I-ウムラウト

From Wikipedia, the free encyclopedia

i-ウムラウト: i-Umlaut)は、音韻の変化の一種でゲルマン語(特に古語)の用語。単語の前の音節母音が後ろの音節の/i/, /ī/ or /j/に影響されることをいう。後舌母音だと前舌母音になり(前舌化)、前舌母音だと狭母音に近づく(狭母音化)。紀元後500年頃に北海周辺で始まったとされる。傾向が強いのは古ノルド語北ゲルマン語)と古英語である。

祖語では強勢の有無には関わらず/e/の次の音節に /i/ あるいは /j/があるとき /e/>/i/ の変化が起きる(印欧祖語*/bhereti/>ゲルマン祖語*/beriþ/ 3人称単数、運ぶ)。/e/>/i/ のもとになったiは脱落する。これによって生じたiが後のiウムラウトを引き起こす。

古ノルド語

北ゲルマン祖語では後ろにj(子音)が来たとき (*skunja > skyn)、または長音節の後にi(母音)が来たとき(*gastiR > gestr, しかし *staði > *stað のまま)に起こる。後者は短音節にも起こることがある (*kuni > kyn, *komiR > kømr)。

古英語

名詞の複数形(fōt ,fēt "足"; mūs mȳs "鼠") 、強変化動詞の現在形の二人称、三人称単数形、弱変化動詞の第一型、形容詞比較級名詞派生動詞fōda "食べ物", fēdan "食べさせる"; lār "教訓", lǣran "教える") 、接辞 -þ がついた名詞(strang "強い", strengþ(u) "強さ"; hāl "全し", hǣlþ(u) "安康"; fūl "汚い", fȳlþ(u) "汚さ")に見られる。

i-ウムラウト
原音変音
æe
ei
a+m/ne+m/n
aæ
āǣ
oe
ōē
uy
ūȳ
eaie
ēaīe
eoie
ēoīe

一例として、英語で「足」を意味する foot の複数形である feet という語形も、ウムラウトによって生じたものである。 古英語以前では、古形 fōt の複数形は fōti であった。しかし、この末尾音 [*i] が前の母音 [*oː][*eː] へと変化させたので、中世英語では複数形 [*feːt] となり、さらに大母音推移を経て [fiːt] となったのが現代英語の feet である。

古高ドイツ語

低地ドイツ語

関連項目

Related Articles

Wikiwand AI