うたかたの記
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ドイツ・バイエルン王国の首都ミュンヘン。日本画学生の巨勢は、六年前にミュンヘンで出会った花売り娘のマリイ・ハンスルと再会する。巨勢はマリイの面影が忘れられず、自作のローレライのモデルとしていた。マリイはいきなり巨勢に接吻する。驚く巨勢に、同行していた友人のエキステルが彼女は美術学校のモデルだが狂っていると教える。
巨勢は、自分のアトリエにマリイを呼び彼女への熱い思いを伝える。話をする内に、マリイには高名な画家の父スタインバハと彼女と同名の美しい母親がいたことがわかる。母はバイエルン国王ルードヴィヒ2世に懸想されていた。父は国王の毒牙から妻を守って怪我をして、やがて死に、母も悲しみのあまり後を追うようにして死ぬ。孤児となったマリイはミュンヘン郊外のスタルンベルヒ湖の漁師ハンスル家に引き取られたことがわかる。
マリイは、父のように美術を学ぶためモデルとなっているが、誘惑の多い都会で身を守るためにわざと狂った振りをしていると明かす。
マリイに誘われるまま巨勢はスタインベルヒ湖に向かう。愛を確認した二人は、雨の湖の周囲を散策し船で遊ぶ。村外れの岸辺に漕ぎ寄せると、母マリイの想い止みがたく狂人となっていた国王がいた。国王は、マリイの姿に母の幻影を見て、彼女の方に歩み寄ろうとして、湖に足を踏み入れる。マリイは恐怖のあまり湖に没する。国王も止めようとした侍医グッデンもろとも湖に沈む。
巨勢はマリイを助けるが、杭に胸を打ったのがもとで死んでしまう。国王の葬儀の日、心配したエキステルが巨勢のアトリエを訪問すると、彼は憔悴しきってローレライの絵の前に跪いていた。