田辺新一
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田辺新一 | |
|---|---|
![]() 田邉 新一(田辺新一) | |
| 生誕 |
たなべ しんいち 田邉 新一 1958年8月12日(67歳) |
| 国籍 |
|
| 出身校 |
早稲田大学大学院理工学研究科博士課程修了(工学博士)[1] 早稲田大学理工学部建築学科 卒業 |
| 職業 | 建築家 |
| 受賞 | 2025年11月 紫綬褒章 受章 |
| 公式サイト | 早稲田大学 田辺新一研究室 |
| 所属 |
早稲田大学創造理工学部建築学科理工学術院創造理工学部建築学科教授 スマート社会技術融合研究機構(ACROSS)住宅・建築環境研究所 機構長 |
田辺 新一(たなべ しんいち、1958年 - )は、日本の環境学者。専門は建築環境学。福岡県北九州市出身。旧字は田邉新一
明治学園小学校、中学校 卒業。
早稲田大学理工学術院創造理工学部建築学科・教授
- 1978年 福岡県立小倉高等学校卒業
- 1982年 早稲田大学理工学部建築学科卒業
- 1984年 同大学院博士前期課程修了
- 1984~86年 デンマーク工科大学暖房空調研究所
- 1986年 早稲田大学理工学部・助手
- 1988年 お茶の水女子大学家政学部・専任講師
- 1992~1993年 カリフォルニア大学バークレー校環境計画研究所
- 1992年 お茶の水女子大学生活科学部・助教授
- 1997年 デンマーク工科大学エネルギー研究所
- 1997年 ローレンスバークレー国立研究所客員研究員
- 1999年 早稲田大学理工学部建築学科・助教授
- 2001年 早稲田大学理工学部建築学科・教授
- 2002年5月 日本建築学会、日本建築学会賞(論文)
- 2002~2003年 デンマーク工科大学・客員教授
- 2007年 改編により、早稲田大学理工学術院創造理工学部建築学科・教授(至現在)
- 2008年1月 米国暖房冷凍空調学会(ASHARE)Fellow
- 2014~2016年 建築設備技術者協会 会長
- 2015~2017年 東京都環境審議会 会長
- 2015~2017年 日本建築学会 副会長
- 2016年7月 国際室内空気環境学会 Pettenkofer Gold Medal賞
- 2017~2023年 日本学術会議会員
- 2018~2020年 空気調和・衛生工学会 会長
- 2020年4月 文部科学大臣表彰 科学技術賞(研究部門)
- 2020年10月 産業標準化事業表彰 経済産業大臣表彰
- 2021~2023年 第57代日本建築学会 会長
- 2022年12月~現在 スマート社会技術融合研究機構(ACROSS)機構長
- スマート社会技術融合研究機構(ACROSS)住宅・建築環境研究所所長
- 2024年5月 日本建築学会、名誉会員
- 2024年6月~現在 日本サステナブル建築協会会長
- 2025年11月 紫綬褒章[2][3]受章
研究活動
永年にわたって、建築環境工学の教育・研究に努め、同分野において温熱環境の熱的快適性評価法に関する研究、シックハウス症候群問題の解決に関する研究、新型コロナウイルス感染症における換気の重要性に関する研究、住宅・建築物の省エネルギー・脱炭素化に関する研究、建築環境設備学の国際的発信を行った。
1)温熱環境の快適性評価法に関する研究
日本人に関する大規模被験者実験を行い、欧米のデータとの比較を可能にした。平成2年6月9日、米国暖房冷凍空調学会(ASHRAE)からRalph G. Nevins Physiology and Human Environment Awardを受賞した。同賞は1978年に設立され、温熱、湿気、視覚、音響、毒性、アレルギー、嗅覚、振動および微生物環境に関する学術分野における有望な若手研究者に授与される。 また、平成7年8月17日に日本建築学会から日本建築学会奨励賞(論文)を受賞した。分布のある室内温熱環境に関してサーマルマネキンによる評価手法を開発した。人体の数値体温調節モデルを開発し、ソースコードをオープン化して世界中の研究者が使用できるようにした。建築のみならず自動車の車室内評価にも活用されている。 加えて、室内環境と知的生産性、建築物のウェルネス性能向上に関する研究を行った。これらにより、平成14年5月30日に日本建築学会賞(論文)を受賞、また室内空気質研究とあわせてアジア人初のPettenkofer Gold Medalを平成28年7月4日に受賞、令和2年4月14日に文部科学大臣表彰科学技術賞(研究部門)を受賞した。
2)シックハウス問題の解決に関する研究
