遛鳥

From Wikipedia, the free encyclopedia

繁体字 遛鳥
簡体字 遛鸟
拼音 liùniǎo
発音: リウニャオ
遛鳥
写真
香港仔海浜公園での遛鳥風景
各種表記
繁体字 遛鳥
簡体字 遛鸟
拼音 liùniǎo
発音: リウニャオ
日本語漢音読み りゅうちょう
英文 bird walking
テンプレートを表示

遛鳥(りゅうちょう、簡体字:遛鸟、拼音:liùniǎo)は、中華圏に見られる、飼い鳥を鳥かごに入れたまま屋外に持ち出し、公園などで鳴き声や姿を楽しみ、愛好家同士が交流する行為・習俗である[1][2][3][4]中国北方では「提籠架鳥」(簡体字:提笼架鸟)とも呼ばれる[5]。日本語や英語では「鳥の散歩」や「bird walking」として紹介されることがある[6][7]

「遛鳥」は、国語辞典で「鳥かごを提げて静かな場所へ散歩に行く」と説明される[8]北京など北方都市では、籠を手に提げて歩く「提籠」と、目的地で籠を木やフックに吊るす「架鳥」を合わせて「提籠架鳥」と呼び、遛鳥とほぼ同義の語として使われている[9][10][11]

なお、台湾では、公衆の場で男性器を露出する行為を指す俗語として「遛鳥」が用いられる用例も見られるが[12][13]、本項では飼い鳥を連れて歩く伝統的な余暇活動としての「遛鳥」について述べる。

歴史

中国製の鳥かご(1915年)

中国では古くから小鳥を飼育して鑑賞する文化があり、期には昆虫金魚などと並んで「花鳥魚虫」の一つとして都市の文人や富裕層に親しまれた[14]。この中で、籠に入れた鳴鳥を外へ連れ出す遊びとしての遛鳥も形成されていったとされる[5][10]

清朝期には八旗子弟や宮廷関係者のあいだで籠鳥を愛玩する風習が発展し[10][11][7]、徐々にこうした遊びは一般市民へと広がり、都市部では通りや公園、茶館などで鳥かごを提げた男性たちが見られるようになった[10][11][15]

香港では、「バード・ストリート」と呼ばれる鳥店街が形成され、1920 - 30年代には飼い鳥文化が一般市民の日常的なレジャー・娯楽として深く根付いた[1]

目的

上海天山公園中国語版での遛鳥風景

遛鳥は、次のような目的や意味を持つとされる。

  • 鳥の健康維持:室内から出して日光や新鮮な空気に触れさせることで、鳥の体調や羽毛の状態、さえずりの調子を保てると考えられている[5][7]。また、散歩の途中に鳥かごを振り子のように軽く揺らし、止まり木につかまらせることで、筋肉を使わせて羽毛の状態を整える効果があるとされる[5][7][16]
  • 鳴き声の訓練:他の鳥(「先生」と呼ばれる熟練した鳥)の声を聞かせることで、より多彩で美しいさえずりや鳴き真似を学習させる[10][7]
  • 社交と余暇:飼い主同士が集まり、飼育法や世間話をする社交の場となる。早朝に公園へ出かける習慣が高齢者の運動・外出機会になっているほか[5][7]貴州省で行われた調査では、籠鳥の飼育が高齢者の外出や人付き合いのきっかけになっていること、若年層にとっても飲酒や賭博を避ける動機付けや地域経済への貢献として肯定的に捉えられていることが報告されている[17]

実践

屋外での遛鳥

香港元朗の公園に設置された鳥かご掛け
南京市の公園で鳥かごの脇でゲームをする人びと

現代の中国の都市では、早朝の公園や広場に鳥かごを提げた愛好家が集まり、木の枝や専用のフックに鳥かごを吊るしてさえずりを楽しむ光景が見られる[10][7]。移動中は鳥が驚かないよう籠を布で覆い、目的地に着いてから覆いを外して日光浴と鳴き声を楽しむ[10][7]。飼い主たちは鳥かごをそばに置き、新聞を読んだり、将棋やトランプをしたり、友人と談笑したりして過ごす[7][17]

鳥を連れて歩く際には、布で覆った鳥かごを手に提げ、振り子のように軽く揺らしながら散歩する姿も見られる[7][5][16]。愛好家によれば、このように籠を軽く揺らして止まり木にしっかりつかまらせることが、鳥に適度な運動をさせ、羽毛を滑らかに保つうえで役立つとされる[5][7][16]

茶館・鳥市での交流

上海市内の遛鳥愛好家が集う茶館
香港園圃街雀鳥花園で鳥を観察する人びと

ヒバリガビチョウなどの愛好家が集う茶館が存在し、客が鳥かごを持ち寄って茶を飲みながら鳴き方や調教法を語り合う習慣がある[10][18]香港文化博物館は、かつては飼い鳥とその評論が中国の茶文化と切り離せない関係にあり、朝の時間帯に鳥かごでいっぱいになった伝統的な茶屋も見られたものの、そうした茶屋は近年減少し、友人同士が茶を飲みながら籠鳥のさえずりを楽しむ光景は一般的ではなくなっていると指摘している[1]

都市部の鳥市や「バードガーデン」も、飼い主同士が情報交換や品評を行う場となっている。香港旺角にある園圃街雀鳥花園は、伝統的な中国庭園の様式で作られ、飼い主が鳥を見せ合い、鳥かごの中の鳥を評し合う交流の場であるとともに、香港における籠鳥文化の継承の場と位置づけられている[1][19]

道具と飼育鳥

香港花墟道中国語版の店先に並ぶ竹製の鳥かご
上海市の公園で鳥かごの中にいるガビチョウ

鳥かご

軽量な製のものが多く、上部に吊り下げ用のハンガーが付いている[5]。かごの形状(円形・四角形など)や大きさは飼育する鳥の種類や用途によって選ばれ、紫檀などの高級木材を使用したものや、陶磁器製の餌入れ(ボウル)は工芸品としても評価されている[16][1][20]

主な飼育鳥

主に「鳴鳥」であり、ガビチョウ(画眉)、ヒバリハッカチョウ(八哥)、ツグミメジロなどが好まれてきた[5][21][7]。これらはいずれもさえずりが美しい、あるいは人語や他の鳥の声の模倣能力が高いことから人気がある[5][7]

鳥の品評・競技

遛鳥の場では、飼い主同士が鳥の体格や羽色、鳴き声の豊かさや安定性などについて語り合い、事実上の品評会のような役割を果たす[10][1]。香港文化博物館は、伝統的な茶館文化において飼い鳥とその「評論(commenting on caged birds)」が中国の茶文化と密接に結び付いていたと指摘している[1]

一部地域では、ガビチョウなどを用いた闘鳥の慣習も存在する[10][22][17]

評価と動物福祉

脚注

関連項目

Related Articles

Wikiwand AI