JOVIAL

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JOVIAL(ジョヴィアル)は、ALGOL 58をベースにした高水準プログラミング言語であり、組み込みシステム開発用に特化されている。1960-1970年代を通じて主要なシステムプログラミング言語だった[2]

登場時期 1960年 (66年前) (1960)
開発者 Software Engineering Associates (SEA)[1]
概要 パラダイム, 登場時期 ...
JOVIAL
パラダイム 手続き型命令型構造化
登場時期 1960年 (66年前) (1960)
設計者 System Development Corporation (SDC)
開発者 Software Engineering Associates (SEA)[1]
型付け 静的強い型付け安全構造的
主な処理系 MVS, OpenVMS, macOS, Windows, Linux, SPARC, PowerPC, MIL-STD-1750A, 他のレガシーシステム
方言 J3, J3B-2, J73
影響を受けた言語 ALGOL, SAGE
影響を与えた言語 CMS-2, Coral 66, SYMPL
関連言語 ALGOL
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歴史

JOVIAL (J73) プログラミングマニュアル

JOVIALは軍用機の電子部分のソフトウェアを設計するための「高階[3]:1プログラミング言語として、1959年にジュールズ・シュウォーツ (Jules Schwartz) を長とするSDC (System Development Corporation) のチームによって開発された[4]

「JOVIAL」という名前は「Jules' Own Version of the IAL」の頭字語とされる[5]。ここで「IAL (International Algebraic Language)」とはALGOL 58の本来の名称として提案されていたものである[6]。シュウォーツによれば、最初は「OVIAL」という名前だったが、さまざまな理由から反対を受けたため、「JOVIAL」(英語で「陽気な」という意味を持つ)の名が提案された。この「J」には特に意味がなかったが、シュウォーツが委員長であったために半ば冗談として言語をジュールズ・シュウォーツの名にちなんで名付けることが提案され、この非公式の名前が定着したという[7]

1960年代にはリアルタイムシステムプログラム言語の欠如のため、JOVIALは米軍の「L計画」シリーズ、とくにITT 465L戦略航空指揮統制システム(SACCS計画)の一部を構成した。SACCS計画の約95%はITTによって管理され、そのソフトウェアはSDCによってJOVIALで書かれた。このソフトウェアは2年間をかけて1400人年未満で開発され、これはSAGEにくらべて半分以下の工数だった[8]

ACT社がクロスコンパイラを作った言語のひとつとしてJOVIALが挙げられている

1970年代後半から1980年代はじめにかけて、アメリカ空軍CPUの標準であるMIL-STD-1750Aを採用し、その後のJOVIAL言語はこのCPUのために設計された。ACTTLD Systems、PSS(Proprietary Software Systems)ほかいくつかの商用ベンダーがMIL-STD-1750AなどのCPUに対するJOVIALコンパイラおよび関連するプログラミングツールを提供した[9][10]

JOVIAL言語は1973年にMIL-STD-1589として標準化され、1984年に改訂されてMIL-STD-1589Cになった。現在も古い軍用車両や軍用機のソフトウェアを更新・維持するために使用されている。J3、J3B-2、J73の3つの方言が広く使われる。

現在、アメリカ空軍のJOVIAL管理部門(JPO: JOVIAL Program Office)はもはやJOVIALを管理・配布していない。かつてJPOによって配布されていたソフトウェアは現在もSEA (Software Engineering Associates, Inc.) の商用リソースを通じて入手可能である。WindowsLinuxPowerPC用のMac OS XSPARCVAX、MIL-STD-1750A、PowerPC、TI-9989Z8000モトローラ 680x0IBM System/360System/370System zといった多様なホスト/ターゲット・プロセッサの組み合わせについても同様である。ACTの一部分を買収したDDC-Iも2020年4月現在JOVIALコンパイラとプログラミングツールを販売している[2]

JOVIALによって開発されたソフトウェアの大部分はミッションクリティカルであり、その維持は年々困難になりつつある。2014年12月、イギリス航空交通管制インフラストラクチャーの重要な欠陥に1960年代に書かれたJOVIALのコードに由来するソフトウェアが含まれると報道された。報道によれば、そのソフトウェアを使用しているイギリス航空管制公社(NATS)はソフトウェアの維持のためにIT部門にJOVIALの訓練を施す必要があるため、2016年までは更新される予定がないとされる[11]

影響

JOVIALの影響を受けた言語にはCORALSYMPL、SPL(Space Programming Language)があり、CMS-2にもある程度影響を及ぼしている[12]。1960年代にはJOVIALの対話的サブセットであるTINTというJOSSに似た言語が開発された[7]

特徴

標準ALGOLにないJOVIALの特徴としてはアイテム(今でいう構造体)、アイテムの配列、状態変数(今でいう列挙型)、インラインアセンブリ言語がある[13]

JOVIALはまたテーブルの「詰めこみ (packed)」データを含む。テーブルの詰めこみはアイテムを記憶のワードの中に割りあてることを指し、当時のコンピュータシステムの限られた記憶容量を節約するために重要だった。

JOVIALの「Communication Pool (COMPOOL)」はPL/IC言語などのヘッダファイルのライブラリに似たものである。

使用

組み込みJOVIALソフトウェアを使用した主要なシステムには以下のものがある。

以下の例はJOVIAL (J73) プログラミングマニュアルからの引用である[3]

PROC RETRIEVE(CODE:VALUE);
   BEGIN
   ITEM CODE U;
   ITEM VALUE F;
   VALUE = -99999.;
   FOR I:0 BY 1 WHILE I<1000;
      IF CODE = TABCODE(I);
         BEGIN
         VALUE = TABVALUE(I);
         EXIT;
      END
   END

この例では符号なし整数CODEを引数に取り、浮動小数点数VALUEを出力するRETRIEVEという手続きを定義している。手続きの中で1000の要素を持つTABCODEからCODEに一致する要素を検索し、配列TABVALUEの中の対応する添字をもつ要素の値をVALUEに代入している。一致する要素がない場合、VALUEの値は-99999.0になる。

脚注

外部リンク

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