NDRG1

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NDRG1(N-myc downstream regulated 1)は、ヒトではNDRG1遺伝子にコードされるタンパク質である[5][6][7][8]

記号NDRG1, CAP43, CMT4D, DRG-1, DRG1, GC4, HMSNL, NDR1, NMSL, PROXY1, RIT42, RTP, TARG1, TDD5, N-myc downstream regulated 1
染色体8番染色体 (ヒト)[1]
終点133,302,022 bp[1]
概要 識別子, 記号 ...
NDRG1
識別子
記号NDRG1, CAP43, CMT4D, DRG-1, DRG1, GC4, HMSNL, NDR1, NMSL, PROXY1, RIT42, RTP, TARG1, TDD5, N-myc downstream regulated 1
外部IDOMIM: 605262 MGI: 1341799 HomoloGene: 55953 GeneCards: NDRG1
遺伝子の位置 (ヒト)
8番染色体 (ヒト)
染色体8番染色体 (ヒト)[1]
8番染色体 (ヒト)
NDRG1遺伝子の位置
NDRG1遺伝子の位置
バンドデータ無し開始点133,237,175 bp[1]
終点133,302,022 bp[1]
遺伝子の位置 (マウス)
15番染色体 (マウス)
染色体15番染色体 (マウス)[2]
15番染色体 (マウス)
NDRG1遺伝子の位置
NDRG1遺伝子の位置
バンドデータ無し開始点66,801,167 bp[2]
終点66,841,489 bp[2]
RNA発現パターン
さらなる参照発現データ
遺伝子オントロジー
分子機能 microtubule binding
cadherin binding
血漿タンパク結合
gamma-tubulin binding
細胞の構成要素 細胞質
中心体

microtubule cytoskeleton
ミエリン鞘
細胞膜
微小管形成中心
recycling endosome membrane
perinuclear region of cytoplasm
微小管
エキソソーム
細胞骨格
細胞核
細胞質基質
glutamatergic synapse
生物学的プロセス mast cell activation
peripheral nervous system myelin maintenance
DNA damage response, signal transduction by p53 class mediator
response to metal ion
positive regulation of spindle checkpoint
regulation of cell population proliferation
cellular response to hypoxia
negative regulation of cell population proliferation
regulation of apoptotic process
シグナル伝達
postsynapse organization
出典:Amigo / QuickGO
オルソログ
ヒトマウス
Entrez
Ensembl
UniProt
RefSeq
(mRNA)
NM_001135242
NM_001258432
NM_001258433
NM_006096
NM_001374844

NM_001374845
NM_001374846
NM_001374847

NM_008681

RefSeq
(タンパク質)
NP_001128714
NP_001245361
NP_001245362
NP_006087
NP_001361773

NP_001361774
NP_001361775
NP_001361776

NP_032707

場所
(UCSC)
Chr 8: 133.24 – 133.3 MbChr 8: 66.8 – 66.84 Mb
PubMed検索[3][4]
ウィキデータ
閲覧/編集 ヒト閲覧/編集 マウス
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NDRG1は、α/βヒドロラーゼスーパーファミリーに属するNDRG(N-myc downregulated gene)ファミリーのメンバーであり、ストレス応答、ホルモン応答、細胞成長、分化に関与する細胞質タンパク質である。NDRG1遺伝子の変異は、CMT4Dと呼ばれる常染色体劣性型のシャルコー・マリー・トゥース病の原因となることが報告されている[8]

NDRG1はエンドソームに局在し、小胞のリサイクリングに関与するRAB4A英語版のエフェクターであることが報告されている[9]

NDRG1は胚発生やその後の発生過程、細胞成長、分化、脂質生合成、ミエリン形成、免疫、DNA修復細胞接着やその他の機能に関与している[10]。NDRG1は細胞質、ミトコンドリアにそれぞれ47.8%、26.1%、8.7%ずつ局在している。DNA損傷に応答してNDRG1は細胞質から核へ移行し、そこで細胞成長の阻害やDNA修復機構の促進を行っている可能性がある。NDRG1はストレス応答遺伝子もしくは転写因子として作用している可能性が示唆されている[10]

遺伝子

ヒトでは、NDRG1遺伝子は8番染色体英語版の長腕(8q24.22)に位置している。この遺伝子からは、394アミノ酸のタンパク質をコードする約3.0 kbのmRNAが産生される。NDRG1はNDRGファミリーに属する。NDRGファミリーにはNDRG1、NDRG2英語版、NDRG3、NDRG4英語版の4つのメンバーが存在し、互いに53–64%の相同性を示す。NDRG1は他のメンバーとは異なり、C末端領域に3つのタンデムなリピート配列(GTRSRSHTSE)が存在する[11][12]

NDRG1の発現は、低酸素依存的そして非依存的な形での調節を受けている。低酸素条件下では、酸素センサーであるHIF-1αが細胞質から核へ移行し、そこでHIF-1βと結合してHIF-1複合体を形成する。この複合体は転写因子として機能し、低酸素関連遺伝子のプロモーター領域の低酸素応答エレメント(hypoxia response element; HRE)に結合する。こうしたHIF-1標的遺伝子の1つがNDRG1である[13]。また、重金属ニッケルコバルト)も低酸素状態を模倣することでNDRG1をアップレギュレーションする。N-mycc-mycNDRG1に対して反対の作用を及ぼし、その発現を転写レベルで抑制する。この効果はプロモーター活性の低下による、間接的なものである[10]

がんにおける役割

NDRG1は鉄による調節を受ける、成長と転移に対する強力な抑制因子であり、前立腺がん膵臓がん乳がん結腸がんなどいくつかの腫瘍において、がんのプログレッションと負の相関がみられる。NDRG1の顕著な抗腫瘍活性は、細胞の増殖、遊走、浸潤そして血管新生の低下と関係している。NDRG1の分子的機能は、がん細胞の増殖、浸潤、血管新生、遊走を調節する多数のシグナル伝達経路に影響を及ぼす。具体的には、NDRG1は発がん性因子であるRASc-SrcPI3KWNTROCK1英語版/pMLC2NF-κB経路を阻害し、一方でPTENE-カドヘリンSMAD4など重要ながん抑制因子の発現を促進する。またNDRG1は、アドヘレンスジャンクションを形成して細胞接着を促進するE-カドヘリンやβ-カテニンに対する作用を介して、転移開始の重要段階である上皮間葉転換を阻害する[14]

DNA修復と加齢に対する機能

NDRG1の分子レベルでの機能の1つとして、DNA修復タンパク質の1つであるメチルトランスフェラーゼMGMTに結合して安定化を行う[15]。NDRG1の高発現によって、MGMTの安定性と活性は促進される。マウスで寿命伸長を示す3つの系統(Snell、GHKRO、PAPPA-KO)では、NDRG1とMGMTのタンパク質発現が2倍から3倍に増加していることが示されており、これらのマウス系統におけるMGMTを介したDNA修復経路の増大と老化過程の遅れとの関連が強く示唆されている[16]

免疫系における役割

NDRG1はアレルギーアナフィラキシーにも重要な役割を果たしている。マスト細胞では、成熟過程でNDRG1がアップレギュレーションされて迅速な脱顆粒を補助しており、さまざまな刺激に応答したエキソサイトーシスの亢進がもたらされる[17]。また、NDRG1はEGR2英語版によって誘導されるT細胞アネルギー因子であり、共刺激が存在しない場合にアップレギュレーションされ、T細胞受容体CD28シグナルの共刺激による、その後のT細胞の再活性化を阻害する[18]

出典

関連文献

外部リンク

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