建材・施工材からの化学物質放散を測定する小形チャンバー法を開発し、定量的問題解決に大きく貢献した。同法はJIS A 1901として標準化された。 日本規格協会から出版された『シックハウス対策に役立つ小形チャンバー法解説』は標準化文献賞奨励賞を受賞した。建材の国土交通大臣認定制度に活用され、建築基準法第28条改正にも貢献した。 講談社現代新書『室内化学汚染』を平成10年7月1日に刊行した。平成12年4月5日より厚生労働省「シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会」委員を務め、室内空気質の指針値策定に尽力している。 また、日本産業規格および国際標準化機構(ISO)規格への貢献により、令和2年度産業標準化事業表彰(経済産業大臣表彰)を受けた。
3)新型コロナウイルス感染症における換気の重要性に関する研究
令和2年3月23日、空気調和・衛生工学会会長として日本建築学会会長と共同で「新型コロナウイルス感染症制御における『換気』に関する緊急会長談話」を公表した。 同年5月21日には日本医師会COVID-19有識者会議に寄稿した。2020年5月、感染性を保ったウイルスを含むエアロゾル粒子による空気感染対策の必要性を示す論文を、候補者を含む世界の研究者36名の連名で発表した。さらに同年7月6日、世界保健機関(WHO)への公式書簡を論文として掲載した。その後、WHOは換気の重要性を公式に認めた。筆頭著者のリディア・モラウスカは2021年の『Time』誌「世界で最も影響力のある100人」に選出され、ロレアル-ユネスコ女性科学賞を受賞した。令和3(2021)年および令和6(2024)年には、候補者を含む研究グループの論文がScience誌に掲載された。 令和6年4月18日にWHOが公表した「空気感染する病原体に関する提案された用語に関する世界的技術協議報告書」に委員として貢献した。また、国土交通省において空港の感染制御対策ガイドラインを委員長として策定し、東京都の新型コロナウイルス感染症対策(iCDC)において専門的知見を提供した。令和5年5月、東京都知事から感謝状を受けた。
4)住宅・建築物の省エネルギー・脱炭素化に関する研究
住宅・建築物の省エネルギーに関する対策を推進するとともに、国土交通省および経済産業省において政策立案に協力した。省エネ法改正に際しては、参議院および衆議院経済産業委員会において参考人として意見陳述を行った。ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)およびネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)の定義構築と普及に貢献した。ZEHに関しては、大学対抗エネマネハウスに3回参加した。研究成果の普及を目的として、『ゼロ・エネルギーハウス:新しい環境住宅のデザイン』『なぜ住まいのカーボンニュートラルは進まないのか?:今私たちがすべき住まい方とは』を共著として刊行した。早稲田大学スマート社会技術融合研究機構(令和4年12月1日より機構長)において、再生可能エネルギーの有効活用に向けた電力需要の最適化(デマンドレスポンス)に関する研究を推進した。さらに、施設園芸分野におけるネット・ゼロ・エネルギー(ZEG:ネット・ゼロ・エネルギー・グリーンハウス)の定義を提案した。建築実践により、空気調和・衛生工学会技術賞を9回、特別賞(リニューアル賞)を2回受賞した。
5)建築環境設備学の国際的な発信
国際標準化機構(ISO)TC145/SC6(室内空気質)の議長を、ドイツ規格協会(VDI)のもとで9年間務めた。デンマーク工科大学客員教授を歴任し、国際学術誌の編集委員や国際会議での基調講演を行った。ASHRAE(米国暖房冷凍空調学会)より平成20年にFellowに推挙された。建築設備技術者協会会長、空気調和・衛生工学会会長、日本建築学会会長などを歴任し、学協会の発展に寄与した。令和3年5月に空気調和・衛生工学会特別会員、令和6年5月30日に日本建築学会名誉会員に推挙された。令和6年6月より日本サステナブル建築協会会長に就任し、CASBEE(建築環境総合性能評価システム)の開発・普及を中心に、脱炭素およびウェルネス性能に優れたサステナブル建築の推進に取り組んでいる。平成26年5月に日本工学会フェローとなった。平成29年10月1日から令和5年9月30日まで日本学術会議会員を務め、提言の取りまとめに尽力した。同会議土木工学・建築学委員長を歴任。ドイツが議長国を務めたG7開催時に、学術会議によるS7(Science 7)において脱炭素に関する提言の取りまとめに関与し、日本の状況を反映させた。
6)その他の活動
