SKハイニックス
韓国の世界的テクノロジー企業
From Wikipedia, the free encyclopedia
SKハイニックス(エスケイハイニックス、英:SK Hynix Inc.)は、韓国のテクノロジー企業。研究・デバイス開発・回路設計・ファウンドリ・パッケージングを全て自社で担う、世界屈指の半導体メーカーである。

先端記憶装置分野において、世界最高の研究力と技術力、生産力を持つ企業群「ビッグ3」の一角である[2]。高付加価値メモリを専業とし、規格標準化で主導する。AI向け先端半導体の一つHBM4の開発で先行しており、その要求される高度な技術PIM(演算付きメモリ)と関連して、次世代ロジック半導体の研究にも関わる[3]。
概要
SKハイニックスは韓国内でサムスン電子と競合関係にある半導体メモリ企業である。またDRAM市場ではサムスン電子、マイクロンと並び世界3大メーカーの一つである[4]。主力製品はDRAMとNAND型フラッシュメモリであり、その他の種類の半導体も製造している。2017年時点で収益の9割をDRAMで稼いでいる。
1983年に現代グループの電機部門である現代電子産業として創業した。1997年のアジア通貨危機後には半導体の製造に特化。1999年に韓国政府主導によりLGグループの半導体事業と経営統合を果たすも、2001年に経営破綻し、政府系金融機関からの資金援助を受け債権銀行団の管理下に入った[5]。
その後、経営再建は一段落し、2010年ごろから債権銀行団は保有するハイニックス株の売却先を探していたが、2011年11月に通信大手、SKテレコム傘下に入ることが決まり、2012年3月にSKハイニックスに社名変更した。
NAND型フラッシュメモリ分野の技術力確保のため、1990年代から東芝と技術提携を通じ、該当分野の技術力強化を目指した。東芝に提訴された事例もあるが、両社は和解に合意している(東芝研究データ流出事件)。2017年に東芝メモリ(現:キオクシア)の買収に参画することで、技術提携関係を更に強化する考えを示した[6]。
SKハイニックスは、東芝メモリを米ベインキャピタル主導の日米韓連合が買収した際に約3950億円を出資しており、現在もキオクシアに対して約15%の議決権を間接的に保有している[7][8]。
2010年代後半の半導体不況が続く中、設備投資を盛んに行っており、2018年までに清州市に約20兆ウォンを投じて6万平方メートル規模の工場を新設したほか、2019年4月までに中国・江蘇省の無錫半導体工場に9500億ウォン以上を投じて新工場を稼働させた[9][10]。
2007年にはCMOSイメージセンサ事業に参入。2019年9月、東京都内にCISの開発拠点を設立するなど事業を拡大したが、2025年3月に事業撤退を発表、AIメモリ分野に集中する方針が示された[11][12]。
2020年10月に米インテルのNANDフラッシュメモリ事業を9500億円で買収することを発表した[13]。2021年に第1段階の買収が完了し、IntelのSSD事業は、新たに発足したSK hynixの米国子会社「Solidigm」(ソリダイム)に移管された[14]。2025年3月に取引が完了した[15]。
2020年代になるとAI向けメモリ「HBM(高帯域幅メモリ)」の需要急増を背景に急成長している。特に、NVIDIAなどのAI半導体メーカー向けにHBM3やHBM3Eを大量供給しており、高付加価値製品への集中が利益を押し上げた[4][16]。
2025年9月、HBMの第6世代に当たる「HBM4」の開発を終え、世界初の量産体制を構築したと発表した[17]。
沿革
- 1983年 - 現代電子産業設立
- 1985年 - 米国法人を設立[18]
- 1996年
- 1999年 - LG半導体を吸収合併
- 2001年
- ハイニックス半導体に社名変更
- 現代グループから分離
- 債権金融機関の共同管理開始
- 2005年 - 債権金融機関の共同管理早期終了
- 2012年 - SKハイニックスに社名変更
- 2013年 - 世界初となる第1世代のHBMを量産開始
- 2017年 - 米ベインキャピタル主導の企業コンソーシアムへ出資し、東芝メモリ(現:キオクシア)の買収に参加(3,950億円を出資[8])
