PHQ-9

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PHQ-9(The nine-item Patient Health Questionnaire)とは1999年 Robert L. Spitzer英語版らによって作成された抑うつの程度を評価するための自己記入式抑うつ評価尺度である。PHQ-9の質問項目は米国精神医学会の診断基準であるDSM-5のうつ病診断基準(大うつ病性障害)の9項目に準拠している。日本語訳は2007年に村松公美子らによって作成された[1]。DSM-5に準拠しており、比較的短時間(5分程度)で行うことができることもあり、現在PHQ-9はうつ病のスクリーニング、治療の評価、疫学調査のために世界中で幅広く用いられている。特に米国ではアメリカ心臓協会等が身体疾患患者のうつ病スクリーニングとして推奨していることもあり、もっとも臨床で利用される抑うつ評価尺度となっている[2]

PHQ-9はDSM-5の大うつ病の診断項目9項目に準拠した抑うつ評価尺度である[3]。項目は、1)抑うつ気分、2)興味や喜びの減退、3)睡眠障害、4)疲労感または気力の減退、5)食欲の減退・増加、6)無価値感、または過剰な罪責感、7)思考力・集中力の低下、8)精神運動の焦燥または制止、9)自殺念慮または自傷の念慮、からなる。被験者は過去2週間にこれらの症状がどの程度あったかを「全くない」「数日」「半分以上」「ほとんど毎日」から選択する。選択肢の得点は順に0点、1点、2点、3点となる。各項目の総スコアは0点から27点まで分布する。

スコアと指針

PHQ-9のスコアが増えるほと抑うつが重くなる。下記の表はスコア、抑うつの重症度、プライマリーケアにおける推奨する対応を示している[4]

PHQ-9 スコア 抑うつの程度 推奨される対応
0-4 軽微 特に必要ない
5-9 軽度 PHQ-9の再検査によるフォローアップ
10-14 中等度 治療計画の必要性, カウンセリングやフォローアップ, あるいは薬物療法
15-19 中等度~重症 薬物療法、カウンセリング
20-27 重度 薬物療法。改善しないならメンタルヘルスの専門家に紹介する

日本語版のPHQ-9を用いた研究ではカットオフ値を10点と設定すると、うつ病に対して感度90.5%、特異度76.6%が報告されている[5]

疫学調査

米国の疫学調査 National Health and Nutrition Examination Surveyによれば一般人口のうち9.5%が10点以上となった[6]。ドイツの疫学調査では一般人口の6.1%が10点以上となった[7]。近年一般人口におけるPHQ-9のスコアの分布は指数分布に近似することが報告された[6]

PHQ-8

PHQ-8はPHQ-9から第9項目(自殺念慮または自傷の念慮)を除いた8項目の抑うつ評価尺度である。PHQ-9には“自殺念慮または自傷の念慮”の項目が含まれるが、PHQ-9を使用した大規模な疫学調査を行なった場合、被験者からの自殺念慮の情報を調査担当者がどう取り扱うべきかという課題が生じる[8]。そこで米国の公的調査Behavioral Risk Factor Surveillance SystemではPHQ-9の第9項目を除いたPHQ-8が使用された[8]。PHQ-8のうつ病のスクリーニングのカットオフ値はPHQ-9と同じ10点であり、PHQ-9と同程度の感度や特異性が得られると報告されている[8]

関連項目

脚注

参考文献

外部リンク

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