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SOX2

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SOX2(SRY-box transcription factor 2)は、未分化胚性幹細胞の自己複製や多能性の維持に必要不可欠な転写因子である。SOX2は胚性幹細胞や神経幹細胞の維持に重要な役割を果たす[5]。

PDBオルソログ検索: RCSB PDBe PDBj
記号SOX2, ANOP3, MCOPS3, SRY-box 2, Sox2, SRY-box transcription factor 2
染色体3番染色体 (ヒト)[1]
概要 PDBに登録されている構造, PDB ...
SOX2
PDBに登録されている構造
PDBオルソログ検索: RCSB PDBe PDBj
PDBのIDコード一覧

1O4X, 2LE4

識別子
記号SOX2, ANOP3, MCOPS3, SRY-box 2, Sox2, SRY-box transcription factor 2
外部IDOMIM: 184429 MGI: 98364 HomoloGene: 68298 GeneCards: SOX2
遺伝子の位置 (ヒト)
3番染色体 (ヒト)
染色体3番染色体 (ヒト)[1]
3番染色体 (ヒト)
SOX2遺伝子の位置
SOX2遺伝子の位置
バンドデータ無し開始点181,711,925 bp[1]
終点181,714,436 bp[1]
遺伝子の位置 (マウス)
3番染色体 (マウス)
染色体3番染色体 (マウス)[2]
3番染色体 (マウス)
SOX2遺伝子の位置
SOX2遺伝子の位置
バンドデータ無し開始点34,704,554 bp[2]
終点34,706,610 bp[2]
RNA発現パターン


さらなる参照発現データ
遺伝子オントロジー
分子機能• DNA結合
• sequence-specific DNA binding
• miRNA binding
• DNA-binding transcription factor activity
• DNA-binding transcription activator activity, RNA polymerase II-specific
• transcription cis-regulatory region binding
• 血漿タンパク結合
• DNA-binding transcription factor activity, RNA polymerase II-specific
細胞の構成要素• 細胞質
• 細胞質基質
• transcription regulator complex
• 核質
• 細胞核
生物学的プロセス• eye development
• 下垂体発生
• regulation of transcription, DNA-templated
• negative regulation of neuron differentiation
• somatic stem cell population maintenance
• endodermal cell fate specification
• positive regulation of cell-cell adhesion
• tissue regeneration
• negative regulation of transcription by RNA polymerase II
• chromatin organization
• transcription by RNA polymerase II
• regulation of cysteine-type endopeptidase activity involved in apoptotic process
• adenohypophysis development
• transcription, DNA-templated
• neuronal stem cell population maintenance
• positive regulation of transcription, DNA-templated
• 多細胞個体の発生
• glial cell fate commitment
• response to wounding
• osteoblast differentiation
• positive regulation of cell differentiation
• negative regulation of epithelial cell proliferation
• 遺伝子発現調節
• inner ear development
• 前脳発生
• response to growth factor
• negative regulation of canonical Wnt signaling pathway
• positive regulation of MAPK cascade
• positive regulation of transcription by RNA polymerase II
• サイトカイン媒介シグナル伝達経路
• 細胞分化
• cell fate commitment
• 中枢神経系発生
• neuron differentiation
出典:Amigo / QuickGO
オルソログ
種ヒトマウス
Entrez
Ensembl
UniProt
RefSeq
(mRNA)

NM_003106

NM_011443

RefSeq
(タンパク質)

NP_003097

NP_035573

場所
(UCSC)
Chr 3: 181.71 – 181.71 MbChr 3: 34.7 – 34.71 Mb
PubMed検索[3][4]
ウィキデータ
閲覧/編集 ヒト閲覧/編集 マウス
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SOX2はSoxファミリーの転写因子であり、これらは哺乳類の発生の多くの段階で重要な役割を果たしていることが示されている。このタンパク質ファミリーには、約80アミノ酸からなるHMGボックスと呼ばれる高度に保存されたDNA結合ドメインが共通して存在する[5]。

再生医学における新たな有望な分野である誘導多能性(人工多能性)に関する研究において、SOX2は多くの期待を集めている[6]。

機能

幹細胞の多能性

マウスの胚性幹細胞で多能性を維持している白血病抑制因子(LIF)シグナルは、JAK-STATシグナル伝達経路の下流のSox2を活性化し、その後Klf4(KLFファミリー(英語版)のメンバー)を活性化する。Oct4、Sox2、Nanog(英語版)はLIF経路の全ての多能性回路タンパク質の転写を正に調節している[7]。

NPM1は細胞増殖に関与する転写調節因子であり、胚性幹細胞においてSox2、Oct4、Nanogとそれぞれ個別に複合体を形成している[8]。これら3つの多能性因子は、多能性を制御するいくつかの遺伝子を調節する複雑な分子ネットワークに寄与している。Sox2はOct4と協働してにDNAの非回文配列に結合し、重要な多能性因子の転写を活性化する[9]。Oct4-Sox2によるエンハンサーを介した調節はSox2が存在しない場合でも行われ、この作用は他のSoxタンパク質の発現によるものである可能性が高い。胚性幹細胞におけるSox2の主な役割はOct4の発現の制御であり、両者が同時に発現した際には両者の発現は永続的に維持される[10]。

マウス胚性幹細胞を用いた実験では、Sox2はOct4、c-Myc、Klf4とともに人工多能性幹細胞の産生に十分であることが発見された[11]。多能性の誘導に必要な転写因子がわずか4つであることが発見されたことで、その後の再生医学研究はわずかな操作で済むようになった。

