キオクシア
日本の東京都港区にある多国籍の半導体メーカー
From Wikipedia, the free encyclopedia
キオクシア株式会社(英: KIOXIA Corporation)は、東京都港区芝浦に本社を置き、主にNAND型フラッシュメモリやソリッドステートドライブ(SSD)などを製造・販売する日本の半導体メーカー。
- 2017年(平成29年)2月10日
- (初代法人、東芝メモリ株式会社)
- 2017年(平成29年)6月16日
- (現法人、Pangea株式会社)
|
| |
|
本社が入居するmsb Tamachi 田町ステーションタワーS | |
| 種類 | 株式会社 |
|---|---|
| 本社所在地 |
〒108-0023 東京都港区芝浦三丁目1番21号 msb Tamachi 田町ステーションタワーS 北緯35度38分42秒 東経139度44分57秒 |
| 設立 |
|
| 業種 | 電気機器 |
| 法人番号 | 5010001184349 |
| 事業内容 | メモリ及び関連製品の開発・製造・販売事業及びその関連事業[1] |
| 代表者 | 代表取締役社長 太田裕雄 |
| 資本金 | 100億円[1] |
| 従業員数 |
単独:10,156人 連結:15,218人 (2026年3月31日現在)[1] |
| 決算期 | 3月31日 |
| 主要株主 | キオクシアホールディングス株式会社 100%[1] |
| 主要子会社 |
|
| 関係する人物 |
舛岡富士雄 成毛康雄(元社長) |
| 外部リンク | https://www.kioxia.com/ja-jp/top.html |
| 種類 |
株式会社 公開会社 |
|---|---|
| 機関設計 | 監査役会設置会社 |
| 市場情報 | |
| 本社所在地 |
〒108-0023 東京都港区芝浦三丁目1番21号 msb Tamachi 田町ステーションタワーS 北緯35度38分42秒 東経139度44分57秒 |
| 設立 |
2019年(平成31年)3月1日 (東芝メモリホールディングス株式会社) |
| 業種 | 電気機器 |
| 法人番号 | 8010401144206 |
| 事業内容 | グループの経営戦略策定及び経営管理 |
| 代表者 | 代表取締役社長 太田裕雄 |
| 資本金 |
312億8400万円 (2026年3月31日現在)[2] |
| 発行済株式総数 |
|
| 売上高 |
|
| 営業利益 |
|
| 経常利益 |
|
| 純利益 |
|
| 純資産 |
|
| 総資産 |
|
| 従業員数 |
|
| 決算期 | 3月31日 |
| 会計監査人 | PwC Japan有限責任監査法人[2] |
| 主要株主 |
|
| 主要子会社 | キオクシア 100% |
| 外部リンク | https://www.kioxia-holdings.com/ |
| 特記事項:連結経営指標は国際財務報告基準のため、売上高は売上収益、経常利益は税引前利益、純利益は当期利益、純資産は親会社の所有者に帰属する持分、総資産は資産合計。単体経営指標は日本会計基準(J-GAAP)を適用[2]。 | |
本稿では、純粋持株会社のキオクシアホールディングス株式会社(英: Kioxia Holdings Corporation[3]、旧・東芝メモリホールディングス株式会社[4])についても述べる。
概要
2017年に、資金難だった東芝の半導体メモリ事業を分社化して設立され[5]、2018年にアメリカのベインキャピタルを中心とする企業連合への売却によって東芝グループから独立した。東芝は売却時に再出資した[6]。
2019年10月1日付で、東芝メモリ株式会社(とうしばメモリ、英: Toshiba Memory Corporation)から現商号に変更した[7]。社名の「キオクシア」は、日本語の「記憶(Kioku)」と、ギリシャ語で「価値」を意味する「axia(アクシア)」を組み合わせたもので、社内公募で選ばれた[8][注釈 1]。
ミッションとして「「記憶」で世界をおもしろくする」を掲げている[9]。
沿革
NAND型フラッシュメモリは、工学博士である舛岡富士雄らがキオクシアの前身である東芝に勤務していた1980年代に開発したものである。東芝の半導体メモリ事業の主力製品は、このNAND型フラッシュメモリとその応用製品(ソリッドステートドライブなど)であった。半導体メモリ事業は2015年(平成27年)度に、8,456億円の売上で1,100億円の営業利益を計上し[10]、東芝の主力事業のひとつとなっていた。また、スマートフォンの大容量化、データセンターにおけるSSDの普及などを背景に、東芝は2016年(平成28年)3月の段階で半導体メモリ事業を原子力事業と並ぶ「経営の柱」に位置付けていた[11]。
