VAIO

日本のPCおよび家電メーカー From Wikipedia, the free encyclopedia

VAIO株式会社(バイオ、: VAIO Corporation)は、長野県安曇野市に本社を置き、主にパソコンの製造、販売を手がける電機メーカー[2][4]ノジマ子会社である。

概要 種類, 本社所在地 ...
VAIO株式会社
VAIO Corporation
本社
本社
種類 株式会社
本社所在地 日本の旗 日本
399-8282
長野県安曇野市豊科5432
設立 2014年平成26年)7月1日
業種 電気機器
法人番号 4010001208356 ウィキデータを編集
事業内容 PC及びPC関連製品の企画、設計、開発、製造及び販売
代表者 山野正樹(代表取締役執行役員社長)
資本金 15億5200万円
売上高
  • 495億8,000万円
(2025年3月期)[1]
営業利益
  • 20億2,100万円
(2025年3月期)[1]
経常利益
  • 18億8,300万円
(2025年3月期)[1]
純利益
  • 14億9,100万円
(2025年3月期)[1]
総資産
  • 391億600万円
(2025年3月期)[1]
従業員数 約370名(2025年4月1日現在)[2]
主要株主
主要子会社 VFR株式会社[3]
関係する人物
  • 関取高行(初代社長)
  • 大田義実(2代社長、黒字化を達成)
  • 吉田秀俊(3代社長)
  • 山本知弘(4代社長)
  • 山野正樹(5代社長)
  • 平井一夫(元ソニーCEO)
外部リンク www.vaio.com ウィキデータを編集
テンプレートを表示
閉じる

概要

由来は「Video Audio Integrated Operation」の頭字語とされ、AV機能を重視している[5]。2008年7月には「Visual Audio Intelligent Organizer」とバクロニムされた[6]。また「VAIO」のネーミングおよびロゴデザイン後藤禎祐によるものである[7]

なお、ロゴの意匠のうち「VA」は正弦波アナログを、「IO」は10デジタルを意味しており[5]、「アナログとデジタルの融合」というスローガンを掲げている[5]。さらに、ノートパソコンの起動時に再生されるサウンドは、プッシュホンの文字対応(w:Telephone keypad#Letter mapping)で「V」「A」「I」「O」を押下したときのDTMF音をモチーフとしている[5]

2014年平成26年)7月1日に、ソニーが「VAIO」ブランドで展開していたパソコン事業を日本産業パートナーズ(JIP)に譲渡したことに伴い発足[8][9]。本社はVAIOの生産拠点である旧・ソニーイーエムシーエス長野テクノロジーサイトに置かれた[8][9]

2014年設立当初、販売は、引き続きソニーが携わる形でソニーマーケティングが行っており、VAIO OWNER MADEモデルおよび法人モデルはソニーストア(ソニー時代はソニーショップでも取扱っていた)で販売されていたが、2022年5月、ソニーストアでの法人モデルの取り扱いは終了し、個人向けのみとなった。2015年3月6日からは、購入後すぐに持ち帰れる「個人向け標準仕様モデル」が一部機種に設定され、全国の大型家電量販店で販売が開始された[10][11]。VAIO株式会社は2015年12月に個人向け直営オンラインストアであるVAIOストア、2016年12月に法人向け直営オンラインストアである、VAIOストアビジネスでの販売を開始した[12][13]。2023年1月現在、法人向けの販売は、VAIO株式会社が直接エンドユーザもしくは大手ディストリビュータ、販売店を通じて販売[14]

当社の生産分には「VAIO」ロゴの入った青紫色のメッセージカードが封入される。このカードに押されている「安曇野FINISH」(後述)のスタンプは全て手押し[15]

2017年以降は、企業向け(BtoB)パソコンとEMSが事業の柱となった。社員の多くが元ソニーの技術者という点や、PCの技術者が手が空いた時はすぐEMSや新規事業の立ち上げに回るなどといった意思決定の速さ、および技術者が営業に回っていることから「営業が技術を解る」ことを売りとしている[16]

2021年、山野正樹が代表に就任以後はEMS事業を終了。BtoBパソコンが事業の柱となり、全体の約4分の3が法人ビジネスとなっている[17][4]

