白水隆
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研究
チョウ類研究の開拓と生活史研究
白水は、日本の大学において初めてチョウ類を主要な研究対象として据えた研究者の一人とされる。戦前から戦後にかけて、当時は未解明な点の多かった普通種を含むチョウ類の生活史、幼虫の食性、発生過程などを、野外観察と飼育実験を通じて明らかにし、分類学のみならず生態学的基礎データの整備に大きく貢献した。[2]
分類学的研究
白水は、ミドリシジミ類(ミドリシジミ族)を中心に、翅形、斑紋、交尾器など成虫形態の詳細な比較に基づく分類学的研究を進めた。これにより、属レベルの再整理を行い、日本産および東アジア産チョウ類の系統関係の理解を深化させた。これらの研究は、国内のみならず海外研究者からも参照され、日本のチョウ類分類学の国際的評価を高める一因となった[2]。
生物地理学的研究
白水は、日本列島および東アジアのチョウ類分布を地史的視点から捉え、従来の動物地理区分では説明が困難な分布パターンに着目した。その中で、中国西南部からヒマラヤを経て日本列島に至る帯状分布を示す要素を「西部支那系要素」として提示し、東アジア蝶類相の形成史を考察する上で重要な視点を提示した[2]。
資料の体系化
1958年に刊行された『日本産蝶類分布表』では、日本産チョウ類217種について都道府県別の分布記録を整理し、標本記録や文献情報を体系的に提示した。この業績は、日本におけるチョウ類研究の基盤資料として、後続研究において広く利用されている[2]。
標本コレクション
白水が長年にわたり収集したチョウ類の標本は、九州大学において保管されている。これらの標本群は白水コレクションとして知られ、九州大学に収蔵されるチョウ類標本の中核を成すものの一つである。アジア地域のチョウ類を中心に多数の模式標本を含み、現在では環境変化や法規制により再収集が困難となった貴重な資料も多く含まれている。