ところが同年12月、東芝グループの原子力企業ウェスチングハウス・エレクトリック・カンパニーが買収した原子力サービス会社CB&I(ストーン&ウェブスター)の資産価値が想定を大きく下回ったため、親会社の東芝は巨額の損失を計上する見通しとなった[12]。その結果、東芝は2016年度末に大幅な債務超過に陥る可能性が高まり、資本対策を迫られた。
東芝は2015年の不正会計問題を受け、同年9月から東京証券取引所の特設注意市場銘柄に指定されており、2016年12月にも指定継続が決定されていた[13]。こうした状況を受け、東芝は半導体メモリ事業の分社化と外部資本の導入を決定し[10]、2017年(平成29年)2月10日に東芝メモリを設立した[5]。同年4月1日には東芝本体の半導体メモリ事業を同社に承継した。
2018年6月、東芝メモリは米国のベインキャピタルを中心とする日米韓連合コンソーシアムに2兆円で売却され、東芝グループから独立した[14]。コンソーシアムには韓国のSKハイニックスも間接的な投資者として参加した[15]。
2019年3月には単独株式移転によって東芝メモリホールディングス(現・キオクシアホールディングス)が設立され、東芝メモリはその傘下に入った[4]。同年10月には持株会社と事業会社の双方が「キオクシア」へ商号を変更した。
2020年にはキオクシアホールディングスの東京証券取引所への上場が計画されたが、米中対立などによる半導体市場の不透明感を背景として、同年9月に上場手続きが延期された[16]。
その後、NAND型フラッシュメモリ市況の低迷などを背景に上場計画は長期化した。2023年には、長年フラッシュメモリの共同生産を行ってきたアメリカのウェスタン・デジタルとの経営統合交渉が進められたが、キオクシアに間接出資するSKハイニックスが統合に反対し、交渉は停滞した[17]。
2024年にはNAND価格の回復に加え、AIサーバー向け需要やスマートフォン・PC向けの在庫補充などを背景に業績が回復し[17]、同年12月18日にキオクシアホールディングスが東京証券取引所プライム市場に上場した[18]。上場後、大株主のベインや東芝は段階的に株式を売却し、投資資金の回収を進めている[19][20]。
半導体メーカー売上高ランキングでは、IHS Markitの2017年の調査で世界第8位[21]、Omdiaの2024年の調査で世界第16位であった[22]。2025年第4四半期には世界第13位に上昇した[23]。
2026年3月期には、生成AIを中心とするデータセンター向け需要の拡大やビット出荷量の増加などを背景に、連結売上収益は2兆3376億2800万円、営業利益は8703億6900万円となった[2]。2026年6月12日にはキオクシアホールディングスの時価総額が44兆円を超え、トヨタ自動車などを抜いて国内上場企業で首位となった[24]。
年譜
- 2017年(平成29年)
- 4月1日、東芝本体の半導体メモリ事業は、吸収分割により東芝メモリが承継した[5]。新会社の発足に伴う行事は特になかった[25]。東芝は3月29日締切りの1次入札に応じた企業の内から売却先を選定し、東芝メモリの株式を売却する予定であった。
- 8月31日、東芝は「産業革新機構、ベインキャピタル、日本政策投資銀行からなるコンソーシアム」「ウェスタン・デジタル社を含む企業連合」「鴻海精密工業を含む企業連合」の3陣営と売却交渉を継続していることを発表した[28]。
- 9月7日、鴻海が東芝に対して行った買収提案において、アメリカのアップル、キングストンテクノロジー、日本のシャープ、ソフトバンクグループの参加が明らかになった[29]。
- 9月28日、東芝は、ベインキャピタルを軸とする企業コンソーシアムが設立する買収目的会社株式会社Pangea(パンゲア)と、東芝メモリの全株式を2兆円で譲渡する契約を締結した。Pangeaは東芝から3,505億円の再出資を受けるとともに、ベインキャピタル、HOYA、SKハイニックス、Apple、キングストンテクノロジー、シーゲイト・テクノロジー、Dell Technologies Capitalからも直接・間接に資金調達を行う[15]。
- 2018年(平成30年)
- 2019年(平成31年・令和元年)
- 2020年(令和2年)
- 2023年(令和5年)
- ウェスタン・デジタルとの経営統合交渉が進められたが、SKハイニックスの反対などにより交渉が停滞した[17]。
- 2024年(令和6年)
- 2026年(令和8年)
主な製品


法人向け
- NAND型フラッシュメモリ
