浮世絵版画では、衣服のひだや紗綾形さやがたのような文様、波文や鳥の羽毛、障子の骨などを無色の凹線であらわす空摺りの技法が用いられる。
浮世絵は時代を経ることにその技法が高度化し、多色摺の版画が実現すると、何度摺もの摺圧に耐えられるように、用紙も従来の美濃紙などから厚手の奉書紙に変更された[3]。これにより、ばれんで圧力を加えて紙に凹凸をつける空摺りが可能となった。
画面をより精緻に表現する手法として、錦絵の草創期に鈴木春信によって盛んに用いられた[2][4]。それ以後、歌麿も団扇の骨やタバコの煙の表現などにこの技報を用い[4]、この技法は、摺物や絵本など小画面の彩色摺にも広がっていった。