ケラチノサイト
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機能
構造
細胞分化
表皮幹細胞は表皮の下層(基底層)に位置し、ヘミデスモソームを介して基底膜に接着されている。表皮幹細胞はランダムに分裂し、より多くの幹細胞またはTA細胞(transit amplifying cell)となる[5]。TA細胞の一部は増殖を継続し、その後に分化を行って表皮の表面に向かって移動する。幹細胞とそこから分化した子孫は円柱状に組織化され、表皮増殖単位(epidermal proliferation unit)と呼ばれる[6]。
この分化過程でケラチノサイトは細胞周期から脱し、表皮分化マーカーの発現を開始し、上層へ移動する。有棘層(stratum spinosum)、顆粒層(stratum granulosum)と移動し、最終的には角質層(stratum corneum)の角質細胞(corneocyte)となる。
角質細胞は分化プログラムを完了したケラチノサイトで、細胞核や細胞質のオルガネラを失っている[7]。最終的に、角質細胞は新たな細胞が入ってくると落屑によって剥離する。
分化の各段階でケラチノサイトは、ケラチン1、ケラチン5、ケラチン10、ケラチン14などの特異的ケラチンを発現するが、インボルクリン、ロリクリン、トランスグルタミナーゼ、フィラグリン、カスパーゼ14など他のマーカーも発現する。
ケラチノサイトの幹細胞から落屑までのターンオーバーは、ヒトでは40–56日[8]、マウスでは8–10日[9]と推定されている。
ケラチノサイトの分化を促進する因子としては次のようなものがある。
- カルシウム勾配: カルシウムは基底層で最も低濃度であり、顆粒層の外層で最大となるまで濃度は上昇し続ける。角質層のカルシウム濃度は極めて高いが、この層の比較的乾燥した細胞ではイオンを溶解できないことがその一因である[10]。こうした細胞外のカルシウム濃度の上昇は、ケラチノサイトの細胞内の遊離カルシウム濃度の上昇を誘導する[11]。細胞内カルシウム濃度の上昇の一部は細胞内に貯蔵されていたものの放出によるものであり[12]、残りは膜を越えた流入によるものである[13]。カルシウムは、カルシウム感受性塩素チャネル[14]とカルシウム透過性を有する電位非依存性カチオンチャネル[15]の双方を介して流入する。さらに、細胞外のカルシウムを検知する受容体も細胞内カルシウム濃度の上昇するに寄与する[16]。
- ビタミンD3(コレカルシフェロール): ビタミンD3は主にカルシウム濃度の調節と、分化に関与する遺伝子の発現の調節によって、ケラチノサイトの増殖と分化を調節する[17][18]。ケラチノサイトはビタミンDの産生から異化までの完全なビタミンD代謝経路とビタミンD受容体の発現を有する、体内で唯一の細胞である[19]。
- カテプシンE[20]
- TALEホメオドメイン転写因子[21]
- ヒドロコルチゾン[22]
ケラチノサイトの分化はケラチノサイトの増殖を阻害するため、ケラチノサイトの増殖を促進する因子は分化を防ぐ因子としてみなされる。そうした因子には次のようなものがある。
他の細胞との相互作用
創傷治癒における役割
サンバーンセル
老化
シバット小体

シバット小体またはシバット体(Civatte body、フランスの皮膚科医Achille Civatte(1877–1956)に由来する[35])はアポトーシスを起こした損傷した基底ケラチノサイトであり、ケラチン中間径フィラメントによって大部分が構成され、ほぼ常に免疫グロブリン、主にIgMで覆われている[36]。シバット小体はさまざまな皮膚疾患、特に扁平苔癬や円板状エリテマトーデスの病変部位に特徴的に観察される[36]。また、移植片対宿主病、薬物有害反応、炎症性角化症(苔癬様日光角化症、扁平苔癬様角化症など)、多形紅斑、水疱性類天疱瘡、湿疹、毛孔性扁平苔癬、熱性好中球性皮膚症、中毒性表皮壊死症、単純疱疹と水痘・帯状疱疹の病変部位、疱疹状皮膚炎、晩発性皮膚ポルフィリン症、サルコイドーシス、角層下膿疱症、一過性棘融解性皮膚症、epidermolytic hyperkeratosisでもみられる場合がある[36]。