2025年1月、家電量販店を展開する株式会社ノジマが、VAIO株式会社およびVAIO株式を保有するVJホールディングス3株式会社の発行済株式数の約93.2%の株式を取得し、ノジマの子会社となった。VAIO株式会社は「VAIOの独立性は尊重され、社名、代表取締役・経営執行陣、事業運営方針、お客様との関係およびブランド商標に変更はない」と説明した[18][19][20][21]

歴史

第一世代 VAIO

VAIO 505GX
初代VAIO C1

日本でのVAIOの一号機は、1997年7月に発売されたタワー型のデスクトップPC「バイオマイクロタワーPCV-T700MR」である。なお、この機種は1996年に米国で先行発売されている。単体でも高価格なデバイスだったビデオキャプチャ(テレビチューナー付き)MPEG-1エンコーダ/デコーダとCD-Rドライブを搭載し、ビデオ入力端子によるアナログキャプチャとビデオCDの作成が可能である。当時のPCでは最高レベルのスペックを搭載しており、販売価格は40万円前後である。

1997年11月に発売された初代VAIO NOTE 505(PCG-505)は、筐体を銀色と薄紫色の二色で塗り分けた、薄型のB5サイズモバイルノートである。ただし、VAIO NOTE 505は最初の薄型ノートではなく、1995年に発売された、DEC(現:ヒューレット・パッカード)のDigital HiNote Ultraの方が先行している[22]

なお、ノートパソコンについて、ソニーは「バイオノート(VAIONOTE)」と「バイオ(VAIO)」とでは区別して称していた。バイオノートとする場合は通常のノートパソコンとして使用することを想定し、バイオとする場合は「カタチにとらわれない使い方を」としていた。

デスクトップ製品ではAV機器としての機能を追求し、i.LINK端子の搭載によるDVビデオカメラの動画編集や、1999年にマイクロタワー系統の「バイオR」で本格的なテレビチューナキャプチャーボードと操作ソフトのGiga Pocketを搭載し、いち早くビデオパソコンとして売り出した。一方、高価格の要因であるビデオキャプチャやスペックを落としたエントリーモデルの「VAIO J」や、液晶ディスプレイを用いて省スペース化を図った「VAIO L」を発売している。

日本発売5周年となる2002年6月には、ノートPCのパーツを用いた薄型の液晶・本体・キーボード一体型のデスクトップPC「VAIO W英語版」を発売し、持ち運びできるデスクトップPCを提案した。

製品型番はデスクトップ製品がPCV-、ノートブック製品がPCG-である。

第二世代 VAIO

2004年5月の夏モデル発表時、ソニーはVAIOというブランドの第一段階は終えたとして、それまでの「まず目的があって、それをVAIOを用いて達成する」という位置づけから「様々な目的のためにVAIO自身が変化していく、VAIOする」というコンセプトへ変えた。これが、第二世代「Do VAIO」である。

第二世代の製品の特徴としてはまずイメージカラーの変更が挙げられる。バイオのイメージとしてはバイオレットシルバーが基調だったのに対し、この製品群のテーマカラーは黒である。それと同時に、今まで分散して搭載されていたテレビ視聴やDVD再生などのソフトウェアは、その各機能をまとめたアプリケーションとなり、Do VAIOとして搭載された。モデルのシリーズ名としてそれまでの「バイオXX」から「type XX」に変更され、製品型番はデスクトップ製品がVGC-、ノートブック製品がVGN-[23]へと一新されている。

前世代末期の2004年春モデル(1月発売)とはラインナップに大きな変化が見受けられた。デスクトップマシンでは、本体液晶一体型のアナログテレビチューナー搭載のテレビパソコンとして使えるtype V、バイオWの実質的な後継機種のtype M、ハイスペックなタワー型のデスクトップPCのtype R、デジタルチューナ内蔵によるテレビ番組の長時間連続録画機能に重点を置き、ハイビジョンテレビとの接続にも対応としたtype Xなどが順次発売。ノートブックマシンでは、バイオノート505 EXTREMEの後継モデルとして、液晶天板に東レ製のカーボンを用いるなどして同機種よりもさらに軽量化(約780g)を実現したtype 505 EXTREMEシリーズ(後にアップルが着目しMacBook Airへ繋がった可能性を指摘する声もある[24][25])や、type Rをノートマシン化させたようにも見える高スペックなB4サイズのtype A、バイオTRを継承したB5ワイド液晶のtype Tや、A4ノートPCのエントリーモデルとされたtype E及びtype Kなどが発売された。また、それまではホームユーザーを主な利用層としていたVAIOを、法人分野の業務用途に向けてカスタマイズされたモデルの展開が開始された。

