西洋の敗北
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『西洋の敗北』(せいようのはいぼく、仏: La défaite de l'Occident)は、エマニュエル・トッドの著書。日本では2024年に文藝春秋から出版[1]。
ソ連崩壊やイギリスEU離脱などを予測して、歴史学者・人類学者・人口統計学者でもある著者による著書である。この書籍ではウクライナ戦争とは西洋が衰退する象徴的な出来事とされており、西洋の経済的・軍事的限界と、中国やロシアの台頭を同時に論じて、これからの世界が多極化に向かう未来を予想する[2]。
この書籍からはウクライナ戦争やシリア情勢を見る目が豊かになるとのこと。この書籍によると、ウクライナ戦争において危機に瀕しているのは、米国やウクライナや西洋陣営とのこと。この書籍では戦争を持ちこたえるのはロシアの方であるとしている[3]。
ウクライナ戦争でのロシアの勝利は確実でも5年以内の決着を迫られている、ウクライナが存在する理由は戦争となっている、東欧とハンガリーは反露感情とドイツ経済に支配されている、欧州は対米自立を失っている、イギリスは国家崩壊の先頭を行っている、北欧はフェミニズムから好戦的になった、学歴だけのギャングが外交・軍事を司っている、アメリカは物ではなくドルだけを生産している、その他の世界はロシアの勝利を望んでいるということなどが述べられている[4]。ウクライナが敗れることはみんな薄々気付き出している、弱者が行きづらい社会は、現在ではロシア以上に米国であるとしている[5]。
この書籍で分析されている事柄は、日本のマスコミによって伝えられていることとは全く異なる。ウクライナ戦争の根本的な対立というのは、ロシア対アメリカと同盟国であるとする。ロシアの核の優位性と新戦略によりウクライナは通常戦の舞台となったとする。ロシアは既に極超音速ミサイルを持っているがアメリカは持っていないために、ロシアが脅かされた場合にはモスクワからの核の使用を可能にしており、NATOが通常戦に突入することはあまりにも危険となっているとする。西洋人は低賃金の国の労働者に必要な物を作らせて、次いで戦争をウクライナのような人の命が安い国に低コストでやらせているとする。何よりも経済に関心を寄せる『ウォール・ストリート・ジャーナル』は、2023年の自殺行為であった反転攻勢で切断手術を受けることになったウクライナの被害者数に注目していた。この被害からドイツの義肢産業が復活していた[6]。
著者はこれまでに行ってきた多くの予言の中でも、『西洋の敗北』が最もすぐに実現したものであるとしている。ウクライナ戦争、イスラエル・イラン紛争、トランプ関税、米欧の分裂と対立は、いずれもが『西洋の敗北』で予言していたものが現実化したものであるとしている[7]。
丸善丸の内本店の週間ベストセラーランキングノンフィクション部門で11月27日まで3週間連続1位となる。21ヶ国語に翻訳され刊行されている[8]。
書誌情報
- エマニュエル・トッド (2024) (フランス語). La défaite de l'Occident. ガリマール出版社. ISBN 9782073041135
翻訳版
- エマニュエル・トッド 著、大野舞 訳『西洋の敗北 : 日本と世界に何が起きるのか』文藝春秋、2024年11月。ISBN 978-4-16-391909-6。
関連書籍
- エマニュエル・トッド『西洋の敗北と日本の選択』 1507巻、文藝春秋〈文春新書〉、2025年9月。ISBN 978-4-16-661507-0。
脚注
出典
- ↑ 『西洋の敗北 日本と世界に何が起きるのか』。https://honto.jp/ebook/pd-series_B-MBJ-20012-127643943-001-001.html。
- ↑ “【書評】『西洋の敗北』〜西洋リベラリズムはなぜ敗れるのか?日本は敗北する西洋の一員なのか?〜 評者:堀内 勉(多摩大学大学院教授 多摩大学サステナビリティ経営研究所所長) | JBpress (ジェイビープレス)”. JBpress(日本ビジネスプレス). 2025年11月3日閲覧。
- ↑ Inc, Nikkei (2025年1月11日). “書評『西洋の敗北』エマニュエル・トッド著”. 日本経済新聞. 2025年11月3日閲覧。
- ↑ “『西洋の敗北 日本と世界に何が起きるのか』エマニュエル・トッド 大野舞 | 単行本 - 文藝春秋”. 文藝春秋BOOKS. 2025年11月3日閲覧。
- ↑ “[読書]政治 西洋の敗北 エマニュエル・トッド著 大野舞訳 ウクライナ悲劇への洞察”. 沖縄タイムス+プラス (2025年1月11日). 2025年11月3日閲覧。
- ↑ “今週の本棚:佐藤優・評 『西洋の敗北 日本と世界に何が起きるのか』=エマニュエル・トッド著、大野舞・訳”. 毎日新聞. 2025年11月3日閲覧。
- ↑ “『西洋の敗北と日本の選択』エマニュエル・トッド | 文春新書”. 文藝春秋BOOKS. 2025年11月3日閲覧。
- ↑ 理恵, 寺田 (2024年12月15日). “ウクライナ戦争を巡り西洋メディアと異なる分析 21カ国で翻訳されるも、英訳されず <話題の本>『西洋の敗北』エマニュエル・トッド著、大野舞訳”. 産経新聞:産経ニュース. 2025年11月3日閲覧。