多能性の喪失は、オス生殖細胞では一部のSox2、Oct4結合部位の高メチル化によって[12]、また胚性幹細胞ではmiR-134によるSox2の転写後抑制によって調節されている[13]。

Sox2レベルの変動は、胚性幹細胞の分化運命に影響を与える。Sox2は中内胚葉への分化を阻害し、神経外胚葉への分化を促進する[14]。外胚葉系統への分化が誘導された際にNpm1/Sox2複合体が維持されることは、Sox2の外胚葉分化における機能的重要性を強調している[8]。またノックアウトモデルの発生に関する研究からは、Sox2の欠乏は神経の奇形、そして最終的には胎生致死をもたらすことが示されており、胚発生におけるSox2の重要な役割はここでも強調されている[15]。

神経幹細胞

神経発生過程において、Sox2は神経管で発生中の細胞や増殖中の中枢神経系前駆細胞で発現している。しかしながら、前駆細胞の分化過程の最後の細胞周期において、有糸分裂終了細胞となる際にSox2はダウンレギュレーションされる[16]。Sox2を発現している細胞は、自己複製と分化した神経細胞種の産生の双方を行うことができ、これは幹細胞の必要条件となる特徴である。Notchシグナルと同様に、推定神経細胞区画においてSox2の発現を制御するシグナルは、神経細胞区画が最終的にどの程度のサイズとなるかを制御している[17]。Sox2+神経幹細胞の増殖は、神経前駆細胞を生み出すだけでなく、Sox2+神経幹細胞集団も作り出す[18]。生物種による脳のサイズの差異は、その種の発生中の神経系におけるSox2の発現を維持する能力と関係している。例えば、ヒトと類人猿の脳のサイズの差異はAsb11遺伝子の変異と関係しており、この遺伝子は発生中の神経系でSox2の上流の活性化因子として機能している[19]。

成体の神経幹細胞を用いた誘導多能性細胞の作製が可能である。この細胞は胚性幹細胞よりも高レベルのSox2とc-Mycを発現しているため、神経幹細胞から人工多能性幹細胞を誘導するためには2つの外因性因子(そのうち1つは必ずOct4)で十分であり、多能性の誘導のための複数の因子の導入と関係した合併症や危険性を低下させることができる[20]。

眼の異常

SOX2遺伝子の変異は、眼の重篤な構造的異常である視神経低形成(英語版)および症候群性小眼球症(英語版)と関係している[21]。

がん

肺の発生において、Sox2は気管支樹の分枝形態形成や気道上皮の分化を制御している。Sox2の過剰発現は神経内分泌細胞、胃腸細胞、基底細胞の増加を引き起こす[22]。正常な条件下では、Sox2は成体の気管上皮で自己複製を行い、そして適切な割合で基底細胞を生み出している。しかしながら、マウスの発生中と成体の肺において、Sox2の過剰発現は広範囲で上皮過形成を、そして最終的には癌腫を引き起こす[23]。

扁平上皮癌では、3q26.3領域を標的とした遺伝子増幅が高頻度で生じている。SOX2遺伝子はこの領域に位置しており、がん遺伝子として特徴づけられる。しかしながら、食道腺癌においてはSOX2の喪失が予後の悪さと強く関係しており、がん抑制遺伝子としても特徴づけられる。そのため、がんにおけるSOX2の機能は多面的なものとするのが妥当である[24]。SOX2は肺扁平上皮癌においてアップレギュレーションされている重要な因子であり、腫瘍のプログレッションに関与する多くの遺伝子を駆動する。マウスでは、Sox2の過剰発現はLkb1の発現喪失と協働して肺扁平上皮癌を促進する[25]。SOX2の過剰発現は細胞遊走と足場非依存性増殖も活性化する[26]。

SOX2の発現は高グリソンスコアの前立腺癌でもみられ、去勢抵抗性前立腺癌の成長を促進する[27]。

SOX2の異所性発現は大腸癌細胞の異常な分化と関係している可能性がある[28]。

SOX2は乳癌のタモキシフェン抵抗性の獲得に関係していることが示されている[29]。

膠芽腫細胞では、SOX2が幹細胞性を誘導し維持するために必要な転写因子であることが確立されている[30][31]。

甲状腺ホルモンによる調節

Sox2プロモーターの上流領域には3つの甲状腺ホルモン応答エレメント(thyroid hormone response element、TRE)が存在する。甲状腺モルモン(T3)がこのエンハンサー領域を介してSox2の発現を制御していることが示唆されている。増殖中で遊走中の神経幹細胞ではTRα1(英語版)(甲状腺ホルモン受容体)の発現が増加している。甲状腺ホルモンシグナルによって媒介されるSox2の転写抑制は神経幹細胞の分化の決定と脳室下帯(英語版)からの遊走を可能にする。甲状腺ホルモンの欠乏、特に妊娠初期の欠乏は中枢神経系の発生の異常をもたらす[32]。胎児発生時の甲状腺機能低下によって、身体発育不全と精神遅滞で特徴づけられる先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)など、さまざまな神経系の欠陥が生じることもこの結論を支持している[32]。甲状腺機能低下症はさまざまな原因によって引き起こされるが、レボチロキシンなどのホルモン療法による治療が行われるのが一般的である[33]。

相互作用

SOX2はPAX6(英語版)[34]、NPM1[7]、Oct4[9]と相互作用することが示されている。SOX2はRex1(英語版)、Oct3/4と協働的に調節を行うことが示されている[35]。

出典

関連文献

外部リンク

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