知識科学

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知識科学(ちしきかがく、英:knowledge science)とは、自然科学・社会科学・人文科学に跨り、知識創造のメカニズムを探求する統合的・学際的な研究領域である[1]。20世紀末に、野中郁次郎らにより経営学の基礎理論として提案された。

書籍『ナレッジサイエンス 改訂増補版 ―知を再編する81のキーワード―』(2008年)では、「知識科学」について次の通り説明されている[1]

「ナレッジサイエンス、すなわち知識科学とは何であるか、何を目指すべきであるか」に関しては、さまざまな観点や要請があり、時代の変化にも柔軟に対応していく必要もあるため、統一的な答えが用意されているわけではありません。われわれは知識科学の定義として、「自然、個人、組織および社会の営みである〈知識創造〉という切り口によって、物質科学・生命科学・認知科学、情報科学、システム科学、社会学、経営学、経済学に至るまでの自然科学分野や社会科学分野の学問を再編、融合した教育研究体制を整備し、知識創造のメカニズムを探求すること」を掲げています。

知識科学は、『組織的知識創造理論』(1995年)において、野中により提唱された[2]。1990年代の企業経営では、情報技術の発達により、情報(データ)をいかに効率よく共有・管理するかというKnowledge Managementに注目が集まっていた。対して、野中らが知識科学で目指したものは、Knowledge Management(知識の管理)ではなく、Management by Knowledge(知識による経営)である。現在では、技術マネジメント、サービスマネジメント、地域社会マネジメント等を取り入れさらに発展している。

知識科学の理論は、マイケル・ポランニー(M. Polanyi)による階層と創発に基づくシステム思考、および暗黙知と暗黙的統合という概念を本質的に利用している[3]。中でも、「暗黙知」と「形式知」の間のダイナミクスを企業マネジメントの文脈でモデル化した、SECIモデルの理論がよく知られている。

知識科学の目的は、知識管理によって組織の運用を最適化しながら、イノベーションを目指した知識創造プロセスを明らかにすることとされる[1]。全社的な知識・情報マネジメントシステムの構築や、地域コミュニティ活性化システムの構築などに実践的に使用されている。

現在では、個人・組織・社会・自然の営みとしての「知識創造」という視点から、諸学問:①物理科学・環境学、②生物学・脳科学・神経科学、③情報科学・言語学、④認知科学・心理学、⑤経営学、⑥経済学・政策科学、⑦社会学、⑧システム科学 を再編・融合する学際的分野に発展している[1][4]。2025年現在、知識科学の学位(修士・博士)を取得できる大学は、北陸先端科学技術大学院大学のみである[4]

歴史

1980年代、情報通信技術として「情報マネジメント」と言われていたものが、「情報から知識へ」というキャッチコピーのもと「知識管理」としてとらえ直され、情報通信機器の販売に使用されるようになった。1990年代、野中らは、知識管理をコンピュータではなく人間が行うべきとして、「組織的知識創造理論」として理論化し[2]、知識科学という概念が生まれた。

1998年、野中らの主導のもと、北陸先端科学技術大学院大学に知識科学研究科が設立された。「自然科学、社会科学や人文科学の各分野の学問を融合し、知識の創造・蓄積・活用のメカニズムの探求と、未来社会のデザイン」を行うことを目標に据えている[4]。2016年度の組織再編に伴い、知識科学研究科は先端科学技術研究科先端科学技術専攻に統合され、知識科学系となった。

脚注

関連項目

外部リンク

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