電子局在関数
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量子化学において、
ELFの有用性は、この関数により電子の局在化を化学的直感にあう形で解析することができるということからきている。たとえば、重原子の原子核からの距離に対してELFをプロットすると電子殻構造が一目でみてとれる。たとえばラドンのELFは6つの明瞭な極大値をもつ一方、電子密度分布は単調減少するし、動径重み付き確率分布でもすべての電子殻を可視化することはできない。分子に適用した場合、ELFを解析することによりコア電子と価電子の明瞭な区別が可能であるほか、共有結合と孤立電子対を可視化することができ、「VSEPR則のふるまいを忠実に可視化」することができる[1]。ELFのもう1つの特徴として、分子軌道の変換に関して不変であることもあげられる。

ELFは1990年、ベッケとEdgecombeの論文で発表された[1]。この論文では、まず以下の量が電子局在化の尺度としてはたらくことが主張された。
ここで、ρは電子のスピン密度、τは運動エネルギー密度分布をあらわす。上式第二項はボソン的運動エネルギー密度分布であり、したがってDはフェルミオンであることによる寄与といえる。Dは局在化した電子が存在する領域で小さくなると期待される。Dの大きさは局在化の尺度として恣意性をもつことから、下式で与えられる密度ρ(r)の一様電子ガスの値と比較する。
これらの比、
は無次元の局在化指標であり、一様電子ガスにくらべ電子がどれほど局在化しているかを表現する。最後に、χから0 ≤ ELF ≤ 1の範囲にマッピングするため以下のように定義される。
ELF = 1 のときは完全な局在化、ELF = 1/2のときは電子ガスに対応する。
オリジナルの導出はハートリー・フォック理論に基いてなされた。密度汎関数理論(DFT)への一般化は1992年にAndreas Savinによってなされ[2]、また彼はこの式を用いてさまざまな化学的・固体科学的系を調べた[3]。1994年、Bernard SilviとAndreas SavinはELFを微分位相幾何学をもちいて説明する方法を考案した[4]。
AIM法の形でのこのアプローチはリチャード・ベイダーにより創始された[5]。ベイダーの解析手法では、分子内の電荷密度を「原子ごと」に分割する際、ゼロフラックス面(電子の流れが存在しない面)を基準としている[6]。この手法により、多重極モーメントやエネルギー、力などの様々な物性を、分子内の個々の原子に対してdefensible[訳語疑問点]で一貫性のある形で分割することが可能となる。
近年[いつ?]、分子物性の分割手法として、ベイダーのアプローチとELFアプローチの両方が急速に普及している。これは現在、分子特性の最も高速で高精度なab-initio計算の多くがDFTに基いて行われるようになったことによる。この理論では電子密度を直接計算するが、これを、ELFのベイダー電荷解析手法を用いてさらに解析することができる。DFTにおいて最も広く用いられている汎関数の一つは、ELFの考案者でもあるベッケによって最初に提案されたものである。