リットル

体積の単位 From Wikipedia, the free encyclopedia

リットル: litre, : litre単位記号: L, l)は体積の単位。「SI単位と併用できる非SI単位」の一つ。

概要 リットル仏 litre 英 litre, 記号 ...
リットル
litre
litre

1リットルは1辺10 cmの立方体の体積である
記号 L, l
度量衡 メートル法
非SI単位
種類 SI併用単位
体積
SI 103 m3
定義 1 dm3
語源 フランス語 litronフランス語版 (≒ 0.78 L)
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1リットル = 103立方メートル (m3) = 1立方デシメートル (dm3) = 1000立方センチメートル (cm3) である[1]

液体などの体積の単位として用いられる。

日本においては、かつては液体の体積は「容積」であるとして区別していた時期があったが、現在では法令上は「容積」の語は用いられずリットルも体積の単位であるとされる[2]

語源および表記

リットルの語源はフランス語litron であり、litronギリシア語: λίτρα およびラテン語: litra に由来する。

日本では1952年昭和27年)2月29日まで漢字で(立突の略)と書かれていた。また、英語での発音: litre, [ˈliːtə(r)]:リーター)から、日本ではリッターと表記・発音されることがある。1952年3月1日計量法施行後はリッター(立突)の表記は、法律上認められていない。

英語表記

BIPMが発行するSI文書(フランス語版+英語版、および英語版)では、リットルの英語表記としてISO 31「量と単位」(Qunatities and Unites) に従い、一貫して、“litre” を使用している[3][4]。英国においても同じである[5]。liter の綴りは用いられない。

一方、アメリカ合衆国においては“liter”の綴りが一般的に使用されている。これは合衆国政府印刷局のUnited States Government Printing Office Style Manual が “liter” を使用している[6]ことを根拠に[7]、アメリカにおいてSIを所管しているNISTがSI文書のアメリカ版である NIST Special Publication 330[8] において liter の綴りを採用していることが根拠となっている。アメリカでは他にもとしては、メートルを metre → meter、デカを deca → deka、トンを tonne → metric ton などと綴りを変更している[9][10](ただし、tonne については、SI文書でも「英語圏では通常 metric ton と呼ばれている」と注記している)。

日本では英語の発音を元に、リットルを「リッター」と発音することがあるが、公的な文書ではSI文書に準じて "litre" の綴りを用いる。

リットル系と立方メートル系の使い分け

SIや他の国際標準では、リットル系と立方メートル系の使い分けについての明確な記述を示していない。

しかし、1964年の国際度量衡総会は「リットルという名称は、高精度の体積測定の結果を表すためには使用されないよう勧告する」としている。次項で述べるように、リットルの定義が過去に2回変更されており、混乱を招く可能性があったためである。特に1901年から1964年までのリットルの定義は 1.000028 dm3 であったので、NISTは、この間の精密なデータを扱う場合に留意するように注意を与えている[11]

歴史

1793年、リットルはフランスの「共和党法案」で、新しい公定単位の一つとして提案された。その定義は 1リットル = 1立方デシメートル (dm3) であった。名前は、フランスの伝統的な単位リトロンフランス語版 (litron) ≒ 0.78 L に因む。

1879年国際度量衡委員会 (CIPM) はリットルの定義および小文字の l(小文字のエル)をその記号とすることを採択した。

1901年、第3回国際度量衡総会 (CGPM) は、「1. 高精度測定のための体積の単位は,最大密度[注釈 1]で,標準大気圧の下にある1キログラムの純水によって占められる体積であり,その体積を「リットル」と称する.」と声明した[12]

1901年の定義の意図するところでは、1リットルは1立方デシメートルと等しくなるはずであった。1立方デシメートルの純水の体積は1キログラムであるためである。しかし、実際にはキログラムの定義に使用されるキログラム原器が本来の意図よりも重く作られてしまったため、1リットルは1立方デシメートルよりもわずかに大きいことになった。

