聖ベルナルドゥスを抱擁するキリスト
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| スペイン語: Cristo abrazando a san Bernardo 英語: Christ Embracing Saint Bernard | |
| 作者 | フランシスコ・リバルタ |
|---|---|
| 製作年 | 1625-1627年ごろ |
| 種類 | キャンバス上に油彩 |
| 寸法 | 158 cm × 113 cm (62 in × 44 in) |
| 所蔵 | プラド美術館、マドリード |
『聖ベルナルドゥスを抱擁するキリスト』(せいベルナルドゥスをほうようするキリスト、西: Cristo abrazando a san Bernardo、英: Christ Embracing Saint Bernard) は、バロック期のスペインの画家フランシスコ・リバルタが1625-1627年にキャンバス上に油彩で制作した絵画である。リバルタの作品中でも特に高く評価されており[1][2]、その様式的特徴から20世紀初頭にはフランシスコ・デ・スルバランの名が作者として挙げられていた[1]。バレンシアのサンタ・マリア・デ・ポルタ・コエリ修道院に由来する作品で[1][2][3]、1940年にカルタヘナ伯爵遺贈基金によりマドリードのプラド美術館に購入されて以来[1][4]、同美術館に所蔵されている[1][2][3][4]。
クレルヴォーのベルナルドゥスは、シトー会修道院の一大推進者として名高い[1]。画面に描かれているのは、磔の十字架からひと時だけ身を離したイエス・キリストが聖ベルナルドゥスに愛情に満ちた抱擁を授けたという、敬虔な物語である[1][2]。この主題はベルナルドゥス自身の神秘の幻視経験に端を発していると考えられ、その起源は13世紀にエーベルバッハのシトー会修道僧コンラートが表した『大創立史』 (第2書、第7章) に遡る[1]。スペインにおいて、この主題は、ペドロ・デ・リバデネイラによる『諸聖人伝』に記されている[1][2]。
聖ベルナルドゥスは、目立つ頬骨と落ちくぼんだ目を持つ、痩せた人物として表されている。キリストを抱く彼の口は半ば笑みを浮かべ、その笑みは彼の身体と魂を満たす聖なる歓喜を伝えている。キリストが彼に相対すべく十字架から下りてくると、聖ベルナルドゥスの身体から力が抜け、救世主キリストに支えられることになる[3]。光の焦点となっている2人の身体は触覚的に表現されている。リバルタは構図とすべての細部を制御し、この力強い宗教的経験を見事に描き出している[3]。
リバルタは稀有の力量によって、バロックに特有の幻視という極めて特殊で非日常的光景を自然らしさと、あり得べき姿で鑑賞者の目前に再現することに成功している[1]。低い視点から描かれた本作の一見簡素な構図は、リバルタが基礎とした2つの概念を明らかにしている。1つはエル・エスコリアル修道院の装飾に関わったイタリアの後期マニエリスムの画家たちに学んだもので、もう1つはカラヴァッジョがもたらしたキアロスクーロを用いたリアリズムの表現である。リバルタはカラヴァッジョの作品を知ることはおそらくなかったが、模作を通じてカラヴァッジョの功績を確かに学んだと思われる[1]。
キリストの身体はギリシャ神話のヘラクレスさながらに描かれている[2]が、その威厳に満ちた身体の量感[1]はセバスティアーノ・デル・ピオンボの『キリスト哀悼』 (エルミタージュ美術館、サンクトペテルブルク) のキリスト像と関連付けられる[4]。当時、スペインの王室コレクションにあった『キリスト哀悼』をリバルタは、2度にわたり模写している[4]。さらに、リバルタのキリストは、バルトロメ・カルドゥーチョの『キリスト降架』 (プラド美術館) 中のキリスト像も想起させる[1]。
本作は、リバルタのよく知られた『天使に慰められる聖フランチェスコ』 (プラド美術館) と比べても、堂々たる造形性においてより力強い表現力に満ちている。一方、聖ベルナルドゥスの衣服の襞も計算されたように正確に写し取られており、そこに見られる光の影のコントラストは際立って素晴らしい[1]。なお、画面左右にうっすらと見える2人の人物像は、最近の修復で明らかになったものである[2]。
ギャラリー
- セバスティアーノ・デル・ピオンボ『キリスト哀悼』 (1616年)、エルミタージュ美術館
- バルトロメ・カルドゥーチョ『キリスト降架』 (1618-1619年ごろ)、プラド美術館
- フランシスコ・リバルタ『天使に慰められる聖フランチェスコ』 (1620年ごろ)、プラド美術館