いとこのこ
いぬちくによる日本の漫画
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『いとこのこ』は、いぬちくによる日本の漫画作品[2]。講談社が刊行する漫画雑誌『週刊少年マガジン』の2022年38号に読み切りが掲載された後[3]、ニコニコ漫画およびカドコミをプラットフォームとしたKADOKAWA運営のウェブレーベル『ドラドラしゃーぷ#』にて2023年8月から9月にかけて短期集中連載され[4][5]、同年11月より本連載に移行している[6]。
KADOKAWAが『ドラドラしゃーぷ#』掲載作品を音声コンテンツ化するシリーズ『ドラドラうぃすぱー#』の一環として、寺澤百花が声優を担当するASMR音声作品『「いとこのこ」いっしょに過ごす夏休みASMR』が2025年3月7日にDLsiteにて配信された[7]。
あらすじ
都会の中学生である望は、ある事情により夏休みの間、山と田んぼに囲まれた田舎の叔父の家で過ごすことになる。望はそこで、距離感の近い元気な従妹の爽にからかわれながら過ごすうちに、次第に彼女を意識し始める。
その後、望の妹である葵も合流して生活は賑やかになるが、父親が望の同意を得ずに転校の手続きを行っていたことが判明する。夏休み限定のはずだった田舎暮らしの延長が決まり、望は落ち込むものの、爽の存在に支えられる。爽もまた望への好意を自覚し始め、秋祭りを経て二人の距離は縮まっていく。
やがて東京から望の友人や、転校のきっかけとなった籠崎さんが訪ねてきたことで、望が田舎へ来ることになった過去の理由が明らかになる。これを機に舞台は再び東京へと移り、望は自身の未来に向けた決断を下す。
登場人物
- 諌間 望(いさま のぞむ)
- 中学2年生の男子[8]。夏休みを叔父の住む田舎で過ごすことになり[2]、夏休みが明けてからは爽が住む町の中学校へ転校した[9][10]。田舎に一人残ることになった理由については、学校で他者に迷惑をかけてしまったこと、ただしそれは自分なりに人を助けようとした結果であったことを語っている[11]。
- 諫間 爽(いさま そう)
- 小学6年生の女子。望の従妹[12]。望に対して異様に距離が近く[1]、望から注意された際には、自分がこうした振る舞いをするのは望が相手だからこそであり、他の男子には決してしないと答えている[13]。男の子のように活発な性格で[1]、クラスメイトの武からは「おとこ女」と呼ばれており[14]、望も再会した当初は男子と勘違いしていた[15]。もともとは男子のような短い髪だったが、小学五年生のころから男子にそのような呼び方をされるようになり、それを気にして髪を伸ばし始めた[16]。
- 栞(しおり)
- 高校3年生の女子。紡の姉。望と爽の従姉。年下の子ども同士の恋愛模様を見ることを好む[17]。
- 紡(つむぎ)
- 高校1年生の男子。栞の弟。望と爽のいとこ。彼女がいることを栞にバラされている。
- 諌間 葵(いさま あおい)
- 中学1年生の女子。望の妹[18]。ジュニアアイドルとして活動している[19]。
- 山戸 武(やまと たける)
- 小学6年生の男子。爽のクラスメイト。
- 山戸 尊(やまと みこと)
- 中学3年生の女子。武の姉[20]。
制作背景
ストーリーの着想については、いぬちくによれば、幼少期に物語の舞台ともなっている父の故郷へ連れて行ってもらった際の記憶をもとに、その場面や場所に望や爽がいたならどうなるか、またどのようなイベントが起きていたならどうなるかといったことをイメージしながら制作しているという[21]。当時の自身が望や爽と同じような年頃であったことから、その年齢で考えそうなことを描きやすい面もあるかもしれないとも振り返っている[21]。作画については、立体感のある絵を好むという個人的な嗜好もあり、毎話どこかで角度の強いあおり・俯瞰構図でキャラクターを描くことを意識的に行っているといぬちくは述べている[21]。また、髪の毛の乱れ方や艶の入り方によって、身体を動かした後の発汗の状態や、雨に濡れてから乾くまでの時間経過を表現するよう試みているとも説明している[21]。
作画やストーリー構成において独特の空気感が生まれる要因については、いぬちくは自分でも明確には把握していないとしながらも、現実の人間の行動からできるだけ外れないようにすることを意識しているかもしれないと述べている[22]。すべてのセリフを実際に口に出しても違和感のない自然な言い回しにすることや、相槌を打つ際に必ずしも目を合わせないといった描写を取り入れているという[22]。一方でこうした方針は、登場人物に強烈なキャラクター性を持たせるという考え方とは相容れない面もあると感じていることにも言及している[22]。
今後の展望については、これまでの作品は日常系と呼ばれるようなのんびりとした起伏の少ないテーマが多かったとした上で、より心を揺さぶるような内容にも取り組んでみたいという意向を示しており、これまでとは異なる作風になる可能性にも触れている[22]。
反響・評価
受賞
カドコミで開催された「カドコミAWARD 2024」では、総合2位およびラブコメ・恋愛部門1位にそれぞれランクインした[23][24]。「ニコニコ漫画 冬のマンガ祭!」では、2023年の年間ランキング公式漫画部門で第10位[25]、2024年の年間ランキングでは公式漫画部門第24位およびバズった漫画部門第5位にランクインしている[26]。また、朝日新聞社第73回「朝日広告賞」の広告主参加「新聞広告の部」では、本作に関連した「恋人より緊張する?」と題する新聞広告が審査委員賞(小枠出版広告賞)を受賞した[27]。さらに、2025年開催の「次にくるマンガ大賞2025」Webマンガ部門にもノミネートされている[28]。
読者からの反響
第6話「いとこと通り雨」は、2024年5月19日に公式Xへ投稿されると1.1万件を超える「いいね」が寄せられた[21]。読者からは、駄菓子屋のある風景を懐かしむ声や、近所にも同様の店があったという回想、駄菓子屋が減ったことへの感慨、子どもによる気遣いの場面に温かみを感じたといった反応が多数見られた[21]。
第23話「いとこと嵐」は、2025年7月3日に公式Xへ投稿されると6000件を超える「いいね」とともに多数のコメントが寄せられた[22]。読者からは、物語の展開が自分たちの期待通りだったという声や、主要人物たちに早くゴールインしてほしいという要望、ヒロインの魅力が回を重ねるごとに増しているという感想、登場するおばさんの反応を好意的に評価する意見など、さまざまなコメントが寄せられている[22]。
書誌情報
- いぬちく『いとこのこ』KADOKAWA〈ドラゴンコミックスエイジ〉、既刊5巻(2026年3月9日現在)
- 2024年5月9日発売[書誌 1]、ISBN 978-4-04-075425-3
- 2024年9月9日発売[書誌 2]、ISBN 978-4-04-075555-7
- 2025年3月7日発売[書誌 3]、ISBN 978-4-04-075842-8
- 2025年9月9日発売[書誌 4]、ISBN 978-4-04-076090-2
- 2026年3月9日発売[書誌 5]、ISBN 978-4-04-076322-4