Mk 41 (ミサイル発射機)
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設計
現在世界でもっとも多く運用されている垂直発射装置である。典型的なVLSとして、弾薬庫が発射機を兼ねているほか、Mk 41固有の特徴として、複数種類のミサイルを同時に並行して収容し、任意のミサイルを迅速に発射できることから、複合的な脅威に対する優れた対応能力を有する。1秒に1発のミサイルを発射することができる。またミサイルあたりのコストはMk.26の半分程度であるほか、省力性にも優れ、タイコンデロガ級では、Mk.26搭載艦では11名必要とされていた科員がMk.41搭載艦では8名に削減されている[1]。
システム構成
Mk 41システムは、下表のように、垂直発射機を中核として、それを制御する発射管制装置(Launch Control Unit, LCU)などによって構成されており、構成機器等に応じて複数のバージョン(ベースラインやmodなど)に分けられる[3]。
| 艦級 | ベースライン | mod | 発射管制装置 | 発射機 | |
|---|---|---|---|---|---|
| タイコンデロガ級 | IIA/III | 0 | Mk 211 mod 0/1 | Mk 158 mod 0 (61セル) | |
| スプルーアンス級 | 1 | Mk 158 mod 0 (61セル) | - | ||
| アーレイ・バーク級 | 2 | Mk 159 mod 0 (29セル) | |||
| IV/V | 7 | Mk 211 mod 3 | Mk 176 mod 0 (64セル) | Mk 177 mod 0 (32セル) | |
| VI/VII | 15 | Mk 235 mod 0 | Mk 176 mod 2 (64セル) | Mk 177 mod 3 (32セル) | |
ミサイルの弾薬庫と発射機を兼ねるケース(ミサイル・セルと呼称)を最小単位としており、これを8セル集めたのが1モジュールとなる。このうち、Mk 158/159発射機については、構成するモジュールのうち1つずつ、ミサイル・セル3つ分のスペースを使ってミサイル再装填用のクレーン(Replenishment handling system equipment)を設置した ストライク・ダウン・モジュールが組み込まれていた。しかし洋上でのミサイル再装填がきわめて困難であることから[1]、Mk 176/177では組み込まれなくなった[3]。
またその後、モジュール単位ではなく、単一のセルでの搭載が可能な機種(Single Cell Launcher:SCL)も開発されており、Mk 25キャニスターによるESSMの試射を成功させている。
ミサイル・セル

ミサイル・セルには、全高が異なる3つの機種があり、大型なものほど、より多くの種類のミサイルを運用することができる。アメリカ海軍がこれまでに運用しているMk 41はいずれもStrike-Lengthモジュールを使用している。
- Strike-Length
- もっとも大型のモジュールで、全高は約7.7メートル(303インチ)、トマホーク巡航ミサイル、スタンダード SM-2/SM-6艦隊防空およびSM-3弾道弾迎撃ミサイル、シースパローおよびESSM個艦防空ミサイル、垂直発射式アスロック対潜ミサイルを運用することができる。
- Tactical-Length
- 中型のモジュールで、全高は約6.8メートル(266インチ)、全高が大きいトマホーク巡航ミサイルや、スタンダードミサイルのなかでも大型であるSM-2ERやSM-3、SM-6は搭載できないが、それ以外のミサイルは運用できる。
- Self-Defense
- 全高約5.3メートル(209インチ)。もっとも小型だが、Tactical Lengthモジュールと同様のミサイルを運用することができる。
また、それぞれのミサイルは、専用のキャニスターを介してミサイル・セルに収容される。Mk 13はスタンダードSM-2MR、Mk 14はトマホーク、Mk 15はVLA用のキャニスターであり、シースパロー/ESSM用のキャニスターとしては、1発のみ収容できるMk 22と、1セルに4発収容できるMk 25がある[1]。また、弾体が大型化したスタンダードSM-2ERやSM-6、BMD用のSM-3を収容するためのMk 21も開発され、配備されている。
- 点検のためハッチを開口したMk 41
- Mk 41より発射されるスタンダード SM-3
- ESSMの装填
- 垂直発射されるタクティカル・トマホーク
運用と搭載艦
Mk 41を最も早く搭載したのはタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦の6番艦「バンカー・ヒル」以降の艦で、上表の通り61セルのMk 158発射機2基を搭載し、Mk 41 VLSのシステム全体の呼称としてはMk 41 Mod 0とされている。続いて、スプルーアンス級駆逐艦の一部艦が前甲板のアスロック8連装発射機Mk 16にかえて61セルのMk 158発射機1基を搭載し、これはMk 41 Mod 1とされた[1]。
またアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦では、設計時よりMk.41の搭載が前提となっていたため、その搭載するイージスシステムおよびトマホークシステムの重要なサブシステムと位置づけられて、セル数について徹底的な検討が行われたことが知られている[4]。この結果、フライトI/IIではMk 41 Mod 2として、前甲板に29セル、後甲板に61セルを搭載した[1]。
一方、カナダのイロクォイ級ミサイル駆逐艦は、1990年代初頭に行われたTRUMP改修によって29セルのMk 41を搭載し、アメリカ国外では初の搭載例となった。これは、スタンダード SM-2MRの運用にのみ用いられている。これに対し、1994年より就役を開始したドイツ海軍のブランデンブルク級フリゲートではシースパロー艦対空ミサイルの運用に用いられている。
逆に1996年より就役を開始した日本のむらさめ型護衛艦においては、16セルで垂直発射式アスロック(VLA)の運用のみが行われており、艦対空ミサイルについては別に搭載した Mk 48 VLS16セルで運用している。たかなみ型護衛艦からは32セルのMk 41にまとめられた。なお、三菱重工はMk 41のライセンス生産を2021年度(令和3年度)補正予算より行っている。
この他にも採用が相次ぎ、現在では11ヶ国の海軍で16クラス、173隻の艦艇に搭載されて運用されている。
搭載艦
| mod | セル数 | 搭載例 |
|---|---|---|
| 0 | 122 (61+61) |
タイコンデロガ級 |
| 1 | 61 | スプルーアンス級 |
| 2 | 90 (29+61) |
アーレイ・バーク級フライトI/II、こんごう型[6] |
| 4 | 16 | ブランデンブルク級 |
| T | 29 | イロクォイ級 |
| 5 | 8 | アンザック級 |
| 7 | 96 (32+64) |
アーレイ・バーク級フライトIIA (DDG-79-90) |
| 8 | 16 | サーリヒレイス級 |
| 9 | むらさめ型 | |
| 10 | 32 | ザクセン級 |
| 11 | 40 | デ・ゼーヴェン・プローヴィンシェン級 |
| 12 | 48 | アルバロ・デ・バサン級 |
| 13 | 32 | 李舜臣級 |
| 15 | 96 (32+64) |
アーレイ・バーク級フライトIIA (DDG-91-) |
| 16 | 8 | アデレード級 |
| 17 | 試験艦「あすか」[7] | |
| 18 | 32 | たかなみ型[8] |
| 20 | 96 (32+64) |
あたご型[8] |
| 22 | 16 | ひゅうが型 |
| 29 | 32 | あきづき型[9] [10] |