- キオクシアの前身である東芝では、舛岡富士雄らを中心にフラッシュメモリの開発が進められ、1987年にNAND型フラッシュメモリが発明された[36][37]。当時の東芝はDRAM事業(2001年に撤退)に集中しており、フラッシュメモリ事業への投資が拡大したのは1990年代以降となる。
- NAND型フラッシュメモリの生産では、米サンディスクと共同で三重県四日市市の四日市工場への集中投資を進めた[注釈 2][38]。2006年から2008年にかけて世界シェア2位を確保していた[39]。当時はiPod nanoなどのフラッシュメモリ型オーディオプレーヤーやSDメモリーカードなどにフラッシュメモリを提供していた。
- 東芝は2007年にNANDフラッシュメモリを縦方向に積み重ねる3次元フラッシュメモリ技術を発表した[40]。この技術は後に「BiCS FLASH」として製品化された。2015年に48層、2018年に96層(第4世代)、2020年に112層(第5世代)、2022年に162層(第6世代)、2023年には218層(第8世代)のBiCS FLASHを発表・製品化している[36][41]。第8世代以降は、メモリセルアレイとCMOS回路を別々のウエハーに形成して貼り合わせるCBA(CMOS directly Bonded to Array)技術を導入している[42]。2026年には332層の第10世代BiCS FLASHのサンプル出荷と生産を開始した[43]。
- 調査会社TrendForceによると、2026年第1四半期のNAND型フラッシュメモリ売上高ベースの世界市場で、キオクシアは13.9%のシェアを占め、第3位であった[44]。一方、協業するサンディスクを合計すると、生産規模ベースで約3割のシェアを占める[45]。
- XL-FLASH
- BiCS FLASHの技術とSLC技術を用いた低遅延のストレージクラスメモリとして「XL-FLASH」を展開している。DRAMなどのワーキングメモリと一般的なフラッシュメモリの性能差を埋めることを目的とし、第2世代ではMLC動作に対応している[46]。
- SSD(Solid State Drive)
- エンタープライズSSD、データセンターSSD、クライアントSSD
個人向け
他社へのフラッシュメモリ供給に限らず、自社ブランドのUSBフラッシュメモリ「TransMemory」シリーズやSDメモリーカード「EXCERIA」シリーズ、SSD「EXCERIA」シリーズも展開している[47]。
- USBフラッシュメモリ
- 「TransMemory」シリーズ
- SD / microSDメモリーカード
- 「EXCERIA」シリーズ
- SSD
- 「EXCERIA」シリーズ
拠点
キオクシアのNAND型フラッシュメモリ生産は、四日市工場と北上工場を主要拠点とし、サンディスクとの共同投資によって行われている。キオクシアグループとサンディスクグループは、フラッシュパートナーズ有限会社、フラッシュアライアンス有限会社、フラッシュフォワード合同会社の3社を共同で運営しており、双方が同等の意思決定権を持つことから、キオクシアグループではこれらを共同支配事業として会計処理している[2]。
これら3社はキオクシアグループとサンディスクグループからの借入などによって製造設備を調達し、四日市・北上両工場に設置している。キオクシアはこれらの設備を用いてウエハーを生産・加工し、共同支配事業3社を通じて生産物の50%をキオクシアグループ、残る50%をサンディスクグループに供給する仕組みとなっている[2]。
共同事業者のサンディスクは2016年にウェスタン・デジタルによって買収され、同社の傘下となった[48]。2025年2月にウェスタン・デジタルのフラッシュメモリ事業が分離され、サンディスクが再び独立した企業となった[2]。このため、共同生産の相手は資料の年代によって「サンディスク」「ウェスタン・デジタル」などと表記される。
日本政府は、2022年に四日市工場第7製造棟を対象として最大約929億円の助成を認定し[49]、2024年には四日市・北上両工場の次世代3次元フラッシュメモリ製造設備を対象として最大1,500億円の助成を認定した[50]。
四日市工場
四日市工場は、キオクシアとサンディスクが共同で投資を行うNAND型フラッシュメモリの主要生産拠点である[51]。所在地は三重県四日市市山之一色町800番地で[52]、四日市市中心部(近鉄四日市駅)から車で約30分、東名阪自動車道の四日市東ICから車で5分の場所にある[52]。
敷地面積は69万4000平方メートル(駐車場を除く)で、従業員数は6,788人(2026年3月31日現在)である[52]。常駐する協力会社などを含めると約1万人が働いている[51]。キオクシアは同工場を世界最大級のフラッシュメモリ製造拠点としている[51]。
