊ᠴ᠊ c q ch 1834
ᠵ ᠵ᠊ ᠊ᠵ᠊ j j zh 1835
ᠶ ᠶ᠊ ᠊ᠶ᠊ y y y 1836
ᡵ ᡵ᠊ ᠊ᡵ᠊ ᠊ᡵ r r r 1875
ᡶ ᡶ᠊ ᠊ᡶ᠊ f f f 1876 a, e の前で用いられる。
ᡶ᠋‍ ᠊‍ᡶ᠋‍ i, o, u, ū の前で用いられる。
ᠸ ᠸ᠊ ᠊ᠸ᠊ w w w 1838
ᠺ ᠺ᠊ ᠊ᠺ᠊ k' k' kk 183A
ᡬ ᡬ᠊ ᠊ᡬ᠊ g' g' gg 186C
ᡭ ᡭ᠊ ᠊ᡭ᠊ h' h' hh 186D
ᡮ ᡮ᠊ ᠊ᡮ᠊ ts' c c 186E
ᡯ ᡯ᠊ ᠊ᡯ᠊ dz z z 186F
ᡰ ᡰ᠊ ᠊ᡰ᠊ ž r' rr 1870
ᡱ ᡱ᠊ ᠊ᡱ᠊ c' q(q'') ch 1871
ᡷ ᡷ᠊ ᠊ᡷ᠊ j j(j'') zh 1877
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無圏点字/有圏点字対応表

一部の単語は異なる無圏点字の資料において異なる書き方が存在しうる。例えば、有圏点字のᡶ(f)にあたる子音は、無圏点字でᠪ(B)、ᠸ(W)、又は子音Bの右側に丸を付けた文字で表示することができる。

無圏点字ᠪ(B)ᠸ(W)ᠪ°(B°)ᡨ(T)ᠰ(S)ᠵ(J)ᡴ(K)ᡤ᠊(K)
有圏点字ᠪ(b)ᡦ(p)ᡶ(f)ᠸ(w)ᡶ(f)ᠸ(p)ᡶ(f)ᡨ(t)ᡩ(d)ᠰ(s)ᡧ(š)ᠵ(j)ᠶ(y)ᡴ(k)ᡤ(g)ᡥ(h)ᡴ᠊(k)ᡤ᠊(g)ᡥ᠊(h)
無圏点字ᠯ(L)ᠮ(M)ᠨ(N)ᠴ(C)ᡵ(R)ᠩ(NK)
有圏点字ᠯ(l)ᠮ(m)ᠨ(n)ᠴ(c)ᡵ(r)ᠩ(ng)

脚注

関連項目

外部リンク

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