そこで、国際度量衡局 (BIPM) は純水1立方デシメートルの純水の質量を測定した。しかし測定によって1ミリグラム台の差が出てしまった。これは、先のリットルの定義では最大密度・標準大気圧を規定しているが、実際の水の体積には他の多数の条件が関わっており、それらの条件をすべて揃えるのは難しいためである。

さらに見る 測定者, 測定値 L/dm3 ...
測定者測定値 L/dm3
ギヨーム1.000029
シャピュイユ1.000027
レピネーラ1.000028
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結局、1907年BIPMは表の3つの測定結果を示した上で「BIPMに課せられた水の1キログラムの体積を決定する仕事は、最高の精度をもって達せられた」と報告し、純水に基づいて1リットルの正確な値を決定する作業を放棄した。

そのため、各国で1リットルの値に差異が生じる事態が起きた。例えば日本では 1.000028 dm3 を採用し、アメリカでは 1.000029 dm3 を採用した。

1960年の第11回CGPMCIPMにこの問題を検討するよう要請し[13]、1964年の第12回CGPMにおいて、1901年の定義を廃止して、リットルは立方デシメートル (dm3) の別名称であるとする定義を発表し、高精度の体積測定の結果を表すためにはリットルを用いないことを勧告した[14]。定義の変更による混乱を避けるために、新しい定義のリットルには「新リットル」という名称が与えられ、(旧)リットルと区別する必要がある場合に使いることとした。

現在では(旧)リットルが使われることはほとんど無く、現在はリットルは新リットルを指す。

記号のゆれ

リットルの単位記号国際単位系 (SI) の規定では、大文字・立体の L または小文字・立体の l が正しい。日本の計量法上も同じである[15]

L

当初、リットルを表す単位記号は小文字・立体の l だけであった。SIにおいては、人名に由来する単位については記号の一文字目を大文字にし、それ以外の単位は全て小文字で書くことになっていたからである。

しかし、多くのラテン文字を由来とする文字を使用する国では、筆記体アラビア数字の 1 を単に垂直の線のみで示すのが一般的であり、これとラテン文字の小文字の l とは酷似している。手動式タイプライターの一部の機種では、数字「1」のキーを省略し、Lの小文字「l」で代用したものがあったほどである(タイプライター#キーの省略)。そのため l と 1 が誤認されることがあった。

1979年の第16回CGPMでは大文字・立体の L もリットルの単位記号として用いることを採択した。また、将来「l」と「L」のうちの一方のみを正式なものとして選択するべきと表明したが[16]、後の1990年の会議ではまだその時期ではないとされた[17]

このような経緯から、SIにおいては l と L のどちらを用いることができるとされる。

日本では産業技術総合研究所が、大文字・立体の L を使用することを推奨しており[18]。法令においても例えば農林水産省の「飼料及び飼料添加物の成分規格等に関する省令」は、「L」を用いることを規定している[19]、L の使用が優勢である。

アメリカ標準技術局 (NIST) は、SP811において、アメリカ合衆国では大文字 L を使用すると規定している[20]。このためSI文書のNISTバージョンであるSP330においてもリットルの記号として L のみを掲げている[21]。なお、合衆国政府印刷局のStyle Manualにおいても、大文字 L を使用すると規定している[22]

記号の由来についての冗談

「リットルに大文字「L」を用いるのは、クロード・リットル (Claude Émile Jean-Baptiste Litre) という人名に由来するためである」とする冗談をケネス・ウールナー (Kenneth Woolner) が1978年のエイプリル・フールのジョークとして教師向けの化学のニュースレターに載せたが[23]、1980年の国際純正・応用化学連合 (IUPAC) の雑誌 Chemistry International[24] に事実として記載され、同雑誌の次号において撤回されるという事件があった[25]。詳細はクロード・リットルを参照のこと。