四日市工場は1992年(平成4年)1月に発足し、翌年から本格稼働を開始した[53]。当初の生産品目はDRAMであったが、1999年(平成11年)にNAND型フラッシュメモリの生産を開始する一方、2001年(平成13年)に汎用DRAMの生産を終了した[53]。以降、主力製品はNAND型フラッシュメモリとなった。
1993年(平成5年)に「第1製造棟」が本格稼働してDRAMの生産を始めて以来、工場は拡張を繰り返してきた[53]。1996年(平成8年)には「第2製造棟」の稼働が開始した[53]。インターネット・バブル崩壊後、四日市工場は停滞期を経験したが、主力製品がNAND型フラッシュメモリに移行した後は、需要の拡大に対応してサンディスクとの共同投資を含む生産能力の増強が進められた。
2005年(平成17年)には「第3製造棟」、2007年(平成19年)には「第4製造棟」、2011年(平成23年)には「第5製造棟(第1期)」、2014年(平成26年)には「第5製造棟(第2期)」が稼働開始した[52][53]。2016年(平成28年)には、「第2製造棟」を取り壊して建設していた「新・第2製造棟」が竣工し、量産を開始[54][53]、2018年(平成30年)には「第6製造棟」および「メモリ開発センター」が稼働を開始した[53]。
さらに2022年(令和4年)には「第7製造棟」が完成し、3次元NANDフラッシュメモリの量産を開始した[55]。工場ではAIを活用したスマートファクトリー化も進められており、製造・検査設備から1日あたり約30億件のデータを収集し、解析を通じて生産効率の向上に活用している[51]。
北上工場

2017年(平成29年)9月6日、東芝は四日市工場に続く新たな拠点を岩手県の北上市に定めると発表[56]し、翌年7月に新製造棟建設が起工された[57]。北上市にはシステムLSIを製造する東芝の半導体生産子会社(ジャパンセミコンダクター)があり、その近隣に建設された[58]。
北上市へのNAND型フラッシュメモリ製造工場の建設は、2008年(平成20年)に四日市工場への第5製造棟建設とともにいったん表明されていたが[59]、リーマンショック後の景気低迷などを理由として凍結されていた[60]。
もともと、東芝がNAND型フラッシュメモリの量産を開始した拠点の一つが岩手東芝エレクトロニクス(現・ジャパンセミコンダクター岩手事業所)であり[61]、約四半世紀を経て、NAND型フラッシュメモリの生産拠点が岩手に再び設けられることとなった。
2020年(令和2年)に「第1製造棟(K1棟)」が竣工し、3次元NANDフラッシュメモリの量産を開始した[62]。さらに2025年(令和7年)9月には「第2製造棟(K2棟)」が稼働を開始し、第8世代以降の3次元NANDフラッシュメモリの生産に用いられている[63]。K2棟は免震構造や省エネルギー設備を備え、AIを活用した生産効率化が導入されている[63]。
2026年7月には、キオクシアとサンディスクが共同開発した332層の第10世代3次元フラッシュメモリのK2棟での生産を開始した[64][43]。
関連企業・団体
連結子会社
- キオクシア岩手株式会社
- キオクシアシステムズ株式会社
- キオクシアエンジニアリング株式会社
- キオクシアエトワール株式会社
- キオクシアエネルギー・マネジメント株式会社
- キオクシアアメリカ社(英: Kioxia America, Inc.)
- キオクシアヨーロッパ社(英: Kioxia Europe GmbH)
- キオクシアシンガポール社(英: Kioxia Singapore Pte. Ltd.)
- キオクシア台湾社(繁: 台灣鎧俠股份有限公司)
- キオクシア半導体台湾社(繁: 台灣鎧俠先進半導體股份有限公司)
- キオクシア韓国社(韓: 키오시아코리아 주식회사)
- キオクシア中国社(簡: 铠侠电子(中国)有限公司)
- キオクシアイスラエル社(英: Kioxia Israel Ltd.)
- キオクシアテクノロジーUK社(英: Kioxia Technology UK Ltd.)
- Solid State Storage Technology Corporation(繁: 建興儲存科技股份有限公司)
共同支配事業
- フラッシュパートナーズ有限会社(50.1%)
- フラッシュアライアンス有限会社(50.1%)
- フラッシュフォワード合同会社(50.1%)
キオクシアグループは上記3社について50.1%の議決権を有するが、サンディスクグループと同等の意思決定権を有しているため、国際財務報告基準上の共同支配事業として会計処理している[2]。
持分法適用関連会社
- ディー・ティー・ファインエレクトロニクス株式会社(35%)
提供番組
過去の提供番組
- ワールドビジネスサテライト(テレビ東京系)(2020年7月から2021年3月まで)