2005年には、当時のデルBTO方式で勢力を伸ばしていたのと同等に、ソニースタイルを利用する直販あるいは一部の家電量販店に置いたリアルサイト双方からCTOによる受注生産で販売を行う「VAIOオーナーメイド」の取り扱いを日本の大手メーカーとして初めて開始した。

2006年にはIntel Coreプロセッサーを搭載した新系統モデルが発表され、2つのGPUを用途に応じて切り替え可能なハイブリッドグラフィックス機能とExpressCardスロットをVAIOで初めて搭載したパワーユーザー向けのtype Sと、マグネシウム合金を用いて軽量化したtype SZ、ワンセグチューナーを内蔵し本体HDDに録画も可能なtype Tなどが発売された。これらはオーナーメイドモデルに限って液晶天板をtype505 EXTREMEよりも材質が進化したプレミアムカーボンによるものが選択できる。HDV方式で撮影・録画された動画編集にも耐えうるハイスペックを誇るセパレート(本体・ディスプレイ分離)型のデスクトップマシンtype R masterは、ディスプレイ同梱版で実売価格40万円程度と、前代のマイクロタワーやRX並の高価格モデルとして売り出された。

同年の夏・秋冬モデルはIntel Core 2プロセッサーが登場し、2007年春モデルはWindows Vistaへの更新に伴いラインナップが短サイクルで一新されたが、type Tと同等の性能を文庫本大サイズで実現するとともに、指紋認証Bluetooth無線LANを搭載し、SSDドライブでのゼロスピンドル化にも対応した(オーナーメイドの場合)type Uが注目を浴びた。またLet's noteに対抗した軽量で丈夫なビジネスモバイルマシンとしてtype Gが発売されている。

第二世代VAIOのCPUはほぼインテル製で、AMD製は2004年発売機種で極稀にしか存在しない。

第三世代 VAIO

VAIO type FW(2009年10月発売)
VAIO type P(2009年10月発売)

2007年5月16日の決算発表会で、PC用ディスプレイと標準型デスクトップの終息が発表された。今後は付加価値があり差別化が図れるtype R Masterやtype X Living、もしくはTV side PC TP1(以上生産終了済)、フルハイビジョン映像の編集や高解像度画像のフォトレタッチに耐えうるハイスペックなCPU(Intel Core 2)・GPUに大型ワイド液晶を搭載したノートタイプのtype Aとtype F、かつてのtype VやバイオWの本体液晶一体型のテレパソを継承しつつも「ボードPC」として一定の可搬性を持たせたtype LなどのAV志向の強い製品に注力していった。実際に、第二世代VAIOでの中心コンセプトとされた「Do VAIO」はなくなるなど、第二世代VAIOとは違った展開を見せている。

2007年5月17日には、VAIO国内販売10周年記念としてtype Tの新型で、VGN-TXの後継となるVGN-TZ系統の製品が発表。2008年秋モデルではそれまでメインストリーム的なモバイルノートだったtype SZが終息し、北米市場で先行発表されていたtype Zが発売された。

2008年に廉価なネットブックで海外メーカーが隆起すると、価格崩壊を懸念したため同分野の機種発売には消極的であると報じられていた時期もあったが、2009年1月に一般的なネットブックより小型かつ高解像度でIntel Atomプロセッサーを用いた「type P」を発表。それまでのtype Uシリーズよりも大幅に廉価な10万円以下の実勢価格で売り出された。同シリーズは『ポケットスタイルPC』と提唱し、ジーパンの尻ポケットに本体を差し込んで歩く広告が制作されている。さらに、他社のネットブックと同程度のスペックながらVAIOソフトウェアを搭載したエントリーユーザー向けの「VAIOネットブック『Wシリーズ』」が8月に発売。10月のWindows 7の発売時期には「type 505 EXTRIME」や「type P」を凌ぐ薄さと長時間稼働を10万円前後の実勢価格で実現した「VAIO Xシリーズ」が発売された。これらモデルより、シリーズ名称が「type XX」から「XXシリーズ」となる。また、一部のシリーズから品番が新しくなり、ボードPC・ノートPCを問わずすべて"VPC"から始まり、ハイフンがなくなった。

