絶対定量 (PCR)

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絶対定量(absolute quantification)とは、リアルタイムPCRにおいて、標準曲線を用い、試料中の標的核酸のコピー数をCt値から算出する定量方法である[1]

概要

絶対定量では、既知濃度の標準物質を段階希釈して作成した標準曲線を用い、試料のCt値から標的核酸のコピー数または濃度を算出する。相対定量が内部対照遺伝子との比較によって発現量の変化を評価するのに対し、絶対定量ではコピー数や濃度といった絶対量を直接求めることができる。

この方法は、ウイルス量の測定、遺伝子コピー数の評価、プラスミドや標準DNAの定量など、標的核酸の絶対量を必要とする解析に広く用いられている[1]

原理

リアルタイムPCRでは、PCR反応の進行に伴って増幅産物の蛍光シグナルを連続的に測定し、蛍光が一定の閾値を超えた時点のサイクル数をCt値(threshold cycle)として求める。PCR反応が指数関数的に進行する条件では、初期鋳型量とCt値との間には一定の関係が成立する。

絶対定量では、既知濃度の標準物質を段階希釈して複数の濃度系列を作成し、それぞれのCt値を測定して標準曲線を作成する。得られた標準曲線に試料のCt値を当てはめることで、試料中に含まれる標的核酸の初期量を算出することができる[1]

標準曲線

絶対定量における標準曲線は、既知濃度の標準物質を段階希釈して複数の濃度系列を作成し、それぞれについてリアルタイムPCRを行ってCt値を測定することにより作成される。得られたCt値を縦軸、鋳型の対数濃度またはコピー数を横軸としてプロットすると、一定範囲内では直線関係が得られる。

この直線の回帰式を用いることで、未知試料のCt値から初期鋳型量を算出することができる。また、標準曲線の傾きからPCR反応の増幅効率(PCR efficiency)を評価することが可能であり、一般に効率が適切な範囲にあることが定量の信頼性を担保する条件とされる[1]

コピー数の算出

標準曲線から得られた回帰式を用いることで、未知試料のCt値に対応する初期鋳型量を求めることができる。一般には、標準曲線から算出される値はPCR反応に添加された試料中のコピー数または濃度であり、試料の前処理や希釈を行っている場合には、その希釈倍率を考慮して元の試料中のコピー数を算出する。

また、結果は反応液あたりのコピー数として求められるため、抽出体積や分注量を考慮することで、単位体積あたりのコピー数や試料全体の総コピー数へ換算することができる。このような計算手順を適切に管理することが、絶対定量における定量値の再現性と比較可能性を確保する上で重要とされる[1]

検出限界と精度

絶対定量においては、検出限界(limit of detection)および定量下限(limit of quantification)が重要な指標となる。PCR反応では、鋳型分子数が極めて少ない場合、分配の確率的ばらつきや反応効率の変動の影響が大きくなり、測定値の再現性が低下することが知られている。

一般に、低コピー数領域では測定値のばらつきが増大し、検出の有無自体が不安定になる場合がある。このため、標準曲線の直線性が保たれる範囲を定量範囲として設定し、その範囲内で結果を解釈することが推奨されている。また、再現性を確保するため、同一試料について複数回の反応を行うことや、適切な陰性対照および陽性対照を設定することが重要とされる[1]

応用

絶対定量は、試料中に含まれる標的核酸のコピー数や濃度を直接求めることができるため、さまざまな分野で利用されている。例えば、ウイルス量の測定、遺伝子コピー数変異の解析、プラスミドDNAや標準物質の定量、環境試料中の微生物量の評価などに広く用いられている。

また、標準物質を用いて測定値を絶対量として表すことができるため、異なる実験間や施設間での比較が可能であるという利点がある。この特性から、臨床検査や品質管理、基礎研究など、定量値の再現性および比較可能性が求められる場面で重要な手法とされている[1]

脚注

参考文献

関連項目

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