NGC 3603-A1

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変光星型食連星[3]
赤経 (RA, α) 11h 15m 07.305s[2]
NGC 3603-A1 a / b
ハッブル宇宙望遠鏡によるHD 97950領域の画像。中央の一際明るい3つの恒星のうち右上の一番明るい恒星がA1。出典: NASA, ESA and Wolfgang Brandner (MPIA), Boyke Rochau (MPIA) and Andrea Stolte (University of Cologne)
ハッブル宇宙望遠鏡によるHD 97950領域の画像。中央の一際明るい3つの恒星のうち右上の一番明るい恒星がA1。出典: NASA, ESA and Wolfgang Brandner (MPIA), Boyke Rochau (MPIA) and Andrea Stolte (University of Cologne)[1]
星座 りゅうこつ座
見かけの等級 (mv) 11.18[2]
変光星型 食連星[3]
位置
元期:J2000.0
赤経 (RA, α)  11h 15m 07.305s[2]
赤緯 (Dec, δ) −61° 15 38.43[2]
固有運動 (μ) 赤経: 0.5 ± 1.4 ミリ秒/[4]
赤緯: -3.1 ± 4.0 ミリ秒/年[4]
距離 25,000 光年[注 1]
(7,600 パーセク[2]
絶対等級 (MV) -8.13[2]
軌道要素と性質
離心率 (e) 0[5]
公転周期 (P) 3.7724 日[3]
軌道傾斜角 (i) 71°[3]
物理的性質
半径 29.4 / 25.9 R[6]
質量 120 / 92 M[6]
スペクトル分類 WN6h + WN6h[6]
光度 2.45 / 1.51 ×106 L[6]
表面温度 42,000 / 40,000 K[6]
色指数 (B-V) 1.03[2]
年齢 1.5 ×106[6]
他のカタログでの名称
WR 43a, NGC 3603 HSW 1, NGC 3603 MDS 30[7]
Template (ノート 解説) ■Project

NGC 3603-A1は、りゅうこつ座HII領域NGC 3603の中の星団に含まれる食連星で、地球からはおよそ25,000光年離れた位置にある[2]連星の2つの恒星はいずれも晩期型のウォルフ・ライエ星で、既知の恒星の中で最も質量が大きい食連星とみられる[5][注 2]

若く大質量星団を伴う巨大な星形成領域NGC 3603。出典: NASA, ESA, R. O'Connell (University of Virginia), F. Paresce (National Institute for Astrophysics, Bologna, Italy), E. Young (Universities Space Research Association/Ames Research Center), the WFC3 Science Oversight Committee, and the Hubble Heritage Team (STScI/AURA)[8]

NGC 3603の中には、若く大質量の星団があることがわかっており、その中心で一際明るい光源は、ヘンリー・ドレイパーカタログにおいてHD 97950として収録されていたが、ユニオン天文台での観測により、1928年にはHD 97950の位置には6つの恒星があると報告され、それぞれAからFまでの記号が付与された[9]。その後、スペックル観測によって、更に中心の明るいAB星が分解され、まずA1、A2、A3、Bの4つの恒星の存在を確認、続いてもう2つの恒星が発見された[10][11][12]。現在では、宇宙望遠鏡補償光学を用いることで、直接撮像によって分離できる[2]

また、分光観測による視線速度の測定から、HD 97950にあるウォルフ・ライエ星が分光連星であることが発見され、更にそのウォルフ・ライエ星はHD 97950のA、B、C星のどれかであることもわかった[13][14]。後に、A1星がウォルフ・ライエ星で、測光観測によって得た光度曲線から分光連星に対応するのもA1星であることが明らかになった[3]

特徴

NGC 3603-A1の2つの恒星、NGC 3603-A1aNGC 3603-A1bは、周期3.77日で公転しており、食によっておよそ0.2等級明るさが変化する。2つの恒星は非常に接近しており、両者の距離は星そのものの直径と同程度しかなく、恒星はほぼロッシュ・ローブを満たしているとみられる[3]

A1a星とA1b星の質量は、軌道要素から計算され、A1a星が太陽の116(±31)倍、A1b星が太陽の89(±16)倍とされた。これは、理論予測ではなく、観測量からケプラー運動を計算して直接導かれた質量としては、最も大きいものである[5]。物理的性質から推定した質量はもう少し大きく、A1a星が太陽の120倍、A1b星が太陽の92倍となる[6]

NGC 3603-A1系の2つの恒星は、いずれもウォルフ・ライエ星で、そのスペクトル型はWN6hとなっている[6]。WNというスペクトル型は、スペクトルの中で電離窒素の輝線が目立つウォルフ・ライエ星であることを示し、WN6はヘリウム窒素の輝線の強度が中間的なもの、また、添え字の"h"はスペクトルに水素の輝線がみえていることを表す[15]。この種のウォルフ・ライエ星は、ヘリウム燃焼層がむき出しになっている進化した恒星、というウォルフ・ライエ星の古典的な描像とは異なり、進化がまだ進んでいない高温の恒星が、非常に高い光度ゆえに高密度で高速な恒星風を生じ、それによってみかけ上ウォルフ・ライエ星とそっくりになった天体と予想される[5]。NGC 3603-A1の場合、質量における水素の比率は、まだ60%から70%はあると予想される[6]

NGC 3603-A1は非常に若く、誕生から150万年程度しか経過していないとみられるが、既に初期質量からかなりの質量を失っている。初期質量は、A1aが太陽の148倍、A1bが太陽の106倍あったと予想されるが、現在はそれが120倍と92倍になっているので、既に太陽の28倍、14倍の質量をそれぞれ失った計算になる[6]

脚注

関連項目

外部リンク

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