2010年1月発売の春モデルより、シリーズ名が「XXシリーズ」となる。新系統のモデルとして、NシリーズとFシリーズの中間レベルのB4ワイドノート「Eシリーズ」と、Sシリーズとほぼ同等の外観ながら光学ドライブを省いて(1スピンドル)省電力化を徹底した「Yシリーズ」、先代のtype Zのスペックをより昇華した「Zシリーズ」が注目されている。

2010年7月発売の夏モデルでは「Eシリーズ」のEE系列にAMD Athlon II デュアルコアプロセッサを搭載。VAIOがAMD社製のCPUを搭載するのは第3世代では初、歴代世代でも数年ぶりの採用となった。

2012年6月発売の夏モデルより品番が一新され、「Jシリーズ」を除く全モデルで"SV"から始まるようになった。また、VAIO初のUltrabookである「Tシリーズ」が新設された。「Tシリーズ」自体は2010年春の販売終了以来、約2年ぶりに復活した。

事業の売却

「VAIO」は、インターネット黎明期である1996年の発売から17年以上の歴史を刻んできた国産パソコンのブランドであったが、2005年にはソニーのエレクトロニクス部門においてAIBOCLIEなどに続き収益改善が見込まれない製品群とされていた。

  • 2014年2月1日 - 日本経済新聞朝刊1面とNHKニュースで「レノボグループと合弁会社を設立し、パーソナルコンピュータ(VAIO)の海外向け事業を移管し、国内事業についても民族系企業再生ファンドの日本産業パートナーズ (JIP)から出資を受ける交渉に入った」と報道された。報道を受け、ソニーは同日、交渉は否定するも、事業の再編については検討していると一部容認するコメントを発表した。
  • 2014年2月6日 - ソニーは全世界でのパーソナルコンピュータ事業を終息し、生産や企画に携わる拠点(ソニーEMCS長野テック)・従業員を含めた同事業全てをJIPが設立する特別目的会社に譲渡し、2014年夏モデル以降はVAIOブランドを維持した上で新会社が担うことを発表。ソニーは新会社への出資を僅か5%に留め、同事業から実質的に撤退することになった。

ソニーが発売するVAIOは同年2月上旬までに順次発売された2014年春モデルが最終製品となり、ソニーストアでの「VAIOオーナーメイド(CTO方式)モデル」の発売は2014年4月20日に受注終了。カスタマイズ(完成)済みの「VAIOオーナーメイド速配仕様モデル」と家電量販店などで市販される「店頭販売モデル」は在庫が無くなり次第販売終了となる予定である。ソニー発売分のアフターサービスに関してはソニーマーケティングが担当する。

VAIOの設立

  • 2014年5月2日 - ソニーがパーソナルコンピュータ事業を承継する新会社について詳細を発表。同年7月1日付けで同事業を譲渡し、VAIO株式会社[26]に移管することを公表。
  • 2014年7月1日 - 当社に正式に移管。
    • 当面、日本国内向けの製品開発を進める計画で、Windowsを搭載したノートパソコンに製品を絞る。
    • 上位モデルは長野県安曇野市にある本社工場での生産を継続。低価格のエントリーモデルはEMS方式で生産するが日本の本社工場での検品を通す「安曇野FINISH(あづみのフィニッシュ)」によって品質を確保する。
    • 設立当初、販売戦略は、ソニーの子会社であるソニーマーケティングが当社の販売総代理店を請け負い、ソニー直営店と直販サイト「ソニーストア」を販売の中心とする方針に転換し、家電量販店での販売は一部の機種とオーナーメイド受付のみとする[27]
    • 2024年1月現在の販路:[28][29][30]

新規事業への参入

  • 2020年4月9日 - ドローンによる社会インフラの革新を推進・加速する機体開発、ソリューション提供する子会社、VFR株式会社を2020年3月に設立し、4月9日より営業を開始すると発表[31]
  • 山野正樹が社長就任以後、EMS事業によるロボット、VFRを通じたドローンなどの事業はいったん中止し、本業であるPCに力を注ぐ[4]

