秋期限定栗きんとん事件

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米澤穂信 > 〈小市民〉シリーズ > 秋期限定栗きんとん事件
発行日 2009年2月27日(上巻)
2009年3月13日(下巻)
発行元 東京創元社
秋期限定栗きんとん事件
著者 米澤穂信
発行日 2009年2月27日(上巻)
2009年3月13日(下巻)
発行元 東京創元社
ジャンル 青春ミステリ日常の謎
日本の旗 日本
シリーズ 〈小市民〉シリーズ
言語 日本語
形態 文庫本
ページ数 254(上巻)
244(下巻)
前作 夏期限定トロピカルパフェ事件
次作 巴里マカロンの謎
コード ISBN 978-4-488-45105-9(上巻)
ISBN 978-4-488-45106-6(下巻)
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秋期限定栗きんとん事件』(しゅうきげんていくりきんとんじけん)は2009年創元推理文庫から刊行された米澤穂信の推理小説。〈小市民〉シリーズの第3弾。

これまで連作短編形式だった前2作と異なり、上下巻で構成されたシリーズ初の長編となる。時系列は前作『夏期限定トロピカルパフェ事件』の直後となり、主人公の常悟朗・小佐内の高校2年の2学期からの1年間が描かれ、彼らの抱える奇妙な屈託に決着がつく[1]。また、本作ではシリーズ通じて語り手だった常悟朗以外にも、本作で登場する小佐内の彼氏・瓜野高彦も語り手を担い、常悟朗と瓜野の2人による一人称視点で本作は展開される。

刊行当初の仮題は『秋期限定マロングラッセ事件』だったが、正式タイトルを決める際にマロングラッセの甘いものとして魅力的かを争点に、魅力的なタイトルは何かと話し合いが行われたという。ただし、栗きんとんやマロングラッセは作中では一種の比喩として登場している。また本作で登場する瓜野は、物語の構成にも必要だっただけでなく小佐内の心情をブラックボックスにするというシリーズの性質上から小佐内サイドの視点人物として用意されている[1]。またwebサイト「Book Japan」内における著者と書評家の杉江松恋とのインタビューで、本作はアントニイ・バークリーが創造した探偵であるロジャー・シェリンガムが登場する初期作品の要素を取り入れたことが明かされている[2]

このミステリーがすごい! 2010年版では10位を、2010本格ミステリ・ベスト10では11位を記録する。

あらすじ

小佐内が誘拐された「夏期限定トロピカルパフェ事件」をきっかけに、常悟朗と小佐内は互恵関係を解消した。その後の2学期、常悟朗はクラスメイトの仲丸に放課後の教室で告白され、彼女と交際を開始する。「バス内で降車ボタンを押し間違え、次の目的地に降りるのは老婆か女子高生か?」や「仲丸の兄の住む部屋に侵入しながら何も盗まなかった泥棒の目的」など、仲丸と過ごす中で浮かぶ謎に頭を働かせつつも、仲丸とのデートを楽しんでいく。

新聞部所属の1年生・瓜野高彦は、新聞部が発行する『月報船戸』が学内の決まった話題しか取り上げないことに不満を抱き、学外の話題を取り上げるべきと訴えていたが、部長の健吾に反対され続けていた。そんな中、瓜野は新聞部に出入りしていた小佐内に惹かれ、告白し小佐内と付き合うことになる。そしてコラムという形で学外の話題を書ける機会が回り、瓜野はクラスメイトの氷谷優人に教えてもらった市内で断続的に発生している連続放火事件の追跡に着手する。そして、放火犯の犯行の法則を見つけた瓜野は『月報船戸』に次なる犯行現場予測を記載し、その予想を的中させていく。やがて生活指導部や新聞部内など周りに反発する声が無くなってきた瓜野は、自分達の手で連続放火犯を捕まえようとする野心に傾倒するようになる。一方、連続放火事件に対して野次馬的興味しか抱いていなかった常悟朗だったが、小佐内の誘拐に使われた車が連続放火事件のターゲットとして燃やされたことから、事件と新聞部内の動きに小佐内の影を感じとり、自ら事件に首を突っ込んでいく。

結末

1学期となり引退した健吾に代わって部長になった瓜野は、小佐内のそれとない制止を聞かず、五日市や新入部員を率いて放火犯逮捕に向けて、夜中に巡回を開始するものの放火犯の尻尾を掴めずにいた。常悟朗は健吾と共に連続放火事件を解決するため、小佐内と新聞部の動きについて調べる。その際に小佐内と瓜野の関係を教えてくれた吉口から、仲丸が二股を掛けていて大学生の本命がいることを知らされる。浮気疑惑を含め、恋人のことに露ほどにも関心を寄せない常悟朗の性分を悟った仲丸に別れを切り出され、破局する。

そして台風により犯行が行われなかった6月、再び犯行が行われた7月を経て、常悟朗と健吾、瓜野は事件を終わらせるべく8月を迎える。常悟朗は一番に出くわした放火現場で小佐内と再会する。その後、小佐内の元にやってきた瓜野は、自分を止めようとする小佐内の不審な言動から、小佐内を放火犯だと糾弾するが、逆に小佐内が放火犯ではないことを小佐内自身により証明され、項垂れながらその場を去る。小佐内と瓜野のやり取りが終わった後、健吾から犯人を捕まえたと連絡を受けた常悟朗は小佐内に事件の真相を語る。

初めに小佐内誘拐事件に使われた車が狙われたのは単なる偶然だったということ、瓜野が発見した放火犯の法則が、4件の犯行の時点では関連付けられていなかった現場に瓜野が共通点を見出しただけに過ぎなかったこと、以降の犯行が『月報船戸』のコラムの犯行予測に基づいて行われているということだった。そこで常悟朗は内部協力者として五日市と組み、部長になって部の仕事がおろそかになった瓜野の隙を狙い、犯行時点で船戸高生ではない1年を除く2年生以上のクラスごとに、放火予測に細かい場所指定をした新聞を何通りか作り、瓜野の仮説を直接知る機会のある人物を炙り出していった。そうして捕まった犯人は氷谷だった。そして小佐内のこれまでの暗躍は、本気で瓜野のためにしたものであったことも明らかとなる。

恋愛の中で図らずも自分の本性を覗かせても手応えを感じなかった常悟朗と小佐内は、「必要なのは「小市民」の御旗ではなく自分を理解してくれる誰か」だという結論に行き着き、再び一緒にいることを決めるのだった。事件後の9月、五日市が書いた『月報船戸』のコラムには「むしゃくしゃしてやった、(火をつける度に)友達が大騒ぎするのが面白かった」という氷谷の犯行動機を取り上げ、暗に騒いだ友達の瓜野を非難する内容が描かれていた。小佐内に振られる形となった瓜野は友人に馬鹿にされ、前まで部下同然だった部内の同級生に皮肉を言われる結果となった。和風喫茶〈桜庵〉で小佐内に誘われ栗きんとんを食べに行った常悟朗は、小佐内に自分が犯人だと疑われるような行動したのは瓜野に自身を犯人だと告発するための復讐だったと指摘する。小佐内が瓜野に復讐しようと決心した理由は、彼女が瓜野に忠告した際に、瓜野が「勝手にキスしようとした」からだった。

登場人物

脚注

外部リンク

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