経済産業省においては、通商産業省時代より住宅政策に関与してきた。平成15年1月より総合資源エネルギー調査会臨時委員、令和4年7月より同会委員としてエネルギー政策に参画している。平成25年からは同調査会省エネルギー小委員会委員および委員長を務め、建築分野にとどまらず幅広い省エネルギー政策に関与した。ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)およびネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)の定義構築と普及にも貢献した。また、同調査会基本政策分科会委員として第6次エネルギー基本計画および第7次エネルギー基本計画の策定に参画した。令和6年12月より日本産業標準調査会委員および標準第一部会長として国際標準化戦略の立案に関わっている。国土交通省社会資本整備審議会臨時委員として建築物省エネ法など住宅・建築物の省エネルギー政策に貢献した。令和3年度には国土交通省・経済産業省・環境省が開催した「脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策等のあり方検討会」座長を務め、2030年に向けた住宅・建築物の省エネルギー・脱炭素ロードマップの策定に関与した。平成22年4月から令和2年3月まで国土交通省大臣官房官庁営繕部総合評価委員会委員・委員長、令和2年6月からは同部入札監視委員会委員・委員長を務めている。令和7年には社会資本整備審議会委員に就任した。また、東京都環境審議会委員および会長として東京都の脱炭素政策の推進に関与した。
主な論文
研究論文に関しては、https://researchmap.jp/shinichitanabe/published_papers
に最新情報が掲載されています。その他、Scopus、Google Schalar、Orcidを参照下さい。引用数の多い論文は以下です。
- How can airborne transmission of COVID-19 indoors be minimised? Morawska, L., Tang, J.W., Bahnfleth, W. Tanabe S....Wierzbicka, A.,Yao, M. Environment International, 2020, 142, 105832, https://doi.org/10.1016/j.envint.2020.105832
- Evaluation of thermal comfort using combined multi-node thermoregulation (65MN) and radiation models and computational fluid dynamics (CFD) Tanabe, S.-I., Kobayashi, K., Nakano, J., Ozeki, Y., Konishi, M. Energy and Buildings, 2002, 34(6), pp. 637–646,
- Progress in thermal comfort research over the last twenty years De Dear, R.J., Akimoto, T., Arens, E.A., .Tanabe S...Zhang, H., Zhu, Y. Indoor Air, 2013, 23(6), pp. 442–461, 10.1111/ina.12046
- Development of the ASHRAE Global Thermal Comfort Database II Földváry Ličina, V., Cheung, T.,Zhang, H., .Tanabe S..Zhang, Y., Zhou, X. Building and Environment, 2018, 142, pp. 502–512, 10.1016/j.buildenv.2018.06.022
- Evaluating thermal environments by using a thermal manikin with controlled skin surface temperature Tanabe, S., Zhang, H., Arens, E.A., Madsen, T.L., Bauman, F.S. ASHRAE Transactions, 1994, 100(1), pp. 39–48
- Comfort limits for asymmetric thermal radiation Fanger, P.O., Ipsen, B.M., Langkilde, G., ...Christensen, N.K.,Tanabe, S. Energy and Buildings, 1985, 8(3), pp. 225–236