特徴

ソニーは1980年代に展開していた家庭向けパソコン「HiTBiT」を撤退させていた(それ以前にはソニーはワークステーション「NEWS」を展開していた)ため、VAIOは二度目の家庭用パソコン事業のブランドとなる。そのため、PC市場への再参入にあたり当時のソニー社長である出井伸之は「普通のパソコンではソニーが作る意味がない」と考えていた[32]。そのため、VAIOシリーズでは以下のように他社製品との差別化が図られてきた。

AVエクスペリエンスの重視

ソニーは元々、放送分野などの業務用機器に強いメーカーであり、ブランド名「VAIO」の意味の通りAV機能を重視した製品を目指した[33]。そのため、初代VAIOとしてAV編集に必要なスペックを持ったデスクトップ機「PCV-T700MR」を投入している。ただし、自作パソコンと他社製AV関係機器の組み合わせに対して「圧倒的に優れていた」わけではなく、当初は後段のモバイルパソコンとしての特徴の方が目立っていたとの声もある[33]

その後、1999年に誕生した「VAIO R」シリーズは「テレビ録画パソコン」の先駆けと言われる[33]。事務処理向けの「道具」としての側面が強かったパソコンに新たな道を開いたという意味で、VAIOはPC市場に新たな流れをもたらしたとされる[32]

モバイルとデザイン

VAIOは目立つ位置に大きくロゴがあしらわれている(VAIO VPCZ119FJ/S)

1997年に登場したノートPC「VAIO NOTE 505(PCG-505)」以降、VAIOといえば軽量・薄型のモバイルノートパソコンというイメージが定着した[33][34]。また、ただ単に軽くて薄いというだけでなく、マグネシウム合金を用いたバイオレットカラーのデザインは、圧倒的な存在感も生み出した[33][34]。当時のPCの筐体は白もしくは黒・グレー系の色で占められていたが、VAIOでは意図的にバイオレット(紫色)を用いた。理由には、「バイオ」という愛称の語感を"violet(=菫色)"と関連付けて名前と製品の特徴を覚えてもらうことと、基本機能では差別化が困難だったPC市場にあって、売り場で目立つようにすることが狙いだったともいわれる。この特徴的なデザインは、パソコン業界でVAIOというブランドが確立される足がかりとなった[34]

また、VAIOが「デザインでの差別化」で成功したことは他社製品にも影響を与え、それまでは「傷が目立つ」「傷がつきにくい強度の確保が必要となりコストが高くなる」といった理由で地味な色使いが多かったノートパソコンのデザイントレンドに変化をもたらし、いわゆる「銀パソ[35]」が広まるきっかけとなった[34]。その後のバイオノートC1(1998年)やUシリーズ・type U(2002年-2008年)、type P(2009年)はその小型さが、バイオC1・バイオノートGT・NVシリーズ(2000年-2002年)は、今まで無かったPCの利用法をそれぞれ実験的に提案するエポックメイキングとなった。デスクトップモデルでは2000年から展開された液晶モニタと本体一体型のLシリーズ(バイオLX→type L)・Jシリーズや、MDドライブを内蔵したバイオMX、円柱型のテレビサイドPC TP1など独創的なデザインのモデルで他社製品と差別化していた。

その他

フラッシュメモリーメモリーカードスロットとして、1999年から殆どの機種で自社規格メモリースティックのスロットを内蔵してきた。2005年に登場した「VAIO type T」でメモリースティック・SDメモリーカード兼用リーダーを内蔵し、2013年に登場した「VAIO Fit」よりメモリースティック非対応となった。

