NGC 3603-A1
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| NGC 3603-A1 a / b | ||
|---|---|---|
| 星座 | りゅうこつ座 | |
| 見かけの等級 (mv) | 11.18[2] | |
| 変光星型 | 食連星[3] | |
| 位置 元期:J2000.0 | ||
| 赤経 (RA, α) | 11h 15m 07.305s[2] | |
| 赤緯 (Dec, δ) | −61° 15′ 38.43″[2] | |
| 固有運動 (μ) | 赤経: 0.5 ± 1.4 ミリ秒/年[4] 赤緯: -3.1 ± 4.0 ミリ秒/年[4] | |
| 距離 | 25,000 光年[注 1] (7,600 パーセク[2]) | |
| 絶対等級 (MV) | -8.13[2] | |
| 軌道要素と性質 | ||
| 離心率 (e) | 0[5] | |
| 公転周期 (P) | 3.7724 日[3] | |
| 軌道傾斜角 (i) | 71°[3] | |
| 物理的性質 | ||
| 半径 | 29.4 / 25.9 R☉[6] | |
| 質量 | 120 / 92 M☉[6] | |
| スペクトル分類 | WN6h + WN6h[6] | |
| 光度 | 2.45 / 1.51 ×106 L☉[6] | |
| 表面温度 | 42,000 / 40,000 K[6] | |
| 色指数 (B-V) | 1.03[2] | |
| 年齢 | 1.5 ×106 年[6] | |
| 他のカタログでの名称 | ||
| WR 43a, NGC 3603 HSW 1, NGC 3603 MDS 30[7] | ||
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NGC 3603-A1は、りゅうこつ座のHII領域NGC 3603の中の星団に含まれる食連星で、地球からはおよそ25,000光年離れた位置にある[2]。連星の2つの恒星はいずれも晩期型のウォルフ・ライエ星で、既知の恒星の中で最も質量が大きい食連星とみられる[5][注 2]。

NGC 3603の中には、若く大質量の星団があることがわかっており、その中心で一際明るい光源は、ヘンリー・ドレイパーカタログにおいてHD 97950として収録されていたが、ユニオン天文台での観測により、1928年にはHD 97950の位置には6つの恒星があると報告され、それぞれAからFまでの記号が付与された[9]。その後、スペックル観測によって、更に中心の明るいAB星が分解され、まずA1、A2、A3、Bの4つの恒星の存在を確認、続いてもう2つの恒星が発見された[10][11][12]。現在では、宇宙望遠鏡や補償光学を用いることで、直接撮像によって分離できる[2]。
また、分光観測による視線速度の測定から、HD 97950にあるウォルフ・ライエ星が分光連星であることが発見され、更にそのウォルフ・ライエ星はHD 97950のA、B、C星のどれかであることもわかった[13][14]。後に、A1星がウォルフ・ライエ星で、測光観測によって得た光度曲線から分光連星に対応するのもA1星であることが明らかになった[3]。
特徴
NGC 3603-A1の2つの恒星、NGC 3603-A1aとNGC 3603-A1bは、周期3.77日で公転しており、食によっておよそ0.2等級明るさが変化する。2つの恒星は非常に接近しており、両者の距離は星そのものの直径と同程度しかなく、恒星はほぼロッシュ・ローブを満たしているとみられる[3]。
A1a星とA1b星の質量は、軌道要素から計算され、A1a星が太陽の116(±31)倍、A1b星が太陽の89(±16)倍とされた。これは、理論予測ではなく、観測量からケプラー運動を計算して直接導かれた質量としては、最も大きいものである[5]。物理的性質から推定した質量はもう少し大きく、A1a星が太陽の120倍、A1b星が太陽の92倍となる[6]。
NGC 3603-A1系の2つの恒星は、いずれもウォルフ・ライエ星で、そのスペクトル型はWN6hとなっている[6]。WNというスペクトル型は、スペクトルの中で電離窒素の輝線が目立つウォルフ・ライエ星であることを示し、WN6はヘリウムや窒素の輝線の強度が中間的なもの、また、添え字の"h"はスペクトルに水素の輝線がみえていることを表す[15]。この種のウォルフ・ライエ星は、ヘリウム燃焼層がむき出しになっている進化した恒星、というウォルフ・ライエ星の古典的な描像とは異なり、進化がまだ進んでいない高温の恒星が、非常に高い光度ゆえに高密度で高速な恒星風を生じ、それによってみかけ上ウォルフ・ライエ星とそっくりになった天体と予想される[5]。NGC 3603-A1の場合、質量における水素の比率は、まだ60%から70%はあると予想される[6]。
NGC 3603-A1は非常に若く、誕生から150万年程度しか経過していないとみられるが、既に初期質量からかなりの質量を失っている。初期質量は、A1aが太陽の148倍、A1bが太陽の106倍あったと予想されるが、現在はそれが120倍と92倍になっているので、既に太陽の28倍、14倍の質量をそれぞれ失った計算になる[6]。