の使用

日本をはじめとするいくつかの国では、リットルの単位記号として、小文字の l の活字体ではなく小文字・筆記体・立体の (U+2113) を用いることがある。

かつては、日本の初等・中等教育でも や斜体字のエル を用いているものがあった。しかし、この記号は法的に定められたものでなく、「計量単位立体で書き、斜体字は物理量の変数を表す」といった使い分けのルールにも反する。このため2006年度の教科書検定では、高校物理IIおよび高校化学IIの教科書では立体の L に表記を変更した。小学校の教科書においても、2011年の教科書検定から、単位記号は、大文字の「L」を使用するように検定意見が付き、各教科書とも、L を使用し始めた[26][27][28][29]。これは、教科用図書検定基準が改定され、計量単位の記号については、「SIと併用される単位」についても、SI文書の表記によることとされたためである[30][31]。市中においては今だにが使われているため、小学校の教科書では異なる記号が使われていることに注意を促しているものがある[32]

縦書き表記ではもっぱら が使用されるか、SI接頭語の記号 + (m 等)を縦中横にしたり、 の形の組文字を使用することが多い。立体の l やL が使用されることは稀である。

は一部の文字コードに収録されている。JIS X 0213を面区点位置1-3-63に割り当てているが、リットルの記号として L や l の使用の制限を意図するものではないとしている[33]Unicodeでは U+2113 に SCRIPT SMALL L として liter (traditional symbol) の説明つきでリットル用の記号としてコードが割り当てており[34]、数学用に使用される筆記体の l である U+1D4C1, 𝓁, MATHEMATICAL SCRIPT SMALL L[35] とは区別して定めている。

酒類の表示

国税庁は「酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律」[36]第86条の5(酒類の品目等の表示義務) を根拠とし、酒類の内容量について次のようにリットル系の単位を用いて表記するよう指示している[37]

  • 「内容量」の文字に続けて、「L」、「ml」、「mL」、「ℓ」、「mℓ」又は「リットル」、「ミリリットル」と表示しなければならない。

倍量・分量単位

リットルは非SI単位であるがSI接頭語を付加することができる。

分量単位

ミリリットル

ミリリットル (mL) は1000分の1リットルであり、立方センチメートル (cm3) に等しい。

日本の日常生活ではよく使われる単位であり、液状の医薬品化粧品、調理のレシピなどで用いられる。内燃機関の容積を表す際に、大まかに記述する際はリットルを用いるが、細かく記述する際は立方センチメートルが用いられる。

なお、ミリリットル・立方センチメートルを cc(立方センチメートルフランス語: centimètre cubeの略)とも表記することがあるが、SIでは使用を認めておらず、使わないほうがよいとされる。

デシリットル

豆類の販売にデシリットルが用いられている。

デシリットル (dL) は10分の1リットルである。

日本ではあまり使われない[注釈 2]が、小学校2年生の算数の教科書で教えられている[39]。これは水筒(0.8 L程度)やペットボトル(0.5 L程度)の体積を示して体積(「かさ」としている。)の単位を教えるのであるが、小学校2年生の段階では、小数点を習っていないため[注釈 3][40]、0.8 L、0.5 L とは教えず、8 dL、5 dL として教えるためである。

デシリットルは日本の豆や穀類の小売りで用いられている。従来は尺貫法の1(約 1.8039 デシリットル)を取引単位としていたが、計量法の施行により合が商取引に使えなくなり比較的近い2デシリットルを販売単位とするようになったためである(写真参照)。

血糖値の単位として mg/dL(ミリグラム毎デシリットル)が用いられる。

センチリットル

センチリットル (cL)は100分の1リットル (10 cm3) である。

ヨーロッパではセンチリットルが飲料の容量などによく使われる。「EUにおける食品ラベルに関する表示規則(理事会指令76/211/EEC)」において、液体の容量表示は、「cL」と規定している。ただしワイン類については附則でmL表示が認められている[41]