富士通レノボ・NECNECパーソナルコンピュータ・旧IBM)・コンパック(現ヒューレット・パッカード)のようにOA業務用途のビジネス向けデスクトップPCでシェアを握るメーカーとは対照的に、ソニーではNEWSの終息以降、ベーシックな性能のみが求められコスト競争も厳しいビジネス向けパソコンには消極的だった。しかしパナソニックLet's noteなどビジネスユースのノートパソコンがシェアを伸ばしたこともあり、2004年10月にVAIOの特徴であるエンターテインメント系ソフトウェアを排除し、本体カラーをVAIO初のブラックとした14.1インチ液晶ノートのtype B(後のBシリーズ)を発売。それ以外のVAIOも法人向けモデルの販売をソニースタイルやソニーショップで開始した。2007年にはボディの耐久性を重視したB5サイズノートのtype G(後のGシリーズ)を発売し、以後ビジネスユースモデルとして展開されたが2010年春モデルで終息した。

2005年にVAIO事業部門の再構築に伴い、オーナーメイドモデルと市販品のうちハイエンドシリーズ機種の製造およびVAIO製品群の開発拠点は長野県安曇野市にあるソニーイーエムシーエス長野(安曇野)テックに置かれるようになり、市販モデルのハイエンドではない機種は、台湾鴻海精密工業の中国にある工場でEMS製造されるようになる。

初期のモデルではシステムが不安定であるとの評判もあった[33]。これは、PC事業に再参入したソニー側の開発ノウハウ不足により、OSWindows)のシステムリソース不足を原因にしている。Windows XPからリソース管理が改善されたこともあり、現在では問題は起きにくくなった。

当初はMicrosoft Officeがミドルレンジ以外のモデルではプリインストールされない傾向があったが、Windows XP以降に発売された店頭販売モデルでは、Microsoft Officeのプリインストールモデルが一部の廉価機種を除いて定着化した。

同程度のスペックを備えた他社製PCよりも高価格であってもデザイン性から好んで用いるユーザーもいる。

ラインアップ

現行並びに過去に発売されたシリーズについては、VAIOの機種一覧を参照のこと。

主要商品

VAIO Fit 15E。これまでソニーのロゴが記載されていた画面下部にVAIOのロゴが入っている

商品ブランド

EMS(製造受託サービス)事業

沿革

前史

  • 1961年10月 - 東洋通信工業株式会社豊科工場として操業開始[36]
  • 1974年 - ソニー傘下入り。長野東洋通信工業株式会社に改称。ソニーオーディオ機器を主力に生産。[37]
  • 1983年以降 - MSXSMC-777AXPCMyloSony Tablet(初期)・NEWSAIBO等を生産[37]
  • 1989年 - ソニーデジタルプロダクツ株式会社に改称[37]
  • 1997年 - VAIO生産開始(ノートPCのみ担当。デスクトップPCは木更津事業所が担当)[37]
  • 2001年 - ソニーイーエムシーエス株式会社長野テックに改称[36]
  • 2005年 - ソニーイーエムシーエス木更津テックからデスクトップPC生産移管[37]
  • 2010年 - VAIO事業本部を当地に移管。VAIOの設計・開発・生産機能の一本化[37]

社業

  • 2014年
  • 2015年
    • 3月12日 - 日本通信と共同で、Androidを搭載したスマートフォン「VAIO Phone」を発表。
    • 8月19日 - 米国とブラジルで販売パートナー契約を結び海外進出することを発表。
  • 2016年
    • 2月4日 - Windows 10 Mobileを搭載したスマートフォン「VAIO Phone Biz」を発表。
    • 7月26日 - アルゼンチン、チリ、ウルグアイで販売を開始することを発表。
  • 2017年
    • 8月1日 - 中国で販売を開始することを発表。
  • 2018年
    • 7月26日 - 香港、マカオ、マレーシア、シンガポール、台湾で販売を開始することを発表。
  • 2019年
    • 4月2日 - 欧州6か国(ドイツ、オーストリア、スイス、英国、デンマーク、スウェーデン)で販売を開始することを発表[40]
    • 10月8日 - 中東4か国(アラブ首長国連邦、サウジアラビア王国、カタール、バーレーン)で販売を開始することを発表[41]

歴代社長

  1. 関取高行(2014年7月1日 - 2015年6月8日[8][9][42]
  2. 大田義実(2015年6月8日 - 2017年6月15日)[42]
  3. 吉田秀俊(2017年6月15日 - 2019年8月27日)
  4. 山本知弘(2019年8月27日 - 2021年6月1日)
  5. 山野正樹(2021年6月1日 - )

脚注

関連項目

外部リンク

Related Articles

Wikiwand AI