- 2020年 - 米インテルのNAND事業買収を発表(規模:約90億ドル)
- 2022年 - HBM3の量産を開始。NVIDIA「H100」に採用される[19]
- 2024年 - HBM3Eの量産を開始。NVIDIA「B200」に採用される[20]
主要拠点
SKハイニックス・ジャパン
相殺関税
2006年1月から2009年4月まで、ハイニックスの韓国国内の工場で前工程を行ったDRAMに対しては、日本国内に輸入する際に27.2%の相殺関税が賦課されていた[23]。これはエルピーダメモリ(当時)およびマイクロンジャパンからの課税申請を受けての措置であった[24]。
同社は2001年から2002年の経営不振時に、韓国政府の指示のもと金融機関から資金的援助を受けていたとされており、これがWTO協定や国内法に規定されている「違法な輸出補助金に相当する」と判断されている。
同様の相殺関税は、欧州連合とアメリカ合衆国が2003年以降それぞれ34.8%、44.29%を課している。なおEUは2008年4月に関税撤廃した。なお世界貿易機関の上級委員会は、2007年12月17日に「日本の相殺関税は違法だ」として是正勧告を出している。
相殺関税の発動以降、ハイニックスは同社の中華人民共和国・アメリカの工場および台湾の製造委託先で、前工程が行われたものを主に日本国内で流通させている。これらのDRAMには相殺関税はかけられていない。またパーソナルコンピュータなどの機器に組み込んだ状態で輸入されたDRAMについても、相殺関税の対象になっていない。
任天堂製品の輸入販売


SKハイニックスの前身である現代電子産業は、1989年から1999年にかけて、任天堂とライセンス契約を結び、現代電子ブランドとして任天堂のゲーム機やソフトを韓国国内で輸入販売したことがある。これは当時の韓国政府が日本製ゲーム機[25]及び、日本製ゲームソフトを含むソフトウェアの輸入制限を行っていたため、任天堂が韓国市場へ進出するにあたり、韓国製品扱いにしてこれらの規制をクリアするためであった。
商品には独自の名前が併記されているが、同時期のセガとサムスン電子との提携とは異なり、独自でライセンス生産はせず、任天堂の日本あるいは中国の工場で生産されたものである。そのためいずれも任天堂が付けた原題と併記されている。
1999年に現代電子産業と任天堂とのライセンス契約を解消し輸入販売から撤退した。その後、韓国内で発売されたゲームボーイカラー・ニンテンドー ゲームキューブ以降の任天堂製ゲーム機・ゲームソフトは任天堂が直接販売を行い、ソフトウェア輸入制限全面解禁(2004年)後の2006年には任天堂が韓国法人を立ち上げている。
- 携帯ゲーム機
- ゲームボーイ→ヒョンデ・ミニ・コンボイ(HYUNDAI MINI COMBOY)
- 据置ゲーム機
- Nintendo Entertainment System(NES、海外版ファミリーコンピュータ)→ヒョンデ・コンボイ(HYUNDAI COMBOY)- 1989年発売。筐体は北米・ヨーロッパ版のNESと同一であり、韓国と同じNTSC方式である北米向けのゲームソフトが使用できると推測される。よって日本版ファミコンとは互換性がない。
- Super Nintendo Entertainment System(SNES、日本名スーパーファミコン)→ヒョンデ・スーパーコンボイ(HYUNDAI SUPER COMBOY)- 1992年発売。筐体形状及び放送方式(NTSC)が同じ日本版スーパーファミコン用ソフトが使用できる。(欧州版はPAL方式、北米版は筐体が異なるため使用できない。)
- NINTENDO 64→ヒョンデ・コンボイ64(HYUNDAI COMBOY64)- 1997年発売。NTSC方式の日本版ゲームソフトが使用できる。NINTENDO64の発売初期の全世界における販売不振と、韓国での発売直後に起きたアジア通貨危機による韓国経済の大不況、そして前述の輸入制限の緩和が重なり、1999年に現代電子産業は任天堂商品の輸入販売から撤退した。
- 互換アダプター
- スーパーゲームボーイ→ヒョンデ・スーパーミニコンボイ(HYUNDAI SUPER MINI COMBOY)