その他の分量単位

生化学塗装印刷など微量の液体を扱う分野では、マイクロリットル (µL)、ナノリットル (nL)、ピコリットル (pL)、フェムトリットル (fL)、アトリットル (aL) が使われる。

さらに小さなSI接頭語を付けた単位も考えられるが、実際に用いられることは無いであろう。

倍量単位

キロリットル (kL) はリットルの1000倍であり、1立方メートル (m3) に等しい。

メガリットル (ML) はリットルの100万倍である。

これより大きなSI接頭語をつけることも許されているが、実用上はほとんど使われない。

また10倍および100倍を表すSI接頭語であるデカおよびヘクトを付けた、デカリットル (daL) およびヘクトリットル (hL)があり、これらを表す漢字(和製漢字国字)も作られたが、実際に使われることは稀である。

さらに見る 倍量, 名称 ...
倍量名称記号SI単位 分量名称記号SI単位
100 LリットルL103 cm3(1 dm3)  
101 LデカリットルdaL104 cm3(101 dm3) 10−1 LデシリットルdL102 cm3
102 LヘクトリットルhL105 cm3(102 dm3) 10−2 LセンチリットルcL101 cm3
103 LキロリットルkL1 m3 10−3 LミリリットルmL1 cm3
106 LメガリットルML103 m3(1 dam3) 10−6 LマイクロリットルµL1 mm3
109 LギガリットルGL106 m3(1 hm3) 10−9 LナノリットルnL106 µm3
1012 LテラリットルTL1 km3 10−12 LピコリットルpL103 µm3
1015 LペタリットルPL103 km3 10−15 LフェムトリットルfL1 µm3
1018 LエクサリットルEL106 km3 10−18 LアトリットルaL106 nm3
1021 LゼタリットルZL1 Mm3 10−21 LゼプトリットルzL103 nm3
1024 LヨタリットルYL103 Mm3 10−24 LヨクトリットルyL1 nm3
1027 LロナリットルRL106 Mm3 10-27 LロントリットルrL106 pm3
1030 LクエタリットルQL1 Gm3 10-30 LクエクトリットルqL103 pm3
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漢字

漢字圏では「立脱耳」や「立突」という漢字が当てられ、日本では「立」と略すようになった。それを使って下記のような国字が作られた。

現在の日本の計量法では漢字を商取引で用いることは認めていない。

  • 竏 - キロリットル (kL)
  • 竡 - ヘクトリットル (hL)
  • 竍 - デカリットル (daL)
  • 竕 - デシリットル (dL)
  • 竰 - センチリットル (cL)
  • 竓 - ミリリットル (mL)
  • [注釈 4] - マイクロリットル (µL)

ちなみに、「立米」は「りゅうべい」と読み、立方メートルのことである。

中華人民共和国では、尺斤法が偶然にもほぼ1リットルだったため、尺斤法をメートル法で再定義する際、升を1リットルと定義し、リットルを表すにも升を使うようになった。

符号位置

さらに見る 記号, Unicode ...
記号UnicodeJIS X 0213文字参照名称
U+21131-3-63ℓ
ℓ
リットル
U+3395-㎕
㎕
マイクロリットル
U+3396-㎖
㎖
ミリリットル[注釈 5]
U+3397-㎗
㎗
デシリットル
U+3398-㎘
㎘
キロリットル
U+33511-13-40㍑
㍑
全角リットル
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Unicodeには、リットルとその分量・倍量単位を表す上記の文字が収録されている。このうち、文字様記号である ℓ 以外はCJK互換用文字であり、既存の文字コードに対する後方互換性のために収録されているものであって、使用は推奨されない[42][43]

JIS X 0213における図形文字「 」の追加は、リットルの記号として L や l の使用の制限を意図するものではない(#L)。

脚注

参考文献

関連項目

外部リンク

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