Surrealism Beyond Borders
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Surrealism Beyond Borders(シュルレアリスム・ビヨンド・ボーダーズ)は、2021年から2022年にかけてメトロポリタン美術館とテート・モダンで開催された、シュルレアリスムに関する国際巡回展である。[1][2] ニューヨークのメトロポリタン美術館では2021年10月11日から2022年1月30日まで、ロンドンのテート・モダンでは2022年2月24日から8月29日まで開催された。[1][2] 1920年代から1970年代後半までの作品を通して、シュルレアリスムを西ヨーロッパ中心の単線的な運動史としてではなく、それぞれの地域の歴史的・政治的条件のもとで展開した多中心的な実践として捉え直した展覧会である。[1][3][4] 展覧会にあわせて、同名の図録も刊行された。[3][5]
本展は、シュルレアリスムの歴史をパリ中心の枠組みだけでなく、地理的・国民的な境界や単線的な年代区分を越えて捉え直すことを目的とした。[4][6] メトロポリタン美術館の展覧会解説では、東欧からカリブ海、アジアから北アフリカ、オーストラリアからラテンアメリカにいたる広域的なネットワークが強調されている。[1] 図録でも、シュルレアリスムは単一の正統や固定した様式としてではなく、それぞれの地域の芸術的・文化的・社会的・政治的条件のなかで変容した動的な運動として位置づけられている。[4] また、近年の専門研究やポストコロニアル研究を踏まえ、シュルレアリスムの歴史を複数の場所と条件が交差するものとして再構成することが、本展の基本的な視点となっている。[7]
企画
構成
日本との関わり
図録では、日本におけるシュルレアリスムの展開も、展覧会全体の重要な構成要素の一つとして扱われている。[5][9] とくに大阪と名古屋の写真クラブは、戦前日本におけるシュルレアリスム写真の地域的拠点として位置づけられている。[9] 名古屋では、写真と詩、翻訳、小規模出版が密接に結びついていたことが示されており、1937年末に結成されたナゴヤ・アバンガルド倶楽部には、画家・詩人・写真家が参加し、山本悍右もその一人として挙げられている。[10] 山本は1938年に『夜の噴水』を創刊し、名古屋における写真と文学の前衛的な往来を担った。[10] 1939年には『夜の噴水』が発禁となり、ナゴヤ・アバンガルド倶楽部も解体されたが、その写真部門は同年にナゴヤ・フォトアバンガルドとして再編され、1940年には当局の監視を和らげるため名古屋写真文化協会へ改称したのち、1941年に解散した。[10] このような日本の事例は、写真クラブ、雑誌、翻訳、出版、戦時下の統制が交差する具体例として、本展の全体構成のなかに位置づけられている。[9][10]