インベスター・リレーションズ
企業による投資家向け広報
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概要
全米IR協会(NIRI)は、IRを次のように定義している(2003年3月)。
- インベスター・リレーションズ(IR)は、企業の証券が公正な価値評価を受けることを最終目標とするものであり、企業と金融コミュニティやその他のステークホルダーとの間に最も効果的な双方的コミュニケーションを実現するため、財務活動やコミュニケーション、マーケティング、そして証券関係法の下でのコンプライアンス活動を統合した、戦略的な経営責務である。[1]
IRという言葉を最初に使ったのは、1953年に担当部署を発足させたゼネラル・エレクトリック(GE)といわれている。しかし、米国企業においてもIRが本格化したのは1990年代に入ってからである。日本企業のIRへの取り組みは、さらに遅れて1990年代後半から急速に活発化した。[2]
IRが盛んになる背景としては、次のようなことがある。すなわち、日本の企業金融は長年続いてきた間接金融から直接金融へ移りつつあり、そのなかで株式の持ち合い構造も解消に向かいつつある。あるいは、株式市場における外国人や外国の機関投資家などのウェイトは増しつつある。こうした中で、企業経営に占める株価(=時価総額)の比重が高まってきた。そこで、円滑な資金調達という点からも、企業にとって投資家が必要とする情報をすばやく的確に提供し、株主と良好な関係を作っていく必要性は大きくなってくる。IR活動は既存の法定ディスクロージャーと違い、どういう情報を、どれだけ、いつ開示するのか、すべて企業側に任されており、基本的に自由な活動である。従って、これを活用すれば、良好な企業イメージ作りに貢献する余地は大きいと見られる。実際、IR優良企業は株価も高い場合が多く、この点でまさに市場に受け入れられる企業になっている。IRの具体的な活動には、ホームページ上での情報開示、各種説明会やミーティングの開催、工場や施設見学会、年次報告書や投資家向け広報誌の刊行などがある。
中国・香港・他国における比較制度
日本のIR制度は企業内の職務分担で運営されるのに対し、中国では上場企業においてIR活動や情報開示、投資家対応、規制当局との連絡を担当する専門職として、制度上取締役会秘書と証券事務代表が位置づけられている。開示資料の作成、当局との調整、投資家対応などを担うことで、中国本土の企業統治・開示ルールの中で重要な役割を果たしている。[3]
一方、香港では上場企業に会社秘書の設置が義務付けられ、取締役会運営の補佐や証券取引所との連絡、法定文書管理などを担当する。この役職は中国本土の取締役会秘書・証券事務代表と職務が類似しているが